2026年6月4日(木)に『今からでも間に合う!「対面型」内定者フォローの手法 』と題したオンラインセミナーを開催しました。
株式会社揚羽のシニアコンサルタント/クリエイティブディレクターの板倉マサアキと、コンサルタントの和田裕史が登壇。内定辞退が増加する採用市場において、内定者の不安を解消し、入社意欲を高める「対面・体感型」の内定者フォロー施策について解説しました。
内定者フォローの重要性が高まる3つの背景
採用担当者の多くが、「内定を出してからが本当の勝負になった」と実感しているのではないでしょうか。
昨今、売り手市場が定着し、就職活動が早期化・長期化するなか、内定から入社までの期間をどう設計するかが、採用の成否を大きく左右します。
内定者フォローの重要性が高まっている背景には、以下の3つの変化があります。
① 内定出しの早期化と「空白期間」の長期化
新卒採用のスケジュールは年々前倒しされ、大学3年次の冬から内定出しが始まることが一般化しています。
実際、形式上の選考解禁日である6月1日の時点で、すでに就職活動を終えている学生が半数にのぼるという調査結果もあります。
内定出しが早まるほど、内定から入社までの「空白期間」は長期化します。この期間に学生の入社意欲(熱量)を維持し続ける難易度は確実に上昇しています。
② 複数内定の常態化と「隠れ就活」
学生優位の売り手市場において、1人の学生が複数社の内定を保有して比較検討するのは、もはや当たり前の光景です。
マイナビの調査によると、2026年卒の内々定保有社数は平均1.73社でした。内々定が「1社」の学生は62.2%となり、前年から20ポイント以上増加しています。第一志望群を勝ち取った学生と、思うように決まらず活動を継続する学生に二極化する「部分売り手市場」の傾向が見られます。
さらに注意すべきは、内定を承諾したあとも他社の選考を受け続ける「隠れ就活」の存在です。採用担当者にとって、内定承諾はゴールではなく、入社まで気を抜けない状況が生まれています。
内定辞退率の上昇と企業負担の増加
こうした市場環境を反映し、内定者の辞退リスクは過去最高水準まで上昇しています。
就職みらい研究所の調査(就職白書2026)によると、2025年卒の9月1日時点における内定辞退率は65.1%に達しました。内定を出した学生の約3人に2人が辞退している計算です。
早期化の影響は2026年卒にも表れており、4月1日時点の内定辞退率は39.7%と、前年の同じ時期を5.3ポイント上回りました。
辞退は大企業ほど人数規模が大きく、従業員5,000人以上の企業では1社あたり平均91.4人が辞退したというデータもあります。母集団の大きい企業ほど、フォローの質が採用目標の達成に直結します。
出典:インディードリクルートパートナーズ リサーチセンター『就職白書2026』
また就活の早期化・長期化は企業側の負担も増加させています。
日本経済新聞の採用計画調査では、約6割の企業が「悪い影響がある」と回答しました。特に、内定辞退を防ぐためのフォロー業務にかかる工数やコストの増加が課題として上位に挙がっています。
出典:日本経済新聞 電子版「採用計画調査から早まる就活、6割『悪影響』」
揚羽にも、「内定辞退を防ぐための施策はないか」というご相談が、ここ数年で目に見えて増加しています。
内定者が辞退に傾く3つの心理
辞退率上昇の背景にある、内定者の心理を整理していきましょう。
辞退に傾く背景には、大きく以下の3つの心理があります。この心理を理解しておくことで、有効なフォロー施策の方向性が定まります。
① 内定ブルーによる迷い
内定を得た直後の高揚感が落ち着くと、「本当にこの会社でよいのか」という漠然とした不安が生じます。SNSで見る他社の情報や、口コミサイトのネガティブな評判との比較が、この迷いを助長してしまいます。
② 社風や人に関する情報不足
オンライン中心の選考では、職場の雰囲気やチームの人間関係といった情報がどうしても掴みづらくなります。たとえば、「配属ガチャ」と呼ばれる希望外配属への懸念に代表されるように、入社後の働き方が見えないことが、そのままキャリアへの不安につながります。
③ 競合他社による手厚いフォロー
採用は常に競合との比較検討のなかにあります。自社からの個別の働きかけが手薄なまま、他社が丁寧にフォローを重ねれば、内定者の心はそちらへ傾いていきます。
内定者フォローにおける4つの課題
こうした背景を踏まえ、揚羽が採用担当者の皆さまからいただくご相談を整理すると、主に次の4つの課題に集約されます。
- 学生の「本音」が見えず、距離感がつかめない
- オンラインでは画面越しの表面的な会話にとどまり、限界を感じる
- 毎年同じことの繰り返しで、本当に響いているのか分からない
- 同期同士や社員との関係性を構築しにくく、効果が出ているか測定しづらい
いずれも、これまでのオンライン中心・個別対応中心のフォローでは解決しきれなかった課題です。そこで揚羽が提案しているのが、発想を切り替えた「対面・体感型」の内定者フォロー施策です。
入社後のキャリアを疑似体験する「スゴロトーク」
「スゴロトーク」とは、内定者のグループと先輩社員が同じチームになり、入社後のキャリアを疑似体験できるすごろく型のフォロー施策です。
盤面のマス目には、入社後に経験するさまざまなイベントが設定されています。参加者はゲームを進めながら、自分がその会社で働いている姿を具体的にイメージできるのが特徴です。
さらに、マス目には先輩社員への踏み込んだ質問が組み込まれています。面接やインターンシップでは聞きづらかったリアルな本音も、ゲームの流れのなかで自然に引き出すことができます。
実施事例|金融系企業のスゴロトーク
実際に金融系企業で実施したスゴロトークを例に、盤面の内容を紹介します。
盤面はおよそ20マスで構成されています。学生4〜5名に先輩社員1名ほどが加わり、5〜6人のチームで、1時間ほどかけて楽しみながらゲームを進めていきます。
マス目にはいくつかのカテゴリーがあり、それぞれに明確な目的を持たせています。

『先輩に質問』
「社員同士の雰囲気は実際どうですか」「残業の事情は正直どうですか」といった、学生がふだん聞きにくい質問をあえてマス目に設定します。先輩社員の率直な意見やリアルな本音を引き出すことで、入社後の働き方の具体的なイメージを掴んでもらいます。
『ストップマス』
参加者全員に必ず立ち止まって考えてほしい問いは、通過できない「ストップマス」として配置します。
たとえば、転勤への不安が辞退につながりやすい企業であれば、その不安を払拭する回答や価値観をここで丁寧に共有します。
『あなたに質問』
先輩社員に一方的に質問するだけでなく、学生自身に問いかけるマス目も用意します。
「初任給は何に使いますか」といった場が盛り上がる質問から、「入社3年後にどうなっていたいですか」というキャリアに関する質問まで設定します。答えを共有し合うことで同期同士の人柄が伝わり、横のつながりが生まれます。
参加した内定者の声
実際にスゴロトークに参加した内定者からは、次のような声が寄せられています。
- スゴロクを用いたことで、先輩社員に今まで聞けなかった質問もでき、より入社後のイメージができた
- 自分たちではなかなか聞けないことが質問になっていて、先輩社員のリアルな本音を聞けた
- 同期となる内定者とも交流でき、親睦を深められた
スゴロトークが内定者フォローに有効な3つの理由
シンプルなゲームでありながら、スゴロトークが内定者フォローに有効な理由には、以下の3つがあります。
① 対面だからこそ生まれる、同期や先輩社員との絆
オンライン中心の採用フローでは、学生が会社の人と顔を合わせる機会そのものが減っています。対面で同じ場を囲み、ゲームを通じて同期や先輩社員と関わることで、画面越しでは得られない関係性が育まれます。
② アナログだからこそ伝わる熱量
難しいルールのないアナログなボードゲームだからこそ、純粋に楽しむことができます。リラックスした雰囲気のなかで、実際に働く社員や周囲の学生の熱量が、自然と伝わっていきます。
③ 誰もが慣れ親しんだボードゲームの楽しさ
すごろくは、誰もが一度は遊んだことのある親しみやすいゲームです。特別な準備や説明がいらないからこそ、楽しさのなかで不安を払拭し、縦と横のつながりを自然に築けます。
スゴロトークの作成プロセス
スゴロトークは、次の3つのステップで作り上げていきます。課題の特定からデザイン作成までの一連の流れは、およそ3か月で実装が可能です。
① 課題の特定
内定辞退者が多いなら、なぜ辞退が起きるのかという原因を把握し、過去の辞退理由から「伝えているのに伝わっていない魅力」を分析・整理して、盤面で伝えるべき内容をすり合わせます。
②マス目の考案
伝えたいことを提示するだけでは楽しくありません。ゲームとしての面白さを大切にしながら、マス目とルールを設計します。
③デザイン作成
その会社らしさが伝わるオリジナリティ溢れる盤面をつくることで、内定者に「ここまで用意してくれたんだ」という歓迎の気持ちまで届けます。
スゴロトーク作成における3つのポイント
スゴロトークを作成する際は、以下の3つのポイントを意識することでより効果が高まります。
① ネガティブになり得る要素をポジティブに変換する
たとえば転勤が辞退の原因になっているなら、住宅補助などの福利厚生の手厚さを伝えたり、先輩社員の転勤体験を語ってもらったりします。転勤だからこそ得られた新しい挑戦や成長を伝えることで、ネガティブに見える要素をポジティブな言葉へと変換します。
② スタート時は答えやすく、コミュニケーションのきっかけとなる質問から配置する
いきなり難しい質問を当てると、ゲームとしての楽しさが損なわれます。最初は「初任給は何に使いますか」のように答えやすく場が温まる質問から入り、だんだんと核心に触れる質問へ移していくことで、自然に深い対話が生まれます。
③ 遊び方マニュアルの作成と主催者側の目線合わせ
人事担当者は異動することもあります。だからこそ、遊び方のマニュアルを整え、引き継いでいける準備をしておくことが大切です。あわせて、「このマス目では必ずこのポイントを伝える」といった主催者側の目線合わせを事前に行い、認識をそろえておきましょう。
まとめ|内定はゴールではなくスタート
内定辞退率が過去最高水準にあり、就活の早期化で空白期間が長期化するいま、内定はゴールではなくスタートだという発想がますます重要になっています。その上で、内定者フォローの内容や質の向上が求められます。
たとえば、今回ご紹介したスゴロトークは、オンラインでは伝わりにくかった社風や人の魅力を楽しみながら伝えられ、さらには同期や社員との関係性も築くことが可能です。
揚羽では、課題の特定からマス目の考案、デザイン作成まで一気通貫でご支援が可能です。実際に遊べる盤面やサイコロ、通貨などもご用意し、具体的なイメージをお持ちいただけます。
「自社の場合はどうすればいいか」「何から始めればいいか分からない」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
内定辞退を防止し、入社意欲を高める「対面・体感型」のフォロー施策は、本質的に取り組むことで、「新入社員のエンゲージメント向上」や「組織の一体感醸成」など、採用担当者様が目指す強固な組織づくりのための強力な基盤になり得ます。
採用ブランディングの構築や、内定者フォロー施策にお悩みがございましたら、以下の問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。









