SDGsをビジネス視点で捉える

みなさま、こんにちは。ディレクターの松村です。
なんとなく母校である高校と「SDGs」を合わせてネット検索をしたところ、文部科学省のSDGs探求プロジェクトに参加している学生さんがヒットしました。感心したと同時に、次のリーダーたちへの教育の重要性と、彼らが活躍できる社会を今からつくることが私たち大人の使命だと感じました。

 

当社のYouTubeチャンネル「SDGs Biz(エスディージーズビズ)」では、「SDGsはビジネスを加速させ、ビジネスはSDGsを達成へと導く」をテーマに、ビジネスに今すぐ役立つ生きた情報をお届けしています。ここでは「SDGs Biz」で紹介している17の目標の解説に加え、SDGsの達成に向けたビジネスに取り組む企業の事例を紹介していきます。

 

目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を達成するためのターゲット

SDGsには、2030年までに達成すべき17の目標が設定されています。今回は目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に焦点を当てます。

 

目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、災害に強いインフラを整え、新しい技術開発を開発し、みんなに役立つ安定した産業化を進めることをゴールとしています。この目標には、ターゲットと呼ばれる具体的な達成基準が5つ、実現のための方法が3つ示されています。日本ユニセフのサイトによれば、下記のように定義されています。

 

目標9のターゲット

 

SDGs

 

9-1
すべての人のために、安くて公平に使えることを重視した経済発展と福祉を進めていけるうに、質が高く、信頼でき、持続可能な、災害などにも強いインフラ※をつくる。それには、地域のインフラや国を超えたインフラを含む。

※インフラ:道やダム、電気をつくる発電所など、私たちの毎日の生活を支えている基本的なものや、病院や学校や公園など、安心・安全に暮らしていくためになくてはならない施設(しせつ)のこと

 

9-2
だれも取り残されない持続可能な産業化※1をすすめて、2030年までに、それぞれの国の状況に応じて、雇用と国内総生産(GDP)※2に占める農業や漁業など以外の割合を大きく増やす。もっとも開発が遅れている国については、その割合を2倍にする。

※1 産業化:技術がすすんで、農産物を加工したり、工場で物をつくったりできるようになること
※2 国内総生産(GDP):その国で1年間に新しく生み出されたモノやサービスの合計金額

9-3
特に開発途上国の規模の小さな工場や会社が、安く資金を借りるなどの金融サービスをより利用できるようにし、モノやサービスの流れやその市場に、より広く組み込まれるようにする。

9-4
2030年までに、資源をよりむだなく使えるようにし、環境にやさしい技術や生産の方法をより多く取り入れて、インフラや産業を持続可能なものにする。すべての国が、それぞれの能力に応じて、これに取り組む。

9-5
2030年までに、イノベーション※をすすめたり、研究や開発の仕事をしている人の100万人あたりの人数を大きくふやしたり、政府と民間(会社など)による研究や開発への支出をふやしたりして、開発途上国をはじめとするすべての国で、さまざまな産業での科学研究をすすめ、技術能力をのばす。

※イノベーション:今までなかった新しい技術やアイディアをうみだすことや、今あるものを今までになかった方法で結び付けること

9-a
アフリカの国ぐに、もっとも開発が遅れている国ぐに、内陸の開発途上国、開発途上の小さな島国に対し、資金・テクノロジー・技術面での支援を強めて、開発途上国における、持続可能で、災害にも強いしっかりしたインフラの開発をすすめる。

9-b
さまざまな産業が発展したり、価値のある商品を創り出したりするための政策を整えることなどによって、開発途上国の国内の技術開発や研究、イノベーションを支援する。

9-c
特に、最も開発が遅れている国で、情報通信技術がより広く利用できるようにし、2020年までに安い値段でだれもがインターネットを使えるようにする。

「9-1」のように数字で示されるものは、それぞれの項目の達成目標を示しています
「9-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を示しています

 

日本ユニセフ「SDGs CLUB」より

途上国の技術革新にはインフラ整備が必要不可欠

目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図ることを指します。それでは、なぜこの目標が必要なのでしょうか。

 

人々の生活水準向上と持続可能な産業発展には技術革新が欠かせませんが、開発途上国ではそれを支える基礎インフラが未整備です。開発途上国が発展するためには、まず先にインフラの整備が必要なのです。
しかし、開発途上国の一部では生活に最も必要な水や電気に加え、医療や教育さえまともに受けられない人々がたくさんいます。国連広報センター※によると、世界には電気が自由に使えない人が約7億人、安全に管理された飲料水を利用できない人が20億人もいます。さらに、世界では約6割の人がインターネットにアクセスできません。特に開発が遅れている農村部では、約11億人が携帯電話の電波が届かない地域に暮らしています。

 

これらインフラは企業活動にとっても不可欠なものです。インフラが整備されていなければ、企業活動ができず、雇用も生まれず、人々も収入を得られないままです。インフラは主に電気・水道・交通など公共設備が挙げられますが、人々の生活に欠かせないものは他にも多く存在します。「それは誰のために必要か」を考え抜くことも、企業活動においては重要かもしれません。

 

※国連広報センター「SDGs報告2021」より

ビジネスとして「産業と技術革新の基盤をつくろう」に取り組む企業の事例紹介

ここからは、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の実現に向け、取り組みを実施している企業の事例を紹介します。

 

◎企業事例1 【ヤマト住建】世界基準レベルの長寿命住宅

神戸に本社を構えるヤマト住建は、注文住宅、分譲住宅、不動産流通業などを手がけるハウスメーカーです。「万人に喜びを」という経営理念のもと、「世界標準レベルの長寿住宅」を日本に普及させ、レジリエントで持続可能な産業を促進させることを目指しています。
日本の住宅の平均寿命は約30年といわれていますが、同社によればイギリスでは約141年、アメリカでは96年というデータがあるそうです。日本の住宅の寿命をイギリスやアメリカと同レベルに引き上げるべく、耐震性と断熱性に優れた家づくりを推進。再生可能エネルギーの活用にも積極的に取り組み、「未来の子どもたちのために地球環境を守る家」の普及活動を行っています。
一つの家に長く住み続けられるということは、家庭の経済的負担を長期的に減らすことにもつながります。また、日本には空き家問題という社会課題があります。安心して長く住める家が増えれば中古住宅という選択肢もさらに増え、放置される家も少なくなるでしょう。高品質で安全・安心、かつ時代の変化を的確に捉えた商品を提供することで、お客様からも長く愛され、企業価値の向上にもつながるのでしょう。
ヤマト住建「SDGsの取り組み:9.産業と技術革新の基盤をつくろう」

◎企業事例2 【伊藤園】災害対応自動販売機

飲料メーカーの伊藤園は、茶系飲料製品を製造する際に排出される「茶殻」をリサイクルした抗菌シールを自社の自動販売機に貼付するなど、環境や衛生に配慮した自動販売機の普及に積極的です。
さらに同社では、停電時にキー操作や専用ハンドルを回すことによって自動販売機に必要な電力を供給できる「ライフライン自動販売機」の提供も開始。自然災害や緊急事態が発生した場合、この機能を使って被災者らに飲料製品を無償提供できるというスグレものです。
自動販売機は消費者の生活に欠かせない存在であり、特に災害時には飲料確保は誰にとっても必要なものです。また、設置をするオーナーにとっても一つの収入源として機能しています。いざというときに機能することは選ばれる理由の一つとなり、同社の優位性にもつながるでしょう。
伊藤園「災害時の自動販売機について」

YouTubeチャンネル「SDGs Biz」にて、SDGsとビジネスの関係を動画で解説

揚羽では、SDGsとビジネスの関係をテーマにしたYouTubeチャンネル「SDGs Biz(エスディージーズビズ)」を運営しています。SDGsとビジネスをつなげるために役立つ、生きた情報を発信しています。
今回取り上げた目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」についても、ここに紹介した事例とは別のビジネスを取り上げて詳しく解説しています。ビジネスでこの目標に向き合い、達成するためのヒントとしてぜひご活用ください。

 

企業のSDGs施策や講師の派遣などはぜひ下記からご相談ください。

CONTACT無料相談はこちら