帝京大学ラグビー部を、前人未到の大学選手権6連覇に導いた、 岩出監督の話を聞く機会がありました。 私は実は早稲田大学ラグビー部の出身なので、 帝京大学の躍進を羨望とともに悔しい気持ちで見ていたのですが、 岩出監督の言葉を聞いて、6連覇を成し遂げたことに納得しました。 経営にも応用が効く内容でした。 岩出監督は、イノベーションについて話をされました。 イノベーションとは、「破壊と創造」。 破壊とは、何を破壊するのか? 業界の古いしきたりか? 部の伝統か? 非効率な練習か? 岩出監督は、こう仰いました。 「破壊すべきは自分である」 自分の中の古い常識、無用なしきたりや伝統を守ろうとする気持ち、 そういった自らの中にある意識を破壊しなければ、創造は生まれない。 私自身が成長すれば、帝京はもっともっと強くなる。 組織はリーダー以上にはならない。 だから私が自分自身を破壊し続け、 成長しなければならないのだ、と。 例えば、 帝京大学では、部の仕事は上級生が行います。 伝統校では、入部したばかりの1年生が行うのが通例です。 伝統校以外でもそうでしょう。 きっと何の疑問もなく、各校やり続けています。 なぜ、帝京大学では、上級生がやるのでしょうか。 岩出監督の考え方はこうです。 新しい環境に入ってきた一年生は、授業もたくさんあるし、 東京の寮生活にも、部にも慣れてない。 その一年生に仕事を押し付けると、慣れるのに時間がかかり、 一年生からラグビーに集中できない。 帝京では一年生からのびのび練習に打ち込めるので、4年間成長できる。 他の大学とは成長のスタートラインが違う。 上級生になれば、授業も少なく、 先輩の仕事を見ているので、仕事に対するストレスもない。 しかし、そのやり方に移行する途中では、 当然ながら上級生から反発もあり、 それを少しづつ、時間をかけて変えて行ったそうです。 そういった改革が、部の仕事だけでなく、数多く実施されています。 その結果の6連覇なのです。 ふと、自分を振り返ると、「自分は自分を破壊できてるのか?」 と現実と向き合うことになりました。 昔作った価値のみで勝負してないか。 市場の変化に敏感に反応して、次の手を打っているのか。 「慣れ」で仕事をしてしまっていないか。 「破壊すべきは自分自身」 岩出監督とこのタイミングでお会いできたことは、私自身にとって、 大きな変革の機会となりました。
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Ageha Magazine Ageha Magazine
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2015.06.22
帝京大学ラグビー部岩手監督のイノベーション
writer
湊剛宏
早稲田大学卒。
1992年リクルート入社。新卒採用、中途採用、教育研修の営業を7年間経験。
1999年テレビドキュメンタリー制作会社に転職。
AD、ディレクター、プロデューサーを経て、
2001年揚羽プロダクション(現株式会社揚羽)設立。
趣味:ラグビー、ダイビング スキル:ほめ達検定2級
