SDGsをビジネス視点で捉える

こんにちは。ディレクターの日向です。段々と社会に浸透しつつあるSDGs。地球上の人類が誰一人取り残されることなく、暮らし続けるための具体的な目標であり、2015年に国連で採択されてから、2030年までに達成すべき17の目標が国際サミットで設定されました。大手広告代理店の電通が全国10~70代の男女計1,400人を対象にした調査では、SDGsの認知率は8割を超えるそうです。生活者は積極的にSDGsに取り組む企業に好印象を持つだけでなく、その企業が提供する商品やサービスへの利用意向も高まることも示唆されたと報告されています。

最近は大手企業だけでなく、中小企業でも続々とSDGsの取り組みを行い、その活動を発信しています。自社での取り組みを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、企業のビジネス視点でSDGsを考えることは簡単ではありません。まずはSDGsの目標内容を正確に理解していきましょう。

 

当社のYouTubeチャンネル「SDGs Biz(エスディージーズビズ)」では、「SDGsはビジネスを加速させ、ビジネスはSDGsを達成へと導く」をテーマに、ビジネスに今すぐ役立つ生きた情報をお届けしています。ここでは「SDGsBiz」で紹介している17の目標の解説に加え、SDGsの達成に向けたビジネスに取り組む企業の事例を紹介していきます。

 

電通「電通、第5回『SDGsに関する生活者調査』を実施」より

目標10「人や国の不平等をなくそう」を達成するためのターゲット

SDGsには、2030年までに達成すべき17の目標が設定されています。今回は目標10「人や国の不平等をなくそう」に焦点を当てます。

目標10「人や国の不平等をなくそう」を達成するためのターゲットは、世界すべての人々がみんなで協力しあい、すべての目標を達成することをゴールとした目標です。この目標には、ターゲットと呼ばれる具体的な達成基準が10項目示されています。日本ユニセフのサイトによれば、下記のように定義されています。

SDGs

10-1
2030年までに、各国のなかで所得の低いほうから40%の人びとの所得の増え方が、国全体の平均を上回るようにして、そのペースを保つ。

※所得:お給料など働いて得るお金や、持っている資産からの収入など。
10-2
2030年までに、年齢、性別、障がい、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。
10-3
差別的な法律、政策やならわしをなくし、適切な法律や政策、行動をすすめることなどによって、人びとが平等な機会(チャンス)をもてるようにし、人びとが得る結果(たとえば所得など)についての格差を減らす。
10-4
財政、賃金、社会保障などに関する政策をとることによって、だんだんと、より大きな平等を達成していく。
10-5
世界の金融市場と金融機関に対するルールと、ルールが守られているか監視するシステムをより良いものにして、ルールが、よりしっかりと実行されるようにする。
10-6
世界経済や金融制度について何か決めるときに、開発途上国の参加や発言を増やすことによって、より効果的で、信頼できる、だれもが納得することのできる制度を作る。
10-7
計画にもとづいてよく管理された移住に関する政策を実施するなどして、混乱がなく安全で、手続きにしたがい責任ある形の移住や人びとの移動をすすめる。
10-a
開発途上国、特にもっとも開発が遅れている国ぐにに対して、世界貿易機関(WTO)協定にしたがって、貿易において、特別な、先進国と異なる扱いをする。

※先進国に安く輸出したり、国内産業を守るために輸入品に高い関税をかけるなど
10-b
もっとも開発が遅れている国や、アフリカ諸国、開発途上の小さい島国、内陸の開発途上国などの、もっとも資金を必要とする国ぐにへ、それらの国の計画にそって、政府開発援助※や直接投資などの資金が流れるようにする。

※政府開発援助(ODA):先進国の政府などが、開発途上国の経済や社会の発展、福祉の向上に役立つために、資金・技術を提供すること
10-c
2030年までに、移住労働者※が、自分の国にお金を送る時にかかる費用が「送る金額の3%」より低くなるようにし、「送る金額の5%」を超えるような費用がかかる送金方法をなくす。

※移住労働者:開発途上国から出稼ぎに出ている人など、母国をはなれて外国に出て働いている人
「10-1」のように数字で示されるものは、それぞれの項目の達成目標を示しています
「10-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を示しています

日本ユニセフ「SDGs CLUB」より

先進諸国41カ国のうち、日本の所得格差はワースト8位

2016年に「子供たちのための公平性」という報告書をユニセフが発表しました。これは格差が子供たちにどのような影響を与えているのかを明らかにしたものです。
「所得格差」における日本の順位は、先進諸国41か国中、ワースト8位でした。
今、世界では富と所得の格差がかつてないほど拡大しています。2017年には世界人口のもっとも豊かな1%の人が持つ資産が世界全体の資産の約33%に相当し、もっとも貧しい25%の人が持つ資産の割合は10%にすぎないそうです。豊かな人はますます豊かになり、貧しい人たちは不十分な食事しか取れなかったり、病気になっても病院に行くことができなかったり、学校に行くこともできなくなってしまいます。教育の機会を失うと希望の仕事をすることも難しくなる。また、女性は出産や子育て仕事を離れるケースが多いため、性別で所得格差が発生することについても問題視されています。だからこそ、貧困の連鎖やジェンダーの壁を乗り越える必要性があり、この問題をビジネスとして持続的に取り組む企業は社会にもたらす影響力も大きなものとなるでしょう。

国際連合「持続可能な開発に関するグローバル・レポート2019」より(PDF)

日本ユニセフ「子どもたちのための公平性」より(PDF)

ビジネスとして「人や国の不平等をなくそう」に取り組む企業の事例紹介

ここからは、目標10「人や国の不平等をなくそう」の取り組みをビジネスで実施している企業の事例を紹介します。

企業事例1 【アリババ】出稼ぎで働く人びとを送金サービスで助ける

発展途上国などから、外国に出稼ぎをする労働者と母国で過ごす家族にとって、仕送りは非常に大切なものです。国連のグレーテス事務総長が2020年に発表した声明では、世界で2億人が出稼ぎ労働者として働き、母国に住む8億人ほどがその仕送りを頼りに生活しているとされています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気の悪化により、出稼ぎ労働者に経済的打撃を与え、その家族も貧困の危機にさらされています。そのためグレーテス事務総長は各国政府や金融機関に対して送金にかかる手数料を下げるよう求めました。

 

従来から、出稼ぎ労働者からの送金手数料は労働者にとって重い負担になっていると問題視されてきました。彼らは銀行口座を持っていない人が多かったり、所得が低いためクレジットカードの作成も難しいのです。そんな中、銀行を通さず送金できる電子決済アプリが注目されています。特に中国の大手IT企業のアリババが提供する電子決済サービスの「アリペイ」は、ローンや広告収入、レストランホテルの予約サービスなどの付帯機能で収益を得ているため、送金時の手数料無料を実現しました。現金をアプリにチャージするだけで、国境を超えて送金できるため出稼ぎ労働者にとっては送金の救世主としてユーザー数を急激に拡大しています。

朝日新聞デジタル「銀行送金さようなら 出稼ぎ労働者支える「アリペイ経済圏」が急拡大中」より

企業事例2 【Apple】同性カップルなど多様な絵文字を加える

こちらはジェンダー差別に対して大きな影響を与えた事例です。
2022年1月28日、Appleは、開発者向けに提供を始めたIOS15.4ベータ版に新しい絵文字を追加しています。うるうるとした瞳の絵文字や指ハートなど、流行のポーズが「かわいすぎる」「これを使いたい」と話題になりましたが、同じタイミングで人種やジェンダーに対して多様性のある絵文字も追加されています。

 

追加された絵文字を見てみると、これまでの女性、男性に加えて、特定の性別を表現しないジェンダーニュートラルな人間が妊娠したポーズをとっています。また、すでにあった握手をしている絵文字に肌の色味のバリエーションが増えました。カップル絵文字は男女だけでなく、女性同士、男性同士もあります。

 

若い世代にとって、スマートフォンの絵文字は、インターネットのコミュニケーションの中で自分の感情や、メッセージの雰囲気を表現するコミュニケーションツールの大切な一つです。そんな絵文字に多様性のあるデザインを追加したことで、消費者の人種やジェンダーに対する考え方に影響を与えたのではないでしょうか。Appleは新しい製品や、バージョンアップなどの話題性の高さと、常に時代を先回りしたサービス開発で売り上げを伸ばし、2021年に過去最高のスマートフォン出荷台数を記録しました。絵文字という面からダイバーシティの要素を取り入れ、話題性の高さをマーケティングに活用している事例です。

Emojipedia 「Apple iOS 15.4より」

YouTubeチャンネル「SDGs Biz」にて、SDGsとビジネスの関係を動画で解説

揚羽では、SDGsとビジネスの関係をテーマにしたYouTubeチャンネル「SDGs Biz(エスディージーズビズ)」を運営しています。SDGsとビジネスをつなげるために役立つ、生きた情報を発信しています。
今回取り上げた目標10「人や国の不平等をなくそう」についても、ここに紹介した事例とは別のビジネスを取り上げて詳しく解説しています。ビジネスでこの目標に向き合い、達成するためのヒントとしてぜひご活用ください。

 

 

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