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SDGsインナー&アウターブランディング

企業におけるSDGs推進の取り組みは、基本理解からビジネスに実装する応用へ

はじめに

みなさま、こんにちは。ディレクターの青木です。

 

ここ数年、日本企業においてもSDGsというキーワードが注目されています。揚羽が運営するYouTubeチャンネル「SDGs Biz」に出演する弊社のSDGsトランスフォーメーション推進室の黒田天兵室長に、その背景やSDGsへの取り組み方、今後の見通しなどを聞きました。

 


黒田 天兵
株式会社揚羽
SDGsトランスフォーメーション推進室 室長

 

YouTubeチャンネルはこちら(SDGs Biz

 

Q:近年SDGsが話題となり、取り組む企業が増えたことにはどういった理由があるのですか。

さまざまなシーンで注目されているSDGs(Sustainable Development Goals)ですが、その前身には2000年に国連が策定したMDGs(Millennium Development Goals)というものがありました。「ミレニアム開発目標」と呼ばれるもので、貧困や飢餓、乳幼児死亡率、初等教育といった人権や発展途上国に関わるものを中心としたものです。

 

その達成期限である2015年には状況が報告され、これらの点において多くの改善がみられました。

 

一方で2000年代以降、温暖化やオゾン層の破壊といった気候変動の主な原因が人類の活動にある科学的根拠が明白になるとともに、30年後、50年後のリスクが顕在化してきました。

 

SDGsは、MDGsを引き継ぎつつ、気候変動問題など持続可能な世界の実現を目指したポリシーを加え、2015年に国連によって策定されました。

 

それまでに比べて新しい点は、さらに大きな世界的ムーブメントをつくるために、経済も動かしていく考えを導入したことです。つまり、ビジネスとして成り立たせるという観点が入りました。

 

この動きに対して反応が顕著だったのは、投資の分野においてです。2006年に発足していたPRI(国連責任投資原則)に署名する企業が、この2015年頃には大幅に増えました。

 

これによって、SDGsの観点に基づき世界的な機関投資家が運用を行うようになりました。日本では公的年金(GPIF)運用、野村アセットマネジメントなど官民問わずその動きは広がり、世界的に拡大するきっかけにもなったのです。

 

他にも、2012年からマイクロソフトやアップルといったアメリカの大手IT企業は、環境系NGO団体からの批判により、サプライチェーンを含めた対応を迫られました。この頃から、部品を供給する日本企業も対策を求められています。

 

こういったサステナビリティ経営は、リーマン・ショック後、ヨーロッパ企業が先行していました。企業が自分たちの存在意義を問い、その答えをビジネスにうまく活用していたのです。

 

アメリカ企業もその後を追うように展開しはじめ、日本でも遅ればせながら大企業を中心に参加するようになったわけです。近年では、中小企業にもそのムーブメントが波及しています。

 

Q:日本の企業がSDGsに取り組む必要性やメリットを教えてください。

プラスチックなどを生産する化学業界、化石燃料を使うエネルギー業界、大量の荷物を運ぶ物流業界といった業種は、すでに対応を求められています。また直接関係のない企業にとっても、SDGsへの関心の高まりは、ビジネスチャンスとなります。

 

また、人事採用においても重要な要素となっています。いわゆるZ世代(1990年代後半から2000年代前半に生まれ)に対して、小中学校では「探索型学習」が行われ、課題を発見するところからはじめる授業が行われています。そこでは、SDGsなどの社会課題がテーマとして設定されています。大学の講義でも取り上げられることが多く、彼らにとってSDGsとは当たり前のことなのです。当然、自分が就職する企業においても検討材料の一つとなり得ますので、SDGsに熱心でない企業は彼らの就職先から外される可能性があります。

 

逆に言えばSDGsに理解のある若者を採用することは、企業にとってサステナビリティ経営の可能性を大きく広げるチャンスにつながります。

 

一方で、すでに入社して働いている社員は、Z世代のような教育を受けていないこともあり、SDGsに対する意識は比較的希薄と言えるかもしれません。これも日本のSDGsの課題でもあり、変えていく必要があります。企業の中核を担う世代がSDGsに対する理解を深めることは、SDGsをビジネスへと昇華していくためには重要なことだからです。

 

Q:企業はSDGsを推進させるために、どんなステップを踏めばいいのでしょうか。

取り組みの手助けになる指針として「SDGコンパス」があります(下記参照)。GRI(Global Reporting Initiative)、国連グローバル・コンパクト、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が共同で作成したもので、企業がSDGsにどのように取り組むべきかが示されています。

 

「STEP1」として専門の講師を招いたり、eラーニングを社内全体で行ったり、SDGs がつくられた経緯やどんなものであるかの勉強からはじめると良いでしょう。日本での現状は「STEP3」の方針やKPIを決めるところまで進め、統合報告書を作成して満足してしまっている企業が多いようです。今後はビジネス実装させていく「STEP4」、ステークホルダーに向けて発信していく「STEP5」まで、段階を引き上げる必要があります。

 

[SDGコンパス]
STEP1.SDGsを理解する
STEP2.優先課題を決定する
STEP3.目標を設定する
STEP4.経営へ統合する
STEP5.報告とコミュニケーションを行う

 

Q:企業がSDGsに取り組むためのポイントやヒントを教えてください。

これまでのCSR(企業の社会的責任)の延長で考えてしまうとうまくいかないでしょう。CSRとは、企業が消費者や株主などから信頼を得るための社会貢献活動を指し、その活動自体で利益を上げるものではありません。対するSDGsは、ビジネスを通して社会問題を解決するという点が大きく異なります。「広報活動の一環」や「CSRはコストでしかない」といった考え方では当然ビジネスとして取り組むことはでないため、経営側もしっかりと関与する覚悟が必要です。

 

また近年はミッション・ビジョン・バリューやパーパス(purpose)の策定など、自社のリブランディングを行う企業が増えています。揚羽でもそのお手伝いをしていますが、これまで積み上げてきた理念や志の中にSDGs的な要素を見つけ出して明確化し、今後の指針へと昇華させていくこともよくある事例です。

 

日本企業だからこそヒントにできることもあります。日本には古来より、山や海といった自然を大切にする、自分たちのものではなく子々孫々までその恵みを残さなければならないといったSDGsにつながる理念がありますよね。

 

その考えを大切にして、実はSDGsが盛り上りを見せる前から現場でSDGs的な取り組みを行っていたという話はよく聞きます。すでに行動しているそうした事例や担当者の想いを汲み上げ、社内外へ発信することも一つのやり方でしょう。

 

SDGsの担当者になった方は、ぜひ社内のSDGsに関わる人や情報の棚卸しをしてみてください。今進めている事業の中に「それ、いいじゃん!」というSDGsの要素が発見できる可能性が十分あります。

 

Q:これからの日本企業にとってのSDGsの課題やゴールは?

先ほど申し上げたように「SDGコンパス」の「STEP3」までは、実行している企業は多いです。これからは「STEP4」「STEP5」に着手していくことが重要だと考えます。

 

「STEP3」までの統合報告書の作成などは、SDGs における基本中の基本、「規定演技」と言っていいでしょう。もちろん、統合報告書をつくることは大切ですが、どの企業も形式的で総花的になりがちです。

 

これから求められるのは、ビジネス実装やステークホルダーとのコミュニケーションといった応用の分野、つまり「自由演技」です。本当に手をつなぎたい人たちに、想いや行動をどう伝えていくのかを工夫しなければなりません。

 

具体的には、SDGsに関して積み重ねてきた事例や想いをホームページで発信したり、映像化したりと、心に伝わる表現をすることです。

 

揚羽は、企業理念を伝えるWebサイトや動画づくりを得意としています。SDGsやESGに関連するものも、多数制作した実績があります。SDGsに基づいたミッション・ビジョン・バリューの策定から、動画やWebサイトといったアウトプットまで、インナーにもアウターにも効果的な施策をワンストップでご提案します。

 

企業のSDGs施策や講師の派遣などはぜひ下記からご相談ください。

 

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ディレクターグループ
ディレクター

青木健

2019年から揚羽に在籍。コピーライター出身のディレクターです。メーカーや流通などB to Cの経験が豊富です。iPadを愛用し、これ1台ですべて仕事ができないか模索中。静岡県出身で、最近、日本茶インストラクターの資格を取りました。