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セミナーレポート~SDGsへの取り組みを加速させるサステナビリティビジネス実践術[ブランディング×ソーシャルプロダクツ開発]~

SDGsへの取り組みを加速させるサステナビリティビジネス実践術[ブランディング×ソーシャルプロダクツ開発]

皆様、こんにちは。営業部の石田です。

 
先日8月24日(水)に、一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)事務局長であり、株式会社YRKand取締役東京代表の深井 賢一氏をお呼びし、「SDGsへの取り組みを加速させるサステナビリティビジネス実践術[ブランディング×ソーシャルプロダクツ開発]」と題してオンラインセミナーを開催いたしました。

 
本セミナーでは、揚羽の黒田より、サステナビリティ時代において変化するコーポレートブランディングについてお話しました。また、深井氏からは、昨今のあらゆる値上がりを商品、サービスの付加価値へと変換するブランディングについてお話しいただきました。
 

第1部『ブランディング新時代 共創価値の創出で仲間を増やす』


スピーカー:黒田 天兵 氏
株式会社揚羽
SDGsトランスフォーメーショングループ グループ長
*YouTubeチャンネル 「SDGs Biz」公式YouTuber

 

サステナビリティは儲からない!?

第一部、株式会社揚羽の黒田より、サステナビリティ時代において変化する会社全体のブランディングについてお伝えしました。
 

「サステナビリティは儲からない」というテーマでSDGSとビジネスの関係について考えてみます。SDGsは2015年に登場し、2020年頃に注目を集めました。とある調査では、サステナビリティは12兆ドル(300億円相当)の市場規模があり、3億8000万人の雇用を生む期待値をもっていると話題になりました。
 

SDGsの掲げる17項目の目標に対して、どういうビジネスを行う企業が成功しているのかについて詳しく調べてみました。調べてみた結果として、これらの目標が何かしらの理由でビジネスでは解決し切れなかった課題であることが分かりました。ビジネスの本質は、人の困りごとや悩み、課題を解決することです。見方を変えれば、これらの目標は何かしらの理由でビジネスから取り残されてきた課題であるということができます。SDGsの掲げる課題はビジネスで取り組もうとすると非常に難しい課題であり、「すぐに」「簡単に」儲かるようなものではないといえます。
 

ただ一方で、急成長を遂げている企業もあります。テスラという電気自動車(EV)メーカーは、時価総額1兆ドル(113億円相当)の時価総額に到達し、日本を含む世界の主要な自動車メーカー7社を束にしてもかなわない時価総額まで成長しています。このほかにもオーステッドという洋上風力発電を行う会社がありますが、2020年に電力会社10社の合計を上回る620億ドルもの時価総額まで到達しました。このように、SDGsの目標達成にコミットして大きな利益を上げている企業も世界には存在し、グリーンジャイアントと呼ばれています。
 

その他によく話題になるビジネステーマとしては、例えば 「気候変動、脱炭素」の目標に対しては、電気自動車(EV)、再生可能エネルギー、CCSという二酸化炭素を地中に埋める技術に関する話。また、「豊かな自然を守る」という目標に対しては、脱プラスチックの流れでプラスチックに代わる素材を作っているメーカーが成長していたり、シェアリングエコノミーなども話題にあがります。

 

その他にも国からの支援が増えている分野もあり、SDGsに関するビジネスは年々確実に増えている状況にあります。しかし、現状は当初想定されていた年間12兆ドルという巨大な市場に対してあらゆるビジネスが生み出されるような状況にはありません。SDGsの掲げる社会課題の解決のためには、企業同士がもっと協力し合い、工夫していく必要があると感じています。

 
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ここまでお話してきたように、SDGsなど社会課題の解決は今すぐに儲かるという性質のものではありません。現在、大手企業をはじめとしてSDGs、ESGやCSVなどに取り組んでいますが、各企業は目先の利益ではなく中長期的な視点に立ち、社会課題に対して長期ビジョンやパーパスを掲げ力を温存している状況にあるといえます。

 

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サステナビリティが企業に求める本質

こうした話も踏まえ、「企業はサステナビリティで何をすればいいのか」「これからどのようなことに取り組んでいけばよいのか」についてお話します。
 

先日とあるメーカーのお客様からご相談をいただきました。海外(欧州)に拠点をもつお客様ですが、EcoVadisという認証機関から人権への取り組み、環境、脱炭素などの項目についてレポート提出を求められ、提出しなければ今後海外でのビジネスが行えなくなる危険性があるとのご相談でした。EcoVadisをはじめとして、サステナビリティに関する認証・評価機関、宣言などは多数登場しています。
 

こうした時代において、サステナビリティが企業に求める本質は大きく分けると2種類に分けられます。1つ目は、リスクを最小化すること(同質化)です。数々の認証機関からの評価を得ることや、国際的な要請に応じることをしていなければ、今後ビジネスが出来なくなってしまう可能性があります。こうしたリスクに対応することがまずは必要です。
 

2つ目は、機会へ挑戦していくこと(差別化)です。今までの大量消費型の経済から循環型の経済へと移り変わっていく中で、新たなビジネスチャンスが生まれてきます。リスクへの対応をする一方で、そうしたビジネスチャンスを取りに行くため、機会へ積極的に挑戦することが求められます。

 
現状の企業の多くは、まずはこのリスクへ対応することを求められています。基準を満たしていないことで批判を喰らってしまうと、その後の活動に影響する可能性があるためです。
しかし、ビジネスの本質は市場から選ばれることにあります。まずは基準や指標に応えながら地盤を固めつつ、社会の流れをとらえながら機会に積極的に挑戦していくことが必要です。同質化だけでは企業は社会から選ばれることができず、生き残ることができません。
 

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成功する企業の特徴

サステナビリティが重視される今の時代において、共感、指示される企業、ブランドの特徴についてお話します。成功する企業は独自性を活かしながら、他企業と差別化してうまくビジネスを行っています。サステナビリティと向き合わなくてはならない時代をチャンス(=機会)としてとらえ成長している企業ということができます。
 

特徴の1つ目は、パーパスを設定していることです。パーパスを設定し、自分たちが何のために存在しているのか、自分らの活動のゴールを明確にすることが、企業としての判断の軸をぶらさないためにも非常に重要です。 
 

2つ目は、「改革をしよう」という挑戦や変革へ前向きな組織カルチャーがあることです。あらゆる企業のお話を聞く中で、中長期的に設定したゴールの達成に向かうためには、その実現をささえる土台としての組織カルチャーが必要であることを感じます。社員の自発的な挑戦を促す文化は、外部環境の変化にも対応し、企業を再び成長軌道へと乗せることができます。また、昨今話題となっている人的資本経営でも組織文化は項目として最も重要度が高いこともこうした主張を裏付けています。
 

「自分たちらしいカルチャーは何だろうか」「今もつべきカルチャーとはなんだろうか」を問い直し、向かうべきゴール(パーパス)と併せて設定することで、会社のブランドとしていくことが必要であると感じています。
 

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第2部『値上げを付加価値に変える、サステナブルブランディング』


スピーカー:深井 賢一 氏
株式会社YRK and
一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)

 

ソーシャルプロダクツとは?

第二部では、株式会社YRK and 取締役 東京代表、一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP) 事務局長の深井 賢一氏にソーシャルプロダクツの普及推進という切り口からサステナブルブランディングについてお話いただきました。
 

はじめに、ソーシャルプロダクツについて簡潔にご説明します。ソーシャルプロダクツとは、オーガニック、フェアトレード、エコ&3Rなど人や地球に優しい商品サービスの総称です。2021年ヒット商品番付でも「サステナブル商品」というキーワードが取り上げられるなど注目度が増しています。
 

サステナビリティ時代におけるSDGsのあり方

ソーシャルプロダクツをはじめとして、サステナビリティへの注目度は増しており、昨今SDGsに注力される企業は増えています。
 

SDGsについてご相談をいただく機会も増えていますが、よくいただくご相談として「①どこからはじめればいいのかわからない」や「②会社として取り組んではいるが点での取り組みとなっている」があります。また、取り組んではいても「③商売、ビジネスにならないこと」や「④自分の仕事と結びつかないこと」に関するお悩みもあるようです。
 

SDGsは、今までは主に株主への対策として、CSR、IR、広報、経営企画などのスタッフ部門が担っていましたが、これからの時代においては、購買、調達、生産、広告宣伝、営業などライン部門が担うビジネスそのものへと移行しています。
 

これからの時代において、サステナビリティは、マーケティングやブランディングそのものとなり、SDGsはサステナビリティを強化するための有効な手段となっていくと言えるでしょう。

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値上げは社会問題への活動量?

続いて、値上げの問題について取り上げます。昨今、人件費や燃料費などあらゆるコストが上昇しており、これらのコストの上昇に応じて値上げが起こっています。
 

こうしたコストの上昇の背景には、貧困、人権問題、紛争など「 社会問題のコスト」と「その解決のためにかかるコスト」が影響しています。つまり、値上がりは社会が抜本的に良くなる、社会問題が改善しない限り収束しない構図になっています。
 

また、コロナショックがもたらした変化として2つの大きなパラダイムシフトがありました。1つ目は、ソーシャルシフトです。製造工程や流通の経路など、今まで見せる必要がなかったことを見せないと信用されないという価値観にシフトしています。トレーサビリティはその代表例です。2つ目は、デジタルシフト。ソーシャルシフトに力を割くほどコストは莫大にかかります。デジタルの力を上手く活用し、今まで必要だと思われていた「時間」「場」「プロセス」を減らす、省く、無くすことでコストを削減することに注力するべきです。
 

社会問題がある限り、コストは増えていきます。一方で、コストアップが社会問題に根づいている以上、コストを下げることは社会問題への「活動量」ということもできます。コストを下げ、社会問題の解決に迫るためにも、コストを社会全体で負担することが必要です。そのためには、商品やサービスの購入動機を「参加・応援・共感」へと価値を転換させなければいけません。

 
「差別化」は、ビジネスにおける基本的な考え方です。しかし、市場が飽和する現代において、値段の安さ、近さ、便利さ、スペック、性能、効果などの言葉や数字で表される違いによって市場から選ばれることにはもはや限界がきているといえます。

 
また、サステナビリティ・SDGsにおいては、全員が共通の課題に取り組む必要があります。そのため、全員が同じことに取り組まざるを得ず、結果として同質化が起こります。
商品、サービスが同質化すると、結果として価格競争になり、ますますビジネスとしては厳しい状況に陥ります。

 
サステナビリティの文脈において、競合と比較した要素で差別化するのではなく、「協力したい」「共感する」「参加したい」「応援したい」などの感情を喚起し、ユーザーに選択してもらう「差異化」につなげていくことが必要であると考えています。

 
ソーシャルプロダクトは、ユーザーからのこうした感情を生み出すことができます。ここからは、これらの感情の付加価値をつけるためのポイントについて解説します。
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購入を共感・参加・応援へ変える

以下は、APSPが毎年実施している生活者調査結果の一部です。ソーシャルプロダクツを購入しない理由や不満についての調査結果です。購入しない理由として、「一般的な商品と比較して値段が高いこと」が最も多い結果で30%ほどを占めました。

 
一方で、「どれが該当商品なのかわからない」「身近に購入できる場所がない」「商品の種類が少ない」「品質が十分ではない」「デザインが洗練されていない」などがその他の理由として挙がりました。これらの理由は、そもそも商品性やブランド性が担保されていないということを示しており、一般的な商品においてもこれらの条件を満たしていないものは売れません。
 

調査結果から、ソーシャルプロダクツがいかに人や社会に良いものであったとしても、商品性、ブランド性が担保されていないと購入されないといえます。社会性を訴求する以前にまずは商品としての質を担保することが必要です。

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続いて、ソーシャルプロダクツがどのような社会貢献に取り組めば値段が高くても買ってもらえるのかについての調査結果が下図です。

 
1,2番目に回答者が多かった「自分の関心が高い活動」「深刻な社会課題を解決する活動」という点を満たすことはハードルが高いかもしれません。

 
しかし、それらに次いで「商品や事業を通した活動」「その企業やブランドらしい活動」「最小限の活動」「自分も参加可能な活動」を購入する理由として回答する人が多い結果でした。これらの項目については既存の事業の延長線上で十分に着手することができます。

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また、「ソーシャルプロダクツに関するどんな情報を知れば値段が高くても購入したいと思うのか?」について調べたところ、「活動の具体的内容」「お金の流れ」「活動の成果」などの項目については、ある程度実績がなければ打ち出しづらいですが、「活動の目的・動機」や「活動の背景にある社会課題」については、実績が無くても始めるタイミングで打ち出すことにより、生活者にとって付加価値となることが分かります。

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また、株式会社博報堂の2017年の生活者の社会意識の調査によると、全体の61%が「社会や環境に悪影響な商品は買わない」と回答し、66%が「社会や環境に不誠実な企業の商品は買わない」と回答しました。この調査により、生活者は企業に対して「誠実さ」を非常に重視していることが分かります。

 
では、「誠実さ」の定義とはどのようなものでしょうか?企業の「誠実さ」とは、「透明性」と同義です。企業が新たな取り組みを始める際には、多少の問題はあっても、取り組みの目的や動機、解決したい社会課題を宣言して、その取り組みの過程を積極的に打ち出していくことが重要です。 「自分たちの取り組みは、まだ完璧ではないですが、皆さん少しずつ良くしていけませんか」と世間に向けて打ち出すことで、生活者の共感、応援や参加を生むのです。

 
実績ができるまで開示しないなど、完璧さを担保するまで黙秘することは、かえってリスクであるということがこれらの調査結果より明らかになったといえるでしょう。

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換算と変換

企業として訴求していくに際してのポイントをお伝えします。それは取り組みの目標を個人ではなく集団、社会として達成すべき大きなゴールに換算、変換することです。
 

商品1つあたり、顧客1人あたりという単位では効果は非常に微々たるものですが、1年、10年というより長いスパン、日本全国や世界全体というより広い範囲、2030年のSDGsの達成目標に対してこのくらい接近しているというより大きな目標に対する進捗度に変換します。
 

こうした変換、換算を行うことで、生活者の購入動機は目標数値に向かって一緒に参画する仲間だというものに変化していきます。生活者は値段の高低で選択するのではなく、その商品やサービスを選ぶことによって地球や社会への貢献活動に自らも参加しているというという軸で選択します。すなわち「最小限の活動」から参加するという動機が形成されるということです。
 

また、こうした動機づけは、事業やその企業らしさを出すことにもつながっていきます。今皆さんの会社のバリューチェーン、サプライチェーンの中でもうすでに取り組まれていること、できることはすでにあるかと思います。しかし、目指す目標がうまく変換、換算されてないと生活者の感情を喚起することはできません。

 
商品の品質あるいは機能によって買うことを選択されるのではなく、「協力、参加、応援」などの生活者の感情を喚起する「付加価値」を生み出していくことがブランドコミュニケーションです。こうしたコミュニケーションを形成することによって、値上げが単なる値上げでなくて付加価値になっていくのです。

 
 
 

以上、8月24日開催オンラインセミナー「SDGsへの取り組みを加速させるサステナビリティビジネス実践術[ブランディング×ソーシャルプロダクツ開発]」のセミナーレポートでした。

 

弊社ではサステナブルブランディングに活用いただける資料もご用意しています。事例をまとめた資料もございますので、下記からぜひご覧くださいませ。

 

お役立ち資料はこちら

 

今後も皆さまのお悩みを解消できるようなセミナーを随時開催していきますのでご期待ください。

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WRITER

プロデューサー
営業マネージャー

石田卓也

新卒で揚羽に入社後、人事や広報担当向けのソリューション営業に従事し4年目でMVPを獲得。現在は現場で学んだ経験を武器にマーケティング・育成など営業組織の改革にチャレンジしています。学生時代は体育会系で部活ばかりやっていました。

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