2026年5月28日(木)に『「伝える」だけではもったいない! SharePointのブランディング活用術』と題したセミナーを開催しました。
株式会社揚羽のシニアコンサルタント/クリエイティブディレクターの板倉 マサアキと、制作ディレクターの佐野 崇倫が登壇。本セミナーでは、人的資本に注目が集まる背景から、インナーブランディングの浸透ステップ、さらに社内イントラ(SharePoint)を活用して従業員エンゲージメントを高める具体的な実践手法について解説しています。
なぜ今、人的資本に注目が集まるのか?3つの背景
ブランディングに対する考え方は、人的資本への注目が高まる中で大きく変化しています。
まずは、その背景にある「3つの潮流」を整理していきましょう。いずれも、企業が「人」をコストではなく、価値を生む資本として捉え直す動きにつながるものです。
1.労働市場の流動化
終身雇用が当たり前ではなくなった現代では、優秀な人材ほど多くの選択肢を持っています。
そのため、従業員のエンゲージメント(会社への共感や愛着)を高め、長期的に働いてもらうことが重要です。人材の定着は、ノウハウの蓄積やパフォーマンスの向上にも直結します。
いまや、人材の定着そのものが企業の競争力を左右する時代になっていると言えます。
2.多様な人財と働き方
少子高齢化により労働人口が減少するなか、シニア世代や外国人労働者など、多様な人財の登用が不可欠になっています。
価値観も働き方も異なる一人ひとりの「個」を活かし、その力を最大限に引き出すことが、組織全体のパフォーマンスを高める鍵となります。
3.DXによる産業構造の変化
定型業務が自動化・効率化されるなかで、人に求められる付加価値は「さらなるイノベーションを生み出すこと」へとシフトしています。
こうした流れを受け、経営戦略においても、人を新たな付加価値創造を担う重要な「資本」として捉え直す企業が増加しています。
ブランディングは「社外向け」から「社内起点」へ変化
人的資本への注目が高まるにつれ、ブランディングの考え方や優先順位も大きく変化しています。
かつて、1990年代のCI(コーポレート・アイデンティティ)ブームの頃は、ブランディングといえば「社外向けの宣伝活動」が中心でした。しかし2010年代に入り、「働き方改革」や「エンゲージメント」が重視されるなかで、社内に向けたインナーブランディングの重要性が高まりました。
そして現在は「人的資本経営」を背景に、まずは社内へ理念を浸透させて従業員の共感を得て、その取り組みを社外へ発信していく順序が主流となっています。社内向けと社外向けの優先順位が逆転しつつあるのです。

揚羽では、この潮流を「人的資本を活かし、より強いブランドへ(Human Driven Branding)」というコンセプトとして掲げています。
激しい環境変化のなかでも、持続的に価値をもたらすのは「人」です。
人的資本経営やパーパス経営の実現には、理念に共感し、理想を体現する従業員の存在が欠かせません。一人ひとりの誇りや働きがいが組織のパワーになり、結果として企業のブランドを強くします。
人を起点に強い組織をつくる「インナーブランディング」3つのポイント
「人」を起点とした強い組織をつくるには、何から始めればよいのでしょうか。インナーブランディングを成功させている企業には、共通する3つのポイントがあります。
① 組織が一つになる言葉の開発
言葉になっていない理念には「浸透の器」がなく、共通認識も生まれません。
そのため、ミッションやビジョン、バリュー、パーパスといった「組織が一つになるための言葉」をまず策定することが出発点になります。
② 社内外のコミュニケーション戦略
一度きりの「打ち上げ花火」のような施策では理念は定着しません。年間計画や中長期計画として、社内外のどちらに向けて、いつ、何を伝えるのかを計画的に設計することが重要です。
③ ねばり強い施策の実行
理念や戦略は、策定してすぐに浸透するものではありません。だからこそ、諦めずにねばり強く浸透活動を実行し続けることが大切です。継続している企業ほど、組織を一体化させるインナーブランディングを実現しています。
認知から行動へ|インナーブランディングの浸透ステップ
理念や戦略を浸透させるには、「認知 → 理解 → 共感 → 行動」というステップに沿って、段階的に施策を展開していく必要があります。
このすべてのステップで基盤となるのが「社内イントラ(SharePointなど)」です。
情報を集約・発信するプラットフォームの有無によって、理念浸透の度合いは大きく変わります。
ステップ1.認知:仕事の動線上で目に触れる機会を増やす
まずは、言葉や戦略を「知ってもらう」段階です。トップからの継続的なメッセージ発信に加え、普段の仕事の動線上にタッチポイント(接点)を設置します。
具体的には、社内ポスター、オンライン会議の背景画像、名刺、パワーポイント資料、各種ビジネスアプリケーションなどです。日常的に目に触れる場所へ理念を掲示し、従業員との接触機会を増やします。
ステップ2.理解:機能と感情の両面からアプローチする
次に、言葉や戦略を「理解してもらう」段階です。ここでは機能的(ファンクショナル)と感情的(エモーショナル)の両面からのアプローチが有効です。
- 機能的なアプローチ:理念(パーパス)研修を実施して真意やエピソードを共有し、ワークショップ形式で一人ひとりの「マイパーパス」や具体的なアクションを考えてもらいます。研修のエッセンスをまとめた理念ブックの配布も効果的です。
- 感情的なアプローチ:言葉だけでは伝わらない世界観を、ナレーションや音楽で表現した「理念ムービー」として届け、理解をさらに深めます。
ステップ3.共感・行動:従業員同士が横でつながる仕組みをつくる
最後は、理解を「共感」と「行動」へと促していく段階です。会社と個人という縦の関係だけでなく、従業員同士が横でつながる仕組みづくりがポイントになります。
たとえば、理念に紐づいた表彰制度(アワード)を設計し、理念を体現した行動や成果を全社で称え合います。これにより「理念を体現するとはどういうことか」という具体例が共有され、行動への動機づけにつながります。
さらに、従業員それぞれのマイパーパスやエピソードを掲示・発信するスペシャルサイトを構築すれば、社内の相互理解が深まります。社外に向けても「人を中心とした強い組織づくりをしている企業」として評価を獲得できます。
これらの施策を支え、情報を循環させる基盤となるのが、SharePointなどの社内イントラでの発信なのです。
「伝える」だけで終わらせない!SharePointを社員が見たくなるメディアにする3つの視点
社内イントラの基盤として、多くの企業がSharePointを活用しています。
担当者自身でカスタマイズできる柔軟さがある一方で、運用の現場では次のような課題がよく聞かれます。
- 社内コミュニケーションを活性化したいが、どう使えばいいかわからない
- 自分たちなりに工夫しているが、思うような効果が出ない
- 社内にポータルサイトが乱立し、情報が埋もれてしまう
- 従業員に愛着を感じてもらい、見にいきたくなるサイトにしたい
実は、SharePointのポテンシャルは高く、工夫次第でさまざまな表現が可能です。「伝える」だけのツールから、社員が自ら「見たくなるメディア」へとアップデートするための3つの視点を解説します。
① 社員の「見たい」に寄り添うコンテンツ設計
発信側が出したい情報を一方的に更新するのではなく、ターゲットを定め、閲覧者のインサイト(本音)を把握したうえで、求められている情報を社風に合った表現で伝えます。
たとえば、一部の意識の高い層に向けた記事ばかりになっていないでしょうか。社内には、その分野に関心の高くない層のほうが多いケースも少なくありません。
まずは、メインターゲットに向けたコンテンツが揃っているかを見極めることが第一歩です。
チェックポイント
・ターゲットを見失っていないか。社員の「見たい」コンテンツになっているか
・メインターゲットではない層向けのコンテンツに偏っていないか
②エンゲージメント向上のための目的設定
会社のニュースをただ掲載するだけでは、エンゲージメントは高まりません。
これまで知らなかった情報にワクワクし、自分も参加したくなる、行動を起こしたくなるようなコミュニケーション設計が必要です。
そのためには、情報を分類・タグ付けし、ターゲットに応じてWebパーツで情報を「出し分け」できる準備を整えておくことが大切です
チェックポイント
・会社側が出したいコンテンツばかりになっていないか
・情報の分類・タグ付けはできているか
・ターゲットに応じた情報の出し分け準備ができているか
③「らしさ」を感じるデザインで社内ポータルに愛着を
SharePointの標準機能では実現できないレイアウトやアニメーションも、HTMLで作成したページを組み込むことで実装可能です。
クリエイティブを得意とする揚羽では、自社の「らしさ」を感じるオリジナルのデザインを取り入れることで、社員に愛着を持ってもらえる社内ポータルを構築できます。
チェックポイント
・わかりやすいUI(ユーザーインターフェース)になっているか
・自社の社風にあった表現になっているか
・ターゲットがクリックしたくなる記事タイトルやサムネイルになっているか
SharePoint社内ポータルの作成・改修ステップと期間
揚羽では、以下の流れでサイトの作成や改修を進めます。
1:アンケートとペルソナ設計
まずは社員アンケートを実施し、ターゲット層(ペルソナ)を設計します。全社をA・B・Cの3セグメント程度に大きく分けるのが、最適な粒度になります。
2:コンテンツとタグの整理
ターゲットに適したコンテンツを整理し、タグ付けルールを定めます。このとき、「ターゲットに最適なトーン&マナー」「適切な記事のボリューム」「目を引くタイトル」になっているかが重要です。
3:サイト改修(Webパーツの出し分けと追加作成)
整理したコンテンツを、ターゲットに合わせてWebパーツで出し分けます。もし情報が足りない場合は、追加でコンテンツを作成します。たとえばインタビュー記事の場合、構成からデザイン、撮影、原稿作成までを揚羽が伴走し、次回以降は自社で運用できるようにする進め方も可能です。

プロジェクト期間の目安
SharePointサイトの新規構築や全面リニューアルには「6か月(半年)以上」、一部改修の場合は「3か月」が目安です。開発ボリュームにより必要期間は変動します。
・要件定義(約2か月~)
・設計・構築・デザイン・テスト(約3か月~)
・データ移行(※必要な場合)
・テスト・全社リリース(約1か月)
・操作説明・運用保守
コミュニケーションを活性化するMicrosoftアプリの使い分け
Microsoftの各アプリには、それぞれ明確な役割があります。これらを正しく使い分けることが、社内コミュニケーション活性化の鍵です。
各アプリの立ち位置
それぞれの役割を整理すると、次のようになります。
- SharePoint(共有の場): ニュースやお知らせ、経過報告、情報共有(Tips)など、全社へ情報を循環させるプラットフォームです。
- Viva Engage/旧Yammer(コミュニティの場):社内SNSとしての役割を担います。オープンな会話やハッシュタグ、アンケートを活用し、「いいね」や返信による相互作用を促します。
- Teams(チームワークの場):決まったメンバーでプロジェクトを推進するための作業スペースです。全社ポータルの文脈では、「SharePointで新しい情報が公開されました」という通知を全社員へ届けるツールとしても有効です。
理想的なサイクルは、「SharePointで共有し、Viva Engageで盛り上げ、Teamsでプロジェクトを推進し、その成果を再びSharePointで還元する」という流れです。
SharePoint上でのコミュニケーションは無理に求めなくてよい
SharePointのページでも「いいね」や「コメント」機能は使えますが、全社員の目に触れるため心理的ハードルが高くなりがちです。また、コメントの事後確認など運営側の負担も増加します。
「共有の場」であるSharePointで公開された記事を起点として、結果的に社員間でコミュニケーションが生まれることに意味があります。SharePoint上での直接的なコミュニケーションは、無理に求めなくてもよいというのが揚羽の考え方です。
まとめ|SharePointを活用し、人を起点とした強い組織へ
インナーブランディングを推進するうえで、SharePointをはじめとする社内イントラは非常に重要な役割を果たします。言葉づくりや戦略を浸透させる際、SharePointのメディアとしての価値をアップデートすることで、そのスピードは確実に加速します。
揚羽は、インナーブランディング専門家の視点から、SharePointのポテンシャルを最大限に引き出します。運用方法やコンテンツ設計、ビジュアルデザインなどでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
「人」を起点とした、より強いブランドづくりの第一歩を、社内イントラの活用から始めてみませんか。
- 前期の振り返り
- 市場環境の変化
- 全体戦略/定量目標
- 事業部別の戦略・投資計画
SharePointを活用した社内ポータルの構築や、インナーブランディングの浸透施策は、本質的に取り組むことで「社員一人ひとりの自分ごと化と自律的な行動の促進」や「組織の一体感醸成」、「従業員エンゲージメントの向上」など、経営層や社内コミュニケーション担当者様が目指す強固な経営基盤を実現するための強力な手段になり得ます。
社内ポータルの作成・改修や、社内への理念浸透・共感施策にお悩みがございましたら、以下の問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。









