インナーブランディングは従業員のエンゲージメントを向上させることで、組織全体の底上げ・成長につなげる施策の1つです。その手法は多種多様で、企業が持つ課題や目的によって適している施策は異なります。

今回はインナーブランディングの施策について、これまで当社が支援してきた実績から成功事例を厳選して詳しく解説します。課題・目的からどういった施策を実施することがインナーブランディングの成功につながるのかを押さえてみましょう。

インナーブランディングにおける成功とは

インナーブランディングとは、端的にいえば「従業員への投資活動」といえます。人材をコストではなく資本と捉える「人的資本経営」の重要性が高まる中、従業員を生かすための投資としてインナーブランディングは有効な施策の1つです。

 

インナーブランディングの具体的な施策は、下記のようにさまざまです。

  • 企業理念の浸透
  • インセンティブや表彰制度の導入
  • 教育 など

 

インナーブランディングの真の目的は「従業員のエンゲージメントを高めること」であり、その結果、企業の持つ質・量の価値をこれまで以上に顧客に対して発揮し、利益につなげてこそ、インナーブランディングの成功といえます。

施策を実施するにあたって、総合的には費用と時間がかかるため、インナーブランディングは長期的・持続的な投資効果として考えることが重要です。

従業員に響くかがポイント

インナーブランディングの成功を違う側面からみると、従業員に響いているかも重要なポイントです。

インナーブランディングを成功させる上で重要なのは、その投資活動が「従業員に響くか」であり、実現するためにはすべての活動の軸となる「コンセプト」をしっかり作ることが欠かせません。「何のためにやるのか?」「自社らしいか?」「何を目指しているのか?」の問いに対して、どの取り組みにおいても一貫して同じ回答ができれば、従業員に響く取り組みができているといえます。

インナーブランディングに取り組む企業や組織がこうした状態であれば、従業員のエンゲージメントも高まりやすく、インナーブランディングを成功へと導けるでしょう。

【おすすめ資料】インナーブランディングに効く8つの施策

事例1:新しいコミュニケーションを生み出すブランディング(株式会社ニッセイコム)

新しいコミュニケーションを生み出すブランディング(株式会社ニッセイコム)

企業ブランド強化のためにインナーブランディングの施策を実施した事例です。

クライアント 株式会社ニッセイコム
工程 調査 / 戦略策定 / コンテンツ制作

インナーブランディングの背景

株式会社ニッセイコムは、2015年にコーポレートブランドをリニューアル。その後、DX推進やAIなどの技術発達、新型コロナウイルスの感染拡大など、急速な世の中の変化により企業も大きな変革が求められる時代に突入したことを実感し、10年後、20年後の未来を見据えて社会貢献できる企業を目指すためには、企業ブランドの強化が必要と認識したことを背景にインナーブランディングを実施しました。

具体策〜成功へ

企業ブランドの強化にあたって、まずはニッセイコムの提供する価値を整理して従業員が認識しやすいスローガンとして落とし込み、可視化させ、社内にスムーズに浸透させることを目指しました。

ニッセイコムの価値を正しく洗い出し、ブランドの核となるコアバリューを導出するために、経営者の方々へのインタビューやワークショップを開催。そこで出たワードやフレームワークから「ニッセイコムの価値」を洗い出し、導出したコアバリューをブラッシュアップしてブランドメッセージを創出しました。さらに、メッセージを視覚からも直感的に理解してもらうため、キービジュアルも制作。

言葉・ビジュアルとして形になった「ブランド」を、新たに制作した特設ブランドWebサイトやブランド映像、ストーリー映像を用いて、社内での浸透を図りました。

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事例2:ルーツから未来までをストーリーで描いたブランドブック(ぺんてる株式会社)

インナーブランディング_ルーツから未来までをストーリーで描いたブランドブック(ぺんてる株式会社)

新たに策定したビジョンを社内外により浸透させ、ブランド力の向上につなげるためにインナーブランディングを実施した事例です。

クライアント ぺんてる株式会社
工程 企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 取材・撮影 / コピーライティング / デザイン

インナーブランディングの背景

ぺんてる株式会社では2013年に新たなビジョンを策定し、ビジョン浸透のために「コーポレートレポート」を作成。2016年には創業70周年を迎え、2018年にビジョンのさらなる浸透を目的に「コーポレートレポート」の全面刷新を検討されていました。揚羽では、従来の冊子とは一味違った、ビジョンをどう具現化してどのような未来の姿を描いていくのかを伝える「ビジョンブック」の制作を提案いたしました。

具体策〜成功へ

ビジョンブックは「従業員がビジョンを自分事化し、ぺんてるの向かうべき方向をイメージできること」「社内外のステークホルダーに、ぺんてるのファンになっていただくこと」の2つを大きなゴールに設定。このゴールに向かって、まずはビジョンの浸透度や「コーポレートレポート」の現状を正しく理解するためのリサーチを実施しました。

そして、企業のルーツから現在、未来につながるストーリー構成でビジョンメッセージを再定義。創業時のものづくり精神が現在の製品にどう受け継がれ、さらに未来に向けてどのような変革にチャレンジしていくのかを解き明かす構成にしたことで、自社の製品や取り組みがビジョンと密接に繋がっていることが理解できるような内容を作成。

また、冊子のビジュアルは「アナログ」「カラフル」をテーマに、ビジョンに込められた想いを誌面上で表現。ぺんてるの強みである「色」と個性豊かな筆跡を採用し、アナログならではの世界観でぺんてるの独自性を全面に押し出しています。

コンテンツの内容だけでなく、ビジュアルにもビジョンや想いを詰め込んだことで「ぺんてるらしさ」をふんだんに取り入れたビジョンブックが完成しました。

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事例3:結成10周年記念事業支援(LIXIL労働組合)

インナーブランディング_結成10周年記念事業支援(LIXIL労働組合)

労働組合の結成10周年目の節目に、改めて理念を見つめ直して絆を深めることを目的に実施した周年事業の事例です。

クライアント LIXIL労働組合
工程 コミュニケーション設計 / コンテンツ制作 / イベント運営

インナーブランディングの背景

12,000人を超える組合員が参加するLIXIL労働組合は、2022年に結成10周年を迎えました。これを機に改めて組合理念の見つめ直し、組合活動の意味を理解して絆を深めるための周年記念施策を検討。10周年記念事業をインナーブランディング強化の一つと捉え、揚羽では企画案の検討段階からプロジェクトに参画し、企画運営まで支援しました。

具体策〜成功へ

すでに策定されていた周年事業全体をくくるコンセプト「未来につなげる、無限のWA」を形にすべく、ロゴから映像、オンラインイベントを一貫してプロデュースしました。「笑」「話」「羽」「輪」「和」など様々なWAが感じられる周年にしたいという想いを具現化するための各種制作物をご提案。とくに、記念誌は対外的な広報の役割も兼ねていることから、基本情報を入れつつ、同組合らしさが感じられる内容を厳選して年表を作成し、10年間の活動軌跡から会社の変化を訴求しています。

周年ロゴはコンセプトを元に人と人とのつながりを表現したビジュアルに、特設サイトや周年サイトを彩るキービジュアルはロゴを中心にワクワク感が醸成されるような表現を入れ込みました。イベントという体験型のコンテンツであるからこそ、直感的に理念や想いを感じられるよう細部までこだわり協働した結果、10周年記念事業を成功に導くことができました。

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事例4:新たな学びのプラットフォームの社内浸透を支援(旭化成株式会社)

中期経営計画実現のための重要施策に位置付けられた、従業員の自律的なキャリア形成や成長を後押しする学びのプラットフォームの社内浸透施策の事例です。

クライアント 旭化成株式会社
工程 コンセプト策定・言葉づくり / コンテンツ制作

インナーブランディングの背景

旭化成株式会社は新たに中期経営計画を策定し、2022年度4月より始動。変革に向けて取り組むテーマの1つに「人財」のトランスフォーメーションを掲げました。その支援策として、新たなラーニングマネジメントシステム「CLAP(Co – Learning Adventure place)」を導入。旭化成株式会社が目指す組織風土や終身成長の実現のためにはCLAPを社内に広く認知させ、利用促進を図る必要があることから、スローガンやロゴ、キービジュアルの策定、浸透映像を制作することになりました。

具体策〜成功へ

浸透のための第一ステップとしてまずは認知が必要であったことから、導入の目的やそこに込められている想いに理解・共感してもらうため、スローガンやブランドロゴ、キービジュアルや浸透映像の制作をご支援。

スローガンは、本プロジェクトのメンバーや社長へのインタビューを元に決定。そして、スローガンに込められた想いを視覚的にも浸透させるためにブランドロゴやキービジュアルを制作しました。コンセプト映像は使用イメージや社長インタビューの映像を取り入れることで、代表の想いと具体的な活用方法をわかりやすく伝えられるよう工夫しています。映像は実際の社員の写真を使用することで、イメージ素材だけでは表現できない当社らしさを演出。スローガンをベースに、一貫したイメージを与えられる制作物から、プロジェクトメンバーや社長の想いが直感的に理解・共感できるアウトプットを通じて浸透活動に寄与しました。

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事例5:MVV策定から、ブランドコミュニケーション計画まで構築(株式会社メフォス)

インナーブランディング_MVV策定から、ブランドコミュニケーション計画まで構築(株式会社メフォス)

新規顧客獲得やステークホルダーのエンゲージメント向上を目的に、インナーブランディングに取り組んだ事例です。

クライアント 株式会社メフォス
工程 調査 / 言葉づくり / 戦略策定 / クリエイティブ制作

インナーブランディングの背景

新規顧客獲得を目的とした企業プロモーションを検討していた株式会社メフォスは、揚羽と訴求内容や方向性を整理していく過程でブランド価値が不明瞭であることに気づきました。そこで、プロモーションに取り掛かる前に、自社らしさを定義するMVV(Mission・Vision・Value)の策定を実施。MVVは組織の核となる概念であり、行動や意思決定を導く重要な要素です。プロモーションは組織の想いを反映させることが重要であることからも、まずはインナーブランディングにより自社らしさを導き出すことから始めました。

具体策〜成功へ

「組織的なブランド要素」は、現場で活躍する社員の「姿勢」や「想い」といった「一人ひとりのブランド要素」と株式会社メフォスの文化を形成するヒストリーから構成されるものです。組織的なブランド要素を抽出するため、まずは同社の社員や役員、社長へのインタビューを実施しました。抽出されたブランド要素から“らしさ”を構造化し、MVVの核となるコア・バリューを決定。取材から約4ヶ月をかけて、全体の要素をMVVとして落とし込みました。

あわせて、MVVを直感的に理解してもらうためにビジュアルも策定。MVVを具現化できるテーマ・表現方法を見つけてイメージとマッチする作家をキャスティングし、同社の姿が直感的に感じられるような表現が完成しました。MVVはブランドサイトやポスター、コンセプトムービーに落とし込み、ステークホルダーに向けたコミュニケーションツールとしても機能させることに成功しました。

株式会社メフォスのインナーブランディングの詳細はこちら

インナーブランディングを成功させるために

インナーブランディングを成功させるためには、以下ステップでPDCAサイクルを回して運用していくことがポイントです。

ステップ0:現状を調査する
ステップ1:言葉づくり
ステップ2:言葉を浸透させていく
ステップ3:相互理解の場を設ける

インナーブランディングを成功させるための3ステップ

ステップ0を飛ばしてしまうと、自社のインナーブランディングに必要な施策を具体的に検討することが難しくなってしまう恐れがあります。なぜなら、現状の課題や理念などの浸透度によって、実施すべき施策が異なるからです。現状調査には、従業員サーベイや直接対話などが有効です。
揚羽の考えるインナーブランディング施策の実施手順では、ステップ1を「言葉づくり」としています。その理由は、言葉があることでインナーブランディングで目指すべき姿を従業員に明確に伝えることができるからです。言葉を浸透させるための適切な施策を検討し、浸透した言葉を「個人の理解・共感」から「組織の理解・共感」に変えていくために、経営層と従業員の相互理解の場を設けることで、インナーブランディングを成功へと導けると考えています。

【お役立ち資料】インナーブランディングのための3つのステップ

成功に役立つエンプロイージャーニーマップ

インナーブランディングを実施する上で、エンプロイージャーニーのようなツールを活用することもおすすめです。エンプロイージャーニーとは従業員が入社してから退職し、OB・OGになるまでの道のりのことであり、エンプロイージャーニーマップはその過程を可視化したものです。インナーブランディングの第一の目的は従業員エンゲージメントの向上であるため、エンプロイージャーニーマップを活用することで従業員の体験価値の検討・向上からエンゲージメントを高める効果に期待できます。

「従業員エンゲージメントに対する課題が明確になっていない」「従業員の“働く”体験をより良くしたい」といった課題や目的がある場合に、エンプロイージャーニーマップを活用してみましょう。

【お役立ち資料】エンプロイージャーニーマップはこちら

他社事例から成功のヒント・アイデアを見つけよう

インナーブランディングで取り組むべき施策は企業や課題によって異なるため、一概に「この施策が正解」とは言い切れません。他社事例は課題や目的に対し、どういった施策が実施できるのかを把握するために役立ちます。さまざまな事例を知っておくことは、インナーブランディングの施策を検討する上でのヒントやアイデアを見つけるために有効です。

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