はじめに

こんにちは。クリエイティブディレクターの斎木です。

 

「戦略的な使い方で認知度アップ。Web時代の採用パンフレットの作り方。〜前編〜」では、新卒採用におけるパンフレットの効果的な使い方、価値についてご紹介しました。

 

今回は、採用パンフレットを制作する際に私自身が気をつけているポイントについてご紹介します。採用パンフレットの制作をご検討されているみなさまは、ぜひ参考にしてみてください!

採用パンフレット制作の流れ

採用パンフレットを制作する前に、まずは新卒採用全体の戦略やゴールの設定、採用パンフレットに求める役割など、全体を設計することが重要です。全体設計をする際は、大きく次の4つの項目で情報を整理しています。採用計画の設計は、弊社でもお手伝いさせていただくことがありますので、もし全体設計でお困りのことがあればお気軽にご相談ください。

採用全体の戦略方針を決定

新卒採用の基本方針は、企業の状況や数年先のビジョン、新卒採用マーケットの動向、直近数年の採用課題などを考慮し、まとめていくと良いと思います。採用したい新卒学生を計画通りに採用するためにも「誰に」「自社のどんな魅力を伝えていきたいか」の、採用コンセプトを固めていきます。説明会の登壇者、面接官、リクルーターなど、さまざまな社員が関わる新卒採用において、採用コンセプトをきちんと決めておくことで、目標や意識の統一が図れ、全体的に統一感のある訴求が可能になります。

ターゲット

戦略や採用コンセプトを立てる上で、特に重要になるのが「ターゲット」の設定です。採用サイトや採用パンフレットの内容・使い方、貴社の魅力を訴求していくための表現など、すべてが設定されたターゲットを軸に考えられます。設定のコツは大きく2つです。

 

1つ目のコツは「具体的にイメージする」こと。まずは新卒で入社し、活躍している社員の方を数人挙げます。なぜ彼ら(彼女ら)は活躍できているのかを考え、共通するポイントを抽出しリスト化します。ターゲットに大きな変更がなければ、共通する特徴を持つ新卒学生をターゲットに設定して良いでしょう。もし、今までと違う人材を求めるのであれば、ドラマなどの登場人物などを想像してみるのも一つの方法です。複数人を挙げて、キャラクターの共通点を見つけていきます。どちらの場合も、できるだけ具体的な活躍シーンを思い浮かべ、行動や思考のパターンを想定することが大切です。

 

2つ目のコツは「優先順位を決める」です。採用パンフレットの制作をお手伝いしていると、「そんなスーパーマンみたいな人材いるか?」と感じてしまうことがあります。エントリーしてくる新卒学生の中にはもちろんいるのでしょうが、要件を100%満たす人材の割合はわずか。全ての要件を満たす新卒学生がベストだと思いますが、must要件とwant要件を分けて現実的なターゲットを設定することも、採用を成功させるポイントです。

ターゲット設定に関連するダウンロード資料はこちら(求める人物像の定義の仕方)

採用パンフレット制作の目的

新卒採用は、早期インターンシップや合同説明会、コロナ禍ではオンライン説明会、エントリーシートの提出、一次・二次面接、最終面接、内定承諾などさまざまなフェーズがあります。採用パンフレットをどの段階で渡すか、フェーズごとの新卒学生の心境も考慮しながら、伝えるべき情報を選ぶことが大切です。新卒採用サイトと違い、渡す・送るなどのアクションを伴う採用パンフレットでは、タイミングを考慮した目的の設定と情報の取捨選択が、その価値を大きく分けるのです。

制作スケジュール

全体設計が終わったら、いよいよ採用パンフレットの制作です。せっかく使用するタイミングを決めても、当日に採用パンフレットの用意ができていなければ意味がありません。ページ数や内容によって違いはありますが、使用する3カ月ほど前から準備に入れば、表現などを吟味しながら、落ち着いて採用パンフレットを準備していくことができます。

採用パンフレット制作のポイント

採用戦略の設計が終わったら、いよいよ採用パンフレットの制作です。ここからは納品までのプロセスを確認します。

キックオフ

弊社では、スタート段階でキックオフをお願いしています。ターゲットやアウトプットのイメージ、納期など全体像を抑えつつ、細かな役割分担と段取りを確認しておくことで、スムーズな進行が可能になります。

採用パンフレットの構成を考える

採用パンフレットに求められる代表的な機能としては、「自社の存在・魅力に対する気づきの提供」「理解促進」「共感の醸成」「新卒学生の疑問・不安の解消」などがあります。使うタイミングによってどのポイントを重点的に押さえるかを決めながら、採用パンフレット全体のページ数や構成を考えていきます。

 

ご参考までに採用パンフレットに掲載される主な項目をご紹介していきます。

 

「創業理念・沿革」
ミッション・ビジョン・バリューなど自社の存在価値を伝えると共に、現在までの成長の軌跡をストーリー性を持って伝えることで、企業理解を促します。

 

「事業説明」
自社の事業について説明します。新卒学生に正しく理解してもらうために、できる限りわかりやすく表現し、専門用語には説明を添えるなどの工夫をします。

 

「採用メッセージ」
新卒学生に向けたメッセージになります。これから入社する社員に何を期待しているのか。一緒にどのような企業を作っていきたいのかなどを伝えます。採用担当者の言葉として伝えることで、企業と新卒学生の心理的な距離を縮め、親しみを持ってもらうこともできます。

 

「先輩社員の声/インタビュー」
入社後に担当する仕事の様子や働き方、苦労・やりがい、人間関係などを現役社員のリアルな声を通じて伝えます。育児と仕事を両立している社員の話なども、将来を考える新卒学生が知りたい情報の一つです。

 

「募集要項」
募集職種や給与などの基本的な情報になります。採用パンフレットに限らず、就職活動においては必ず確認される情報だからこそ、新卒学生がどんな疑問や不安を感じているかを考え、補足を添えるなどのちょっとした工夫が有効です。

 

「福利厚生」
入社する企業を決定する際に、福利厚生を重要視する新卒学生も少なくありません。内定承諾を迷った時に比較されやすい項目でもあるため、働きやすさを理解してもらうために、実際にどのように社員が活用しているかなどの情報を加えるのも良いと思います。

 

「教育・研修制度」
就職活動をしている多くの新卒学生が、将来的な成長を考え企業選びをしています。特に入社直後の研修やフォロー体制は注目度も高いため、詳細な情報提供をしていきましょう。入社後、仕事について行けるかを不安に感じている学生も多いため、将来への安心材料を提供することが大切です。

 

「社風・社内部活動」
入社後の人間関係も、仕事内容や成長と並び、新卒学生が注目している情報の一つです。写真なども使いながら、自社らしさを丁寧に紹介していきます。

キャッチコピーを考える

デザインと共に採用パンフレットの表紙で表現され、第一印象に大きく影響するのが、キャッチコピー(コンセプトコピー)です。単語1つで表現するシンプルなパターンや、疑問・逆説・比較などの表現で興味を惹くなど、表現にはさまざまな手法があります。馴染みのない難しい言葉を避け、短い言葉で新卒学生とコミュニケーションできる言葉を考えます。採用パンフレット制作のお手伝いをしていると、キャッチコピーにいくつもの情報を入れて欲しいとご相談いただくケースがありますが、重要なのは「自分に関係ありそうだな」「面白そうだな」と新卒学生に気がついてもらうことです。理解の促進・興味喚起は、中面で丁寧に行えば良いのです。

理解を促進し記憶にも残るデザイン

表紙はキャッチコピーと並び、採用パンフレットの顔となる部分です。写真を使うのか、イラストを使うのか、または印刷工程で加工をして表現の幅を広げるのか。文系・理系・体育会系など、ターゲットによって興味を抱く表現も異なるため、求める人材像やコンセプトに合わせて、デザインのトーンを調整していくことが大切です。

 

一方で、中面に求められるのはわかりやすさ。伝えるべき情報を可能な範囲で要約し、斜め読みしてもある程度理解できるよう構成することが、伝わりやすい採用パンフレットを制作するコツです。写真は、文章よりも直感的に多くの情報を伝えることができるコンテンツと言われています。効果的に使うことで情報量も増えるため、使い方を意識してみるのも効果的です。

新卒学生の目線に合わせた文章を書く

文章や表現にはさまざまな書き方・手法がありますが、採用パンフレットを作る上で最も注意したいポイントは「新卒学生が知っている言葉を使う」ということでしょう。

 

業界によっては特有の専門用語が存在します。仕事をされているみなさまには常識的な単語でも、新卒学生にとっては未知の言葉であることも多いです。知らない単語が並ぶ文章は、理解が進まない上に新卒学生の読むモチベーションを下げてしまう恐れもありますので、注意が必要です。

 

「業界の専門用語くらいは知っておいてもらわないと」とおっしゃるご担当者様もいらっしゃいますが、それは採用サイドの都合。選考を進めるにも、まずは新卒学生に選ばれることが重要です。読み手のことを考えた丁寧でわかりやすい言葉遣いで、選ばれる工夫を心がけています。

よくある間違いや失敗

「納期」
「○月△日に使用するのに、印刷が間に合わなかった。」そんな話をよく聞きます。原因はさまざまあるようですが、納期遅延を防ぐには余裕のあるスケジュールでプロジェクトを進めることが大切です。また、使用する日の前日が納品期限だとしたら、さらにその1週間程度前を納品日と設定してプロジェクトを進めると、ある程度の遅れを吸収でき、トラブルを防ぐことができます。

 

「予算」
採用パンフレットの制作予算は、取材・ライティング費用、撮影費用、デザイン費用など、数々の費目で構成されます。修正回数が多くなった場合や撮影日数が予定よりも増えた場合には、追加予算が必要となるケースもあるため注意しています。制作過程で変更があった場合にも、追加予算の有無を都度確認することで、予算のトラブルを防ぐことができます。

 

「使われない」
せっかく作った採用パンフレットを現場で使ってもらえないという状況は、意外にもお客様から聞くことがあります。説明会や面接の場で仕事内容を説明する際、担当者がオリジナルのパワーポイントを用意しているというケースも多いようです。採用チームが一生懸命メッセージを考えても、これでは意味がありません。会社から新卒学生に送るメッセージもバラバラになってしまうため、採用ブランディングにも影響してしまいかねません。

 

採用パンフレットの制作を始める前には、新入社員が配属される部門の責任者など、新卒採用に関わるキーパーソンとの打ち合わせを行い、使い方や構成を決めることが重要です。

採用パンフレットの制作事例

オリックス株式会社様

コーポレートブランディングの世界観をもとに考え抜かれた新しい採用ブランディング

 

多角的金融サービスを展開するオリックス株式会社様の、採用Webサイト / 採用パンフレット / 採用映像の制作に携わらせていただきました。

 

採用パンフレットでは、母集団の拡大とオリックスブランドの認知向上を目指し、ビジネスモデルや事業内容の魅力を、インパクト溢れるビジュアルとキャッチコピー、デザインで表現。ワークスタイルやキャリアモデル、プロジェクトストーリーを通じて「オリックスでしかできない成長」を具体的にイメージさせる採用サイト・映像と連携し、それぞれのツールの役割を最大限に引き立てました。


実績紹介の詳細はこちら(オリックス株式会社様)

セントケア・ホールディング株式会社様

セントケア様の魅力である“温もりある社風”を伝えた採用パンフレット

 

高齢化社会が進む今、同社では介護産業を通して一人ひとりの生きる喜びや地域のつながりを創造し、福祉コミュニティを拡げ、生命の尊厳を守る「心の産業」を広めることを理念に掲げ、業界を牽引しています。同社が掲げる理念をもとに、「私らしさがサービス」「名前を呼ばれる喜び」をテーマに、候補者のエピソードを掲載。採用パンフレットに使用する写真は、社員様の雰囲気が伝わるよう、温かさや自然さを表現。また外面にもこだわり、介護職に携わる方の明るさや快活さを象徴するため、蛍光イエローの表紙で、他社のツールと差別化を図りました。


実績紹介の詳細はこちら(セントケア・ホールディング株式会社様)

株式会社三城様

老舗の眼鏡店が魅せる唯一無二のエンターテインメントパンフレット

 

ネット通販の台頭によって実店舗の変革が求められる昨今、株式会社三城様は「革新・エンターテインメント」をテーマに街を歩く人々に合わせた大胆な店舗イノベーションを実施。渋谷店にオープンしたアメリカングラフィティをコンセプトにした店舗などはその例です。

 

しかし、新卒採用においては老舗眼鏡店という印象を抱く学生が多く、求める人材が集まらないという課題感がありました。そこで、イノベーションの象徴となっていた渋谷店の世界観を活かし「ロックを愛する眼鏡店」というコンセプトを提案。新しいアイデアで店舗展開に挑戦する姿を、「Like a Rolling Stone」というコピーとともにロックバンドのフライヤー風デザインで表現しました。


実績紹介の詳細はこちら(株式会社三城様)

 

そのほかにも弊社の制作実績を掲載していますのでぜひご覧ください。
(弊社がお手伝いした採用ブランディングの事例はこちらから)

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、私自身が採用パンフレットを作る際に意識しているポイントをご紹介しました。新卒採用においては、イベント・説明会・専用サイト・映像、そして採用パンフレットなど、さまざまな“場”とツールを使いながら、一連の流れで採用ブランディングを行うことが重要です。

 

弊社は、採用ブランディングにおける一連の流れをトータルに設計し、新卒採用における課題解決をご提案してきた、数々の実績があります。採用パンフレットの制作はもちろんですが、新卒採用に関する課題解決をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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