2026年6月18日(木)に『なぜ今、キャリア採用サイトが重要なのか? 候補者に選ばれるための戦略的活用法 』と題したオンラインセミナーを開催しました。

株式会社揚羽のブランドマーケティング部 次長 プランナーの昆野 玲が登壇し、難化する中途採用市場の現状から、候補者に選ばれる採用サイトのあるべき姿、そして予算を抑えて成果を出す2カ年スモールスタート戦略までを、具体的な支援事例を交えて解説しました。

難化する中途採用、人事担当者がぶつかる3つの壁

自社にマッチした優秀な人材を獲得することは、年々その難易度を増しています。

まずは、中途採用の現場で人事採用担当者から特によく寄せられる、3つの典型的な課題を整理します。

  • 認知・エントリーの課題:ターゲット層がそもそも自社を選択肢(母集団)に入れてくれない
  • コスト増大の課題:採用活動がエージェント頼みになり、紹介フィーをはじめとする採用コストが増大している
  • ミスマッチ・離職の課題:選考途中の辞退や内定辞退が多発し、入社後のミスマッチや早期離職につながっている

特にエージェントへの支払いは、その年で終われば消えてしまう「掛け捨て」の性質を持っています。では、なぜこうした課題が生まれるのでしょうか。その背景について、最新の市場データをもとに解説します。

難化の背景:最新データが示す中途採用市場の変化

なぜ、前述のような採用課題が生まれるのでしょうか。最新の市場データから、背景にある3つの変化を解説します。

1.労働市場の流動性:正社員の転職率は過去最高の7.6%。

マイナビの調査によると、2025年の正社員の転職率は7.6%と、2018年の調査開始以来もっとも高い水準を記録しました。コロナ禍の2020年には4.9%まで落ち込んだものの、その後は右肩上がりに上昇しています。

転職率が過去最高を更新していることは、それだけ優秀な人材の獲得競争が激しくなり、採用難易度がさらに上がっていることを意味します。

出典:マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)

2.企業の採用スタンス:「量」から「質・厳選採用」への転換

dodaのデータによると、従業員1,000名以上の大手企業において、年間50名以上といった大量採用を行う企業の比率が明確に減少しています。

「人手が足りないから要件を下げてでも採用する」という量のフェーズは終わりました。現在は、即戦力となる専門スキルを持つ人材を求める、質を重視した厳選採用のフェーズへと移っています。

出典:doda「2025年下期 転職市場予測

3.求職者の心理:条件面だけでなく「正当な評価」と「企業の将来性」を重視

マイナビの調査における転職理由では、「給与が低かった」が4年連続で最多です。注目すべきは世代別の変化です。

  • 20代・40代:「仕事内容に不満があった」が増加
  • 30代・50代:「今後の昇進や昇給が見込めない」が増加

給与などの条件面を提示するだけでは不十分です。仕事内容への正当な評価と、企業の将来性を、納得感のある形で伝える必要があります。

出典:マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)

候補者の「期待」と「不安」に応えられているか

求職者が転職先に期待することを見ると、「収入が増えること」が45.04%でトップ、次いで「人間関係がうまくいくこと」が34.52%と上位を占めます。

企業がアピールしがちな「やりがい」よりも、収入や人間関係といったリアルな就業環境への期待が高いことがわかります。

一方、転職にあたっての不安では「人間関係がうまくいくか」が49.17%と約半数に迫ります。「希望の収入が維持されるか」も37.35%にのぼり、この2項目が突出しています。

多くの求職者は、入社後の人間関係や収入に強い不安を抱えたまま活動しています。応募意欲を高め、選考途中の辞退を防ぐには、こうした不安を軽減する情報をあらかじめ提示しておくことが欠かせません。

出典:株式会社ベイジ「中途採用における採用サイト利用実態調査2024年度版

なぜ今、キャリア採用サイトが必要か?コストを「資産」に変える戦略

前述のような背景を踏まえると、採用コストを「掛け捨ての広告費」から「資産になる開発費」へと転換させるキャリア採用サイトの重要性が浮かび上がります。

現在の優秀な中途人材は、エージェントや求人媒体の情報をそのまま鵜呑みにしません。応募や内定承諾の前に、必ず企業の採用サイトで情報の裏付けを行います。ここで十分な情報がなければ、志望度が下がりサイレント辞退につながります。

特にDX人材などのハイスキル人材は、自身のキャリアの停滞を恐れます。「現場の課題」や「自分への期待」が見えないサイトは、単なる労働力の補填と見なされ敬遠されます。

毎年支払うエージェントフィーの一部をサイト構築という「資産」に投資し、長期的に直接応募を生み出す、持続可能な採用基盤を築くことが求められます。

新卒採用とキャリア採用の違い:サイトの「あるべき姿」

キャリア採用サイトを構築する際の大前提として、新卒採用とキャリア採用では「求める情報の優先順位」が異なります。

  • 新卒採用は「抽象」:知名度や社風、ポテンシャルといった抽象的な魅力が重視されます(就業経験がなく、仕事を想像しづらいため)
  • キャリア採用は「具体」:実務に直結するリアルで具体的な情報が重視されます。

キャリア層は、具体的に以下の問いに対する答えを探しています。

  • 自分の専門性がその会社でどう活かせるのか
  • 現場が直面している課題は何か、自分に何を期待しているのか
  • どのようなキャリアパスや評価制度があるか

候補者が最初に見たいのは「実務に直結する情報」

こうしたニーズはデータにも表れています。採用サイトで最初に見たい情報は、「募集要項」が51.1%、「仕事内容」が46.67%と、実務に直結する情報が圧倒的なツートップです。

一方で、企業が打ち出しがちな福利厚生や企業情報、事業内容は20%前後にとどまります。キャリア求職者が、何よりも実務に直結する情報を重視して採用サイトを訪れていることがわかります。

出典:株式会社ベイジ「中途採用における採用サイト利用実態調査2024年度版

「企業が発信したい情報」と「求職者が求める情報」の乖離を埋める

多くの採用サイトでは、発信内容にギャップが生じています。

企業側は「パーパスやミッション」「独自の強み」「事業の成長性」を伝えたいと考えます。しかしターゲットが求めているのは、「人間関係」「収入保証」「実際の仕事内容とのギャップがないか」といったリアルな情報です。

この明確な乖離を埋めるには、企業が伝えたいメッセージを、ターゲットにとって価値ある情報へと「変換」して届けるコンテンツ設計が必要です。ユーザーと企業の双方にメリットをもたらすサイト構築が求められます。

予算を抑えて成果を出す「2カ年スモールスタート戦略」

採用サイトのあるべき姿は理解できても、「大規模なサイトを再構築する予算も時間もない」と悩む企業は少なくありません。

そこで揚羽が提案するのが、2カ年のスモールスタート戦略です。

  • 1年目:「誰が・何を伝えるのか」という戦略・要件定義を固める(土台作り)
  • 2年目:「どう見せるか」という制作・実装を行う(価値の具現化)

1年目に戦略をしっかり固めることで、2年目の制作コストを最適化し、日々の採用活動にも即座に恩恵をもたらします。

1年目:自社の魅力を言語化し、ターゲットを定める

1年目の目的は、自社の魅力の言語化と採用ターゲットの明確化です。

経営陣や現場社員へのヒアリング、競合企業の採用サイト調査、自社ならではの提供価値(EVP)の定義を行い、それらをもとに採用要件定義書とサイト構成案(ワイヤーフレーム)を作成します。

最も重要なのは、この1年目の取り組みだけで即効性のある成果が得られる点です。言語化されたペルソナや訴求軸は、サイトの完成を待たずとも、明日からの求人票やスカウト文面、エージェントへのオリエンテーションにそのまま流用できます。

2年目:設計図をもとにサイト構築・実装する

2年目は制作・実装のフェーズです。1年目に作成した設計図をもとに、求職者の信頼を勝ち取るサイトを形にします。

具体的には、Webサイトのデザイン制作、社員インタビュー、写真・動画撮影、コーディング、CMS構築、マルチデバイス対応を行い、サイトを公開します。

事前に設計図が確定しているため、手戻りや無駄な作業が発生しません。公開後は採用ブランディングの核として機能し、長期的な直接応募の獲得につながります。

要件定義フェーズだけで得られる4つのメリット

制作に先立って要件定義を行うだけでも、以下の4つのメリットが得られます。

メリット 内容
即効性 整理されたペルソナを求人票やスカウト文に即流用でき、応募率や返信率の向上が期待できる。
社内連動 人事と現場の「求める人物像のズレ」を解消。評価のバラつきを防ぐ、候補者を惹きつける共通言語ができることで辞退を未然に防ぐ。
コスト最適化 いきなり制作せず設計図を確定させることで、次年度の制作へスムーズに移行。手戻りと無駄な費用を排除し、トータルコストを最小化する。
外部活用 箇条書きの求人票ではなく、具体的なターゲット像とEVPを伝えることで、エージェントが独自の推薦トークを構築でき、マッチした人材が推薦される。

このように、要件定義は単なるサイト制作の前工程ではなく、すべての採用活動を強固にする土台になります。

なお、今回は2カ年でご紹介していますが、ご要望があれば単年度での構築も可能です。

採用サイト構築の支援事例

ここでは、揚羽が実際に支援し、成果を上げた2社の事例をご紹介します。

事例1:野村総合研究所様|オウンドメディアと採用情報を融合

  • 実施内容:採用メディア「NRI career」の設計・制作
  • 成果:説明会参加者が約4倍に増加

野村総合研究所様は、「優秀な人材が多い」「成長できる環境」「待遇が良い」といった魅力が数多くある反面、それらが具体的に伝わっておらず、パブリックイメージとして「お堅い」印象が先行している課題がありました。結果として、自社のカルチャーとマッチしない候補者が集まる傾向にありました。

そこで、オウンドメディアとキャリア採用情報を融合させた採用メディア「NRI career」を設計しました。「お堅い」という先入観と、実際にのびのびと働く社員の姿との乖離を埋めるため、ペルソナに合わせたポップなデザイン要素や、気になる単語をクリックすると関連記事がキュレーションされる仕組みを実装しました。

求職者のインサイトに沿った情報設計により、自社メディア内で告知した説明会への参加者が、これまでの約4倍に増加しました。

本支援実績の詳細はこちら:採用イベントへの応募者が4倍に。採用コミュニケーションを変革するキャリア採用サイト

事例2:オリックス銀行様|挑戦意欲のある人材に響く「尖った」採用サイト

  • 実施内容:挑戦意欲のある人材をターゲットに、ベンチャー的な印象を持たせた採用サイトを設計
  • 成果:応募数約1.3倍に増加、内定辞退率は半減(前年対比)、サイト公開から半年間で40名以上の直接応募を獲得

オリックス銀行様は、ワークライフバランスを重視する転職者とのミスマッチや、強化したいエンジニア採用において具体的な働くイメージを持たせられていない課題がありました。当時は不動産投資ローンに次ぐ第二の柱を創出する変革期でした。

そこで、挑戦意欲のある人材をターゲットに定め、あえてベンチャー企業のような印象を与える尖った採用サイトを提案しました。

情報設計ではエンジニア職と営業職の導線を完全に分け、共通情報はトップページのピッチ資料に集約することで、求職者が欲しい情報へ即座にアクセスできるようにしました。

この戦略的な設計により、マッチング精度が向上し、前年対比で応募数増加と内定辞退率の半減。さらにサイト公開から半年間で40名以上の直接応募という成果につながりました。

本支援実績の詳細はこちら:定量調査によるプランニングで、新卒採用インターンシップ応募者数、キャリア採用応募者数が大幅増

まとめ|キャリア採用サイトは「資産」。第一歩は要件定義から

キャリア採用サイトは、単なる募集要項の掲載場所ではありません。求職者の理解と信頼を深める採用活動の中核的な情報基盤であり、掛け捨ての広告費ではなく、長期的に自社の採用力を高める「資産」です。

大規模な予算がすぐに確保できなくても、今年度は「要件定義」からスモールスタートを切り、ターゲットと魅力を言語化するだけで、明日からの採用活動に確かな成果をもたらすことができます。

なお、優れたサイトを構築しても、ターゲットとなるハイスキル人材に存在を知られなければ意味がありません。コンテンツ制作と並行して、ターゲットへ確実に情報を届ける戦略的な露出・入り口戦略も不可欠です。採用サイト構築や流入施策について、ぜひ揚羽へお気軽にご相談ください。


キャリア層のミスマッチや内定辞退を防ぎ、候補者の志望度を高める「戦略的な採用サイト」の構築は、単なる情報発信にとどまりません。要件定義から本質的に取り組むことで、「エージェントに依存しない採用基盤の確立」や「入社後の早期離職防止」など、採用担当者様が目指す強固な組織づくりのための強力な基盤となります。

キャリア採用サイトの構築や、採用ブランディングにお悩みがございましたら、以下の問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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