このたび、新しい企業理念を作りました。
企業理念についてご興味のある方は、ちょっと長文になりますが、
ぜひ、お読みください。

今までの弊社の企業理念は

「人とビジネスを描くということにおいて
社会から最も必要とされ、
最も高い価値を提供する企業を目指します。」

というものでした。
創業3年目くらいの時に、幹部と一緒に作ったもので、
これはこれでとても気に入っていますし、基本的な考え方は変わっていません。

しかし、「理念=その企業の存在意義」と考えるようになり、
そうなると、今までの理念はちょっと違うなあと考えるようになりました。
今までの理念は、理念というよりも、「目指すもの・ビジョン」に近いのです。

それに、ちょっと長い。
面白法人カヤックの理念「つくる人を増やす」くらい短い方が、
みんな覚えやすいので、それくらいにしたい。

実はここ数年、揚羽の存在意義について、考え続けていました。

揚羽は何のために存在するのか・・・・。
俺たちが社会に提供できる価値って究極のところなんだろう・・・・・。

質の高いクリエイティブを作るため。   うーん、違う。
お客様に喜んでもらうため。    これもちょっと違う。
世の中をよくするため、揚羽に関わる人全ての幸福のため。
どこかで聞いたことあるぞ。そりゃそうだけど・・・・。

ちょっと待てよ。俺たちの仕事の究極の目的は?

そこで考えたのが、以下の文章。
これが、企業理念の詳細になります。

映像やデザインや言葉は、良きにつけ、悪しきにつけ、人の心に影響を与えるもの。

人を前向きにさせる力もあるが、
戦争、犯罪、虐待などに対する罪悪感を麻痺させる力も持っている。

私たちは、私たちが得意とする「人とビジネスを描く」ことを通して、
揚羽の作品を見た人が、
ちょっとでも元気になったり、
前向きになったり、
感動して、やる気になったり、
今までしてきた良くないことを反省したり、
今まで知らなかった魅力的な仕事を発見してワクワクしたり、
ちょっと落ち込んでいたけど、明日から一生懸命仕事に打ち込もう!と思ったり、
気づかなかったことに気づいて、行動が変わったり、
両親や先輩方に感謝するようになったり、
後輩の教育の大切さに気づいたり、
お年寄りに席を譲るようになったり、、、、、、、。

とにかく、見た人が前向きになったり、優しくなったり、人間性が向上するものを、
どんどん世に出していきたい。
それによって、世の中が良くなるお手伝いがしたい。

また、そういった感性を持つ作り手を増やしていきたい。
そういう世界を作りたい。

それが、私たちの存在意義であり、企業理念です。

ここまで一気に書き上げ、何度も何度も推敲し、幹部とも話し合い、
これを企業理念の基本的な考え方に決めました。

ただ、長い。
理念は、何かあった時に、判断の基軸になるものなので、
社員がいつでも思い出せるようなものがいい。

長い理念を全部そらんじて言えるくらい何回も反復して覚えさせる会社もあるが、
それは揚羽の自由な社風には合わない。
だから、一言で言えるようなキャッチコピーを作る必要がある。

そこで、コピーライターに頼まず、社員全員に考えてもらうことにしました。
考えて、コピーをひねり出す過程で、企業理念について、深く理解してもらうことができます。
あわよくば、ものすごいいいキャッチコピーが出てくるかもしれない。
コピーライターに頼んだら、けっこう高いですし(笑)。

社員からは、
「今の企業理念があるから、入社したのに」
「理念は社員が考えることではないんじゃないですか?」
「私なんかの実力じゃいいコピーは作れません」
という反対意見も少なからずありました。
そこは、丁寧に考え方を伝え、理解してもらい、コピー作成に取り掛かってもらいました。

そして、社員25人分、25本のキャッチコピーが、
それを考えた背景とともにあがってきました。

私は泣きました。感動して泣きました。
今思い出しても涙がこぼれそうなくらいです。
素晴らしいキャッチコピーのオンパレードです。
みんな、心を込めて、一生懸命考えてくれましたし、そのレベルの高さに驚きました。

そして、決まりました。新しい企業理念です。

「未来の一歩を創りだす」

このコピーを作ってくれた営業の酒井君は、本人いわくクリエイティブが得意ではなく、
ビジネスセンスと人間力で勝負するタイプです。
はじめは「俺、こういうの苦手だからやりたくないな・・・」と思っていたそうですが、
こんなメッセージとともに、コピーを提出してくれました。

以下、酒井君のメッセージです。
我々が提供しているのは、何かしらの「きっかけ」となるものだと思います。
その「きっかけ」をどう感じるかは受けて次第。
前向きになったり、反省したり、勇気が湧いたり。

間違いないのは何かを感じてくれること。
それによって少しでも考えたり、考えが変わったり、行動に移ったり。
たとえどんな小さな一歩だとしても。

全て前向きなことではないかもしれない。
後悔するかもしれない。反省するかもしれない。
でもそれはどんな形であれ「未来」につながる一歩となるはず。

受けての未来の一歩を創る。
そのクリエイティブを創る。

そんな想いを込めて、
「未来の一歩を創りだす」
というコピーを考えました。

まだまだ考えが甘いかもしれませんが、
考えていて「楽しい」と純粋に思いました。
こんな機会はなかなかないと思いますので、
感謝しています。

ありがとうございました!

こんな熱いメッセージが25枚。
僕の宝物です。

企業理念を新たに作るときは、こんなやり方も取り入れてみるとよいと思います。
もし、いいコピーが上がってこなかったら、そのときは、揚羽にご発注ください。
酒井君が一生懸命考えます(笑)。

湊 剛宏