2026年7月16日(木)に『採用サイトを活用した広告戦略で、プル型からプッシュ型の採用サイトへ』と題したセミナーを開催しました。
株式会社揚羽のブランドコンサルティング部で、シニアコンサルタント兼クリエイティブディレクターを務める板倉 マサアキが登壇し、採用サイトと採用映像を掛け合わせた広告戦略について解説しました。
本記事では、早期化・売り手市場化が進む採用市場の現状を踏まえ、採用サイトと採用映像を掛け合わせた「プッシュ型」の広告戦略やその実践事例について解説します。
採用市場の現状と課題:早期化と売り手市場が同時に進行
プッシュ型の採用戦略が必要とされる背景には、採用市場の急激な変化があります。現場の採用担当者が押さえておくべき3つの前提を整理します。
① 就活開始時期の早期化:大学2年生の冬には約2割が始動
就職活動のスタート時期は、年々前倒しされています。
2019年卒の調査では「大学3年生の冬」が最も多い回答でしたが、2025年卒では「大学2年生の冬」までには既に約2割が就活を開始していました。
特に、難関大学の学生ほど早期化の傾向が顕著であり、22.8%の学生が大学2年生の冬までに活動を始めています。
つまり、企業側が接点を持ちたい優秀な層ほど、企業の予想よりも早く情報収集を始めているのが実態です。
出典:パーソル総合研究所「新卒就活の変化に関する定量調査」
② 売り手市場の加速:約6割の学生が複数内定を保持
学生が獲得する内定数も増加傾向にあります。
2025年卒において、2社以上から内定を得ている学生の割合は約6割にのぼります。また、5社以上から内定を得ている学生も8人に1人(約12%)もいます。
売り手市場の傾向はますます強まっています。学生は複数の選択肢から入社する1社を選ぶため、企業側は自社を選んでもらうための「魅力付け」を戦略的に行う必要があります。
出典:パーソル総合研究所「新卒就活の変化に関する定量調査」
③ 学生の就活観の変化:「働きやすさ」に加えて「働きがい」を重視
働き方改革や人的資本経営の浸透により、労働環境の整ったいわゆる「ホワイト企業」が増加しました。
一方で、環境が緩すぎて成長が見出だせない「ゆるブラック」という言葉も生まれています。
近年の学生が企業選びで重視する項目でも、「やりがいを感じる」「自分の能力を生かせる」といった声が増加しています。したがって、企業には以下の2点を両立させたコミュニケーションが求められます。
- 待遇や福利厚生などの「働きやすさ(安定感)」
- 自己成長や仕事のやりがいなどの「働きがい」
これらをバランスよく伝え、学生に理想的な働き方を具体的にイメージしてもらうことが不可欠です。
出典)インタツアー株式会社 「25卒対象 就活における「業界・企業選び」についての意識調査」
採用情報収集の主戦場:採用サイトと映像コンテンツの重要性
就職活動の早期化や複数内定の一般化に伴い、学生が自身のタイミングで企業情報を収集する機会が格段に増えました。その主戦場として存在感を高めているのが「採用サイト」と「採用映像」です。
採用サイトの閲覧傾向:2025年卒の63.1%が情報源として活用
学生の情報入手方法として、個別企業のホームページ(採用サイト)の閲覧率は高い水準を保っています。2025年卒の調査では、63.1%と各種情報源のなかで最も高い割合となりました。
複数の選択肢を持つ学生自社をアピールするためには、採用サイトの位置づけがますます重要になります。
また、若年層はタイムパフォーマンス(タイパ)を重視する傾向があるため、必要な情報へ短時間でアクセスできるサイト設計が不可欠です。
出典:株式会社キャリタス 「採用ホームページに関する調査」
採用動画の視聴状況:直近1年で約8割の就活生が視聴
映像コンテンツの活用も同様に重要性を増しています。
直近1年間に就職・転職活動を行った人のうち、約8割が採用動画を視聴しています。また、視聴本数は「2本(34.2%)」「3本(25.5%)」が主流でした。
当社揚羽が創業した2001年当時、会社説明会で映像を活用する企業は少数でした。現在では、多くの企業が多様な映像を通じて自社の魅力を発信しています。
映像は、学生の情報収集を支える存在として、一層重視されるようになっています。
採用映像の役割変化:「説明会用」から「採用サイトの誘引施策」へ
採用映像は、伝えたい内容によって主に以下の4種類に分類されます。
| 映像の種類 | 内容と主な使いどころ |
| コンセプト映像 | 1分から2分程度の短い映像で、掲げる採用コンセプトの世界観を強く印象づける。説明会のオープニングや採用サイトのトップページなどで使用 |
| 仕事紹介映像 | 従業員のインタビューを交え、仕事の魅力や業務理解を促進する。説明会での上映や採用サイトの特別コンテンツとして使用 |
| プロジェクトストーリー映像 | 企業の印象的なプロジェクトを取り上げ、事業の醍醐味やダイナミックさを伝える |
| 座談会映像 | 従業員の座談会を通じて、企業の魅力やカルチャーを生の声で伝える |
以前は、これらの映像は説明会に参加した学生にのみ公開するコンテンツでした。しかし近年は、採用サイト内に積極的に掲載し、説明会や選考への誘導(誘因施策)として機能させる企業が増加しています。
採用サイトの課題:「プル型」の限界と「プッシュ型」の必要性
採用サイトの真価を発揮させるうえで押さえておくべきなのが、採用サイトはあくまで「プル型」のツールであるという性質です。
合同説明会などで接点を持った学生が、自ら社名を検索してサイトにたどり着いてようやく見てもらえます。逆にいえば、サイトにアクセスされない限り、魅力的な映像やコンテンツも見てもらえません。ターゲットとなる学生のうち、自然にアクセスしてくれるのはごく一部です。
採用サイトの効果を最大化するためには、プル型で待つだけでなく、自ら学生の生活動線上に露出していく「プッシュ型」の施策が必要不可欠です。
成功事例|コーポレート映像の採用活用で、インターンシップのエントリー数が倍増
弊社揚羽が、パーパスの策定からクリエイティブ開発、広告運用までを一気通貫で伴走支援した、コーポレート映像を採用活動に活用した事例をご紹介します。本事例では、以下のステップで実行しました。
・パーパスの策定とムービー化
周年を機に、経営層から現場社員でパーパス(存在意義)を言語化し、ドラマ仕立てのムービーを制作。就活生が「パーパスへの共感」を企業選びの基準にできるよう設計しました。
・主要メディアへの広告出稿
YouTube、TVer、Instagram、TikTokなどの媒体へ、15秒や30秒の広告を出稿。広告費は媒体ごとに月額50万円~100万円程度で実施しました。
・詳細なターゲティング
年齢、大学、特定の企業サイトの閲覧履歴などのデータを活用し、ターゲット学生へ効率的に配信しました。
この結果、インターンシップのエントリー数が倍増し、本選考へ進む学生の歩留まり改善にもつながりました。採用向けに制作した映像でなくても、学生に響く内容であれば広告出稿する価値があることを示しています。
デジタル広告活用の強み
採用領域におけるデジタル広告の活用には、主に以下の強みがあります。
- 詳細なターゲティングが可能:年齢、性別、地域、サイト閲覧履歴、位置情報などを絞り込んで配信できる。
- 定量的な効果検証が可能:サイト閲覧数、広告表示回数、視聴数といった指標で費用対効果を確認できる。
例えば「特定の大学周辺に何度も位置情報履歴がある人へ配信する」といった設計も可能です。効果を数値で確認できるため、採用部門としてもスモールスタートで導入しやすい施策だといえます。

まとめ|今ある素材を生かして、採用サイトの真価を引き出す
採用市場の変化に対応し、プル型の採用サイトをプッシュ型へ転換する考え方を解説しました。新しく映像を作るだけが解決策ではありません。以下のような課題を持つ企業は、アプローチを見直すチャンスです。
- 採用サイトを制作したが、誘導施策を実施していない
- 採用で使える映像素材があるのに、限定的にしか使用していない
- SNS広告に興味はあるが、効果や運用方法がわからない
採用チーム以外の部門(広報部門など)が制作した映像が採用活動に生きるケースも多々あります。
まずは社内の素材を棚卸しし、届けたい学生の生活動線上に配信することから始められます。
株式会社揚羽では、コンサルテーションからクリエイティブ開発、広告運用までを一気通貫で支援しています。採用サイトに込めた魅力を、まだ出会えていない学生へ届けたいとお考えのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。









