2026年2月19日(木)、株式会社揚羽では、「アクセスはあるのにCVが増えない、GA4で『CVしない要因』を特定する実践手順」と題したセミナーを開催しました。Web広告やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、展示会への出展などを通じて、一定のアクセスは獲得できているものの、「問い合わせや資料請求といった成果につながらない」。そんな悩みを抱えるBtoB企業のWeb担当者の方は多いのではないでしょうか。本セミナーでは、Googleアナリティクス4(GA4)を活用しながら、CV(コンバージョン)が伸び悩む要因をどのように整理し、どこから改善に着手すべきかという実践的な手順を紹介しました。

コンバージョンが増えない理由は「集客不足」とは限らない

自社サイトのアクセス数があるのに成果が出ない場合、その原因は必ずしも集客不足とは限りません。広告やSNSでユーザーを呼び込めていたとしても、受け皿となるサイト側に課題があれば、問い合わせにはつながりにくくなります。サイトのどこかで離脱が起きている状態は、いわば“穴の空いたバケツ”に水を注いでいるようなものです。新たな流入を増やす前に、まずは今あるアクセスを、成果につなげることが重要になります。

また、分析を始める前提として欠かせないのが、コンバージョンを明確に定義することです。サイトによって成果地点は異なり、採用サイトであればエントリー、サービスサイトであれば資料ダウンロードや問い合わせがコンバージョンになるでしょう。今回は、BtoBサイトにおいて受注に近い成果として捉えやすい「問い合わせの獲得」をコンバージョンとして設定します。何を成果とするのかを最初に定めることで、見るべき数字や改善の方向性も明確になるのです。

コンバージョンしない理由は、大きく2つに整理できます。1つは、ユーザーがフォームまで到達したにもかかわらず、入力途中で離脱してしまうケース。もう1つは、そもそもフォームへたどり着く前に、サイト内で離脱してしまうケースです。前者は「フォーム完了率」、後者は「フォーム到達率」の問題として整理できます。

このように分けて考えることで、改善の優先順位が見えやすくなるのです。フォーム完了率が低いのであれば、フォームそのものに何らかの問題がある可能性が高いでしょう。一方で、フォーム到達率が低いのであれば、CTA(Call To Action:行動喚起)の配置やページ導線、情報設計に課題があるかもしれません。漠然と「コンバージョンが少ない」と捉えるのではなく、訪問ユーザーがどの段階でつまずいているのかを分けて見ることが分析であり、実効性のある改善にもつながります。

GA4で、まず全体を俯瞰してボトルネックを見つけることが重要

サイトの分析というと、気になるページから個別に確認したくなるかもしれません。ですが、先に押さえるべきは全体の流れです。サイト訪問からフォーム完了までのどこで大きな離脱が起きているのかを把握しなければ、改善候補ばかりが増え、どこから手を付けるべきかが分からなくなってしまいます。

そのために活用したいのが、GA4の探索レポートです。セミナーでは、「サイト訪問」「フォーム到達」「フォーム完了」の3ステップを設定する方法を説明しました。セッション開始を起点に、問い合わせフォームのページ、問い合わせ完了ページを設定することで、訪問者のうちどれだけがフォームに到達し、どれだけが完了まで進んだのかを可視化できます。まずはこの全体像を見て、完了率に課題があるのか、到達率に課題があるのかを判断することが大切です。

また、数値を見ても「これが良いのか悪いのか判断しづらい」と感じることは少なくないでしょう。そこでセミナーではBtoB企業サイトの平均値も参考指標として、「フォーム到達率の10%」と「フォーム完了率の25~30%」という相場を示しました。もちろん、業界や商材、検討期間の長さによって水準は変わりますが、自社のどこに相対的な課題があるのかを把握するには有効な指標です。平均値を絶対的な正解とするのではなく、改善優先度を見極める目安として活用することがポイントになります。

フォーム完了率が低い場合は、入力負荷の見直しが改善の第一歩

例えば、フォーム完了率が低いということは、問い合わせ意欲の高いユーザーが最終段階で離脱しているということです。この場合、まず見直したいのがフォームの入力負荷です。項目数が多すぎないか、必須項目が多すぎないか、入力画面のUI(ユーザーインターフェース)が分かりづらくなっていないか。こうした点を確認することで、完了率の改善につながる可能性があります。

セミナーでは、「会社名」「氏名」「メールアドレス」など、必要最低限の入力項目に絞ることも改善策の1つとして紹介しました。問い合わせしたいと思ってフォームまで来てくれたユーザーは、既にかなり成果に近い位置にいます。そのユーザーを入力の煩雑さで取りこぼしてしまうのは、非常にもったいないことです。小さな修正に見えるフォーム改善こそ、成果への影響が大きいテーマだといえます。

フォーム到達率が低い場合は、成果に近いページの離脱要因を見極める

一方で、フォーム到達率が低い場合は、ユーザーがどのページで止まってしまっているのかを見ていく必要があります。セミナーでは、問い合わせ完了に至ったユーザーを「セグメント」として抽出し、そのユーザーが訪問時にどのページを見ていたのかを確認する方法を説明しました。これにより、「コンバージョンしやすいユーザーが見ているページ」、つまりコンバージョンポテンシャルの高いページを特定できるのです。

さらに、そのページごとの訪問数、離脱数、エンゲージメント率を組み合わせて見ることで、「本来は成果につながりやすいのに、途中で離脱されているページ」も浮かび上がってきます。こうしたページは、改善の優先順位が高いといえます。例えば、サービス紹介ページの途中にCTAボタンを設置し、ユーザーがページのすべてを読み終える前でも、自然に問い合わせへ進める導線をつくることは、有効な改善策の1つでしょう。

AI活用は、分析後の改善アクションを加速させる手段になる

セミナーの後半では、GA4分析の先にある改善アクションをどうスピードアップさせるかという観点から、AI(人工知能)活用にも触れました。GA4から必要なデータを抽出するところは人が担う必要がありますが、その後のデータ整理や論点抽出、改善案の優先順位づけについては、AIを補助的に活用することで効率化しやすくなります。

複数ページのデータを見比べながら仮説を立てる作業は、どうしても時間がかかります。そうした工程の初期整理をAIに任せることで、担当者はより重要な意思決定や改善実行に時間を使いやすくなります。分析だけで終わらせず、実行までつなげるための工夫として、AIは実務の中でも有効な選択肢なのです。

サイト内の“取りこぼし”可視化から、CV改善を始める

アクセスがあるのに成果が出ないとき、まず見るべきなのは集客施策ではなく、サイト内部でどこに損失があるのかという点です。コンバージョンを定義し、フォーム完了率とフォーム到達率を切り分け、全体を俯瞰しながらボトルネックを特定する――。この流れを押さえるだけでも、改善施策の精度は大きく変わってきます。

問い合わせを増やしたいと考えたとき、新しい施策を追加する前に確認すべきは、今あるアクセスをきちんと成果につなげられているかどうかです。GA4を使ってサイトの“取りこぼし”を可視化し、優先順位の高い改善から着実に進めていくこと。それが、コンバージョン改善の第一歩になるはずです。