SDGsをビジネス視点で捉える

こんにちは。ディレクターの日向です。SDGsやサステナビリティは、最近テレビなどでも目にする機会がますます増えましたね。社会や環境に良い取り組みということはわかっていても、具体的な内容までは知らないという人も多いのではないでしょうか。
そもそもSDGsとは「持続可能な開発目標」といって、経済環境や住む場所にとらわれず、すべての人が地球で暮らし続けるために2030年までに達成する目標を17つのカテゴリーごとに設定したものです。

 

当社のYouTubeチャンネル「SDGs Biz(エスディージーズビズ)」では、「SDGsはビジネスを加速させ、ビジネスはSDGsを達成へと導く」をテーマに、ビジネスに今すぐ役立つ生きた情報をお届けしています。ここでは「SDGs Biz」で紹介している17の目標の解説に加え、SDGsの達成に向けたビジネスに取り組む企業の事例を紹介していきます。

 

目標12「つくる責任、つかう責任」を達成するためのターゲット

SDGsには、2030年までに達成すべき17の目標が設定されています。今回は目標12「つくる責任、つかう責任」に焦点を当てます。
12「つくる責任、つかう責任」を達成するためのターゲットは、世界すべての人々がみんなで協力しあい、すべての目標を達成することをゴールとした目標です。この目標には、ターゲットと呼ばれる具体的な達成基準が8つ、実現のための方法が3つ示されています。日本ユニセフのサイトによれば、下記のように定義されています。

目標12「つくる責任、つかう責任」のターゲット

SDGs
12-1
持続可能な消費と生産の10年計画※を実行する。先進国がリーダーとなり、開発途上国の開発の状況や対応力も考えに入れながら、すべての国が行動する。
※持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み:2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)で決められた。各国からの拠出金で設立された基金を通じて、二酸化炭素の排出を減らすライフスタイルと持続可能な消費と生産を実現する社会の仕組みを作ることを目指した計画
12-2
2030年までに、天然資源を持続的に管理し、効率よく使えるようにする。
12-3
2030年までに、お店や消費者のところで捨てられる食料(一人当たりの量)を半分に減らす。また、生産者からお店への流れのなかで、食料が捨てられたり、失われたりすることを減らす。

12-4
2020年までに、国際的な取り決めにしたがって、化学物質やあらゆる廃棄物(ごみ)を環境に害を与えないように管理できるようにする。人の健康や自然環境に与える悪い影響をできるかぎり小さくするために、大気、水、土壌へ化学物質やごみが出されることを大きく減らす。
12-5
2030年までに、ごみが出ることを防いだり、減らしたり、リサイクル・リユースをして、ごみの発生する量を大きく減らす。
12-6
とくに大きな会社やさまざまな国で活動する会社に、持続可能な取り組みをはじめ、会社の成果を報告する定期的なレポートに持続可能性についての情報をふくめるようにすすめる。
12-7
国の政策や優先されることにしたがって、国や自治体がものやサービスを買うときには、それが持続可能な形で行われるようすすめる。
12-8
2030年までに、人びとがあらゆる場所で、持続可能な開発や、自然と調和したくらし方に関する情報と意識を持つようにする。
12-a
開発途上国が、より持続可能な消費や生産の形をすすめられるよう、科学的および技術的な能力の強化を支援する。
12-b
地域に仕事を生み出したり、地方の文化や特産品を広めるような持続可能な観光業に対して、持続可能な開発がもたらす影響をはかるための方法を考え、実行する。
12-c
資源のむだづかいにつながるような化石燃料(石油など)に対する補助金の仕組みを変える。そのために、各国の状況に応じて、税金の制度を改正したり、有害な補助金があれば環境への影響を考えて段階的になくしたりして、化石燃料が適正に売り買いされるようにする。そのとき、開発途上国の状況や必要としていることなどを十分に考え、貧しい人や影響を受けるコミュニティが守られるようにして、開発にあたえる影響をできる限り小さくする。
「12-1」のように数字で示されるものは、それぞれの項目の達成目標を示しています
「12-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を示しています
日本ユニセフ「SDGs CLUB」より

日本が持っていた「もったいない」の意識が大切

目標12「つくる責任、つかう責任」で大切なポイントは、まさに「つくる」と「つかう」の二つになります。特に「食品ロス」や「衣料廃棄物」は我々の生活にも密接に関係しています。
食品ロスでいうと、日本は一人当たりの食品廃棄物発生量の世界ランキングで3位、アジアでは1位と深刻な状況です。特定の食品ブームなどによる過剰生産と、経済的に豊かであるがゆえ消費以上の量を購入してしまうことが原因とされています。一方、衣料廃棄についてはファストファッションブランドの台頭により、流行の服を安く買える状況が当たり前となりました。しかし、安い服は化学繊維を含む量も多く、長く持たないものもあるため廃棄するハードルも下がっていることが原因といえます。

経済が豊かになった恩恵の裏で、過剰生産と廃棄への抵抗感が小さくなった今、「もったいない」の意識を私たち一人ひとりが持つことで、この課題には大きな影響をもたらすのではないかと思っています。

 

一方、企業レベルでの取り組みは「もったいない」だけでは事業サイクルが回りません。どのような取り組みをしているのか、次の章で見ていきましょう。
FoodTechHub「【2021年版】食品ロス世界ランキング-日本は何位?」より

ビジネスとして「つくる責任、つかう責任」に取り組む企業の事例紹介

ここからは、「つくる責任、つかう責任」の取り組みをビジネスで実施している企業の事例を紹介します。

◎企業事例1 【農林中央金庫・SynaBiz】協働で食品ロス削減

農林中央金庫は、JAバンク、JFマリンバンク、JForestグループの全国機関として農林水産業を支える企業。国内有数の機関投資家としてグローバルな投資活動も行っています。SynaBizはネット卸のBtoBプラットフォーム運営や、在庫の流動化、返品受付代行の事業を展開する企業です。この2社は食品ロスの削減に向けた協働を行っています。

賞味期限が間近、パッケージの変更などによって通常の情報流通が難しい食品在庫を抱える企業を農林中央金庫がSynaBizに紹介します。SynaBizが運営する社会貢献型流通プラットフォーム Otameshiを通して、抱えていた食品在庫の再流通を実現します。質に影響がなくともさまざまな要因で販売ができなくなった商品を再流通させるシステムを活用することで、廃棄予定商品から利益を生み出すことに成功しています。

農林中央金庫「農林中央金庫と株式会社SynaBiz、食品ロス削減に向けて協働開始」より

◎企業事例2 【ぺんてる】地球環境と子どもの未来を考えた色えんぴつケース

ぺんてるは1946年の創業以来、「表現するよろこびをはぐくむ」という想いのもと、筆記具・描画材を開発し世界中の人々へ筆記具を提供しています。そんな同社が、これからの地球環境と子供たちのことを考えて、色えんぴつ「パスティック」のケースにバイオマスプラスチックを使用した商品を開発・販売しています。

バイオマスプラスチックとは、植物や動物などの生物全般から生ゴミまですべてを含む「生物由来の資源」を原料として、つくられるプラスチックのこと。環境に優しい資源を原料にすることで、地球温暖化の防止や化石資源への依存度低減に貢献するとして注目されています。

生産過程で排出されるCO2の量も低減されています。子供が使う筆記具だからこそ「環境に配慮した商品を」という企業としての想いを技術力で実現しています。

ぺんてる「地球環境と子どもの未来を考えた、ぺんてるの色えんぴつ「パスティック」バイオマスプラスチックケースを発売」より

YouTubeチャンネル「SDGs Biz」にて、SDGsとビジネスの関係を動画で解説

揚羽では、SDGsとビジネスの関係をテーマにしたYouTubeチャンネル「SDGs Biz(エスディージーズビズ)」を運営しています。SDGsとビジネスをつなげるために役立つ、生きた情報を発信しています。
今回取り上げた目標12「つくる責任、つかう責任」についても、ここに紹介した事例とは別のビジネスを取り上げて詳しく解説しています。ビジネスでこの目標に向き合い、達成するためのヒントとしてぜひご活用ください。

 

 

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