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職種別採用を自社の新卒採用で導入すべき?計画・検討時に考えたいメリット&デメリット

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はじめに

みなさんこんにちは!MAGAZINEライターの望月です。

 

私は日頃、揚羽で新卒採用担当をしており、新卒採用戦略・コンテンツ設計、学生との面談・面接、候補者管理、内定者研修、内定者フォロー等、幅広い業務を行っています。

 

今回は、職種別採用とは何か、導入検討の際のメリット・デメリットについておさらいしていきましょう。

 

職種別採用とは

職種別採用とは、営業職採用や経理職採用など、選考時点から職種を定め、定めた職種の中でキャリア構築を行っていく採用手法です。こうした採用手法は、国際的に見て、非常に一般的といえます。

 

たとえばアメリカであれば、新卒に対しても即戦力を求めています。そのため、ほとんどの学生が休暇中に企業の長期インターンシップに参加していますし、学業の成績や研究内容を重要な指標として置いています。また、通年採用なので、大学を卒業後に就職活動をするなども少なくありません。募集広告としては、「部署別」・「役職別」で募集をかけ、応募資格としてその業務の経験年数やスキルレベル、学歴などをチェックします。具体的・個別的なポストに対して雇用契約を結ぶ仕組みなので、ポストがなくなったらそこで終了、というシビアな世界でもあります。

 

ドイツでは小学4年生の終了時に「高校進学」「職人」「実技習得」などの進路を選ぶ必要があり、基本的に得た専門知識やスキルに沿って業界を絞り込んだ就職活動やキャリア構築が行われます。そのため、異業種への転職もほとんどありません。逆に、初期キャリア形成期でつまずいてしまった若者は貧困に陥るリスクも高いようです。

 

こうしてみると、日本の新卒採用の手法が非常に独特なのがよく分かりますね。

 

日本では多くの企業が総合職採用を行っており、文系職を中心に、入社時点で部署や職種を定めずにさまざまな仕事を経験する採用を行っています。学生に対しても、実際にその仕事ができるかどうかを証明することより、アルバイトやサークル等での取り組みから自身のポテンシャルや人柄を説明することが期待されているようです。

 

入社した未経験者の社員をコツコツと技能習熟させ、職務に合わない場合は人事異動を行う、という採用人員の適材適所や全体パフォーマンスの維持を図るのは日本企業ならではの考え方ですね。一方で、そういった採用活動を行っている性質上、実際の仕事内容を透明化しにくい傾向があるようです。新卒学生としては「仕事内容について具体的に知りたい」というニーズが非常に高いというデータが学情から出ています 。

 

(*1)

 

また、OPENWORK働きがい研究所の調査でも、入社後ギャップの調査で「仕事内容が合わない」という項目が1位になっていたり、

 

 

(*2)

 

厚生労働省の調査でも、「満足のいく仕事内容ではなかった」ことが退職理由に密接に関連していることが分かっています。

(*3)

 

このように、日本の総合職採用を中心とした新卒採用は、ポテンシャルを重視し、入社後の異動に柔軟に対応できる反面、仕事内容の不一致による退職率も高いということが分かりました。

 

そんな中で、日本でも職種別採用を導入している企業は増えてきています。たとえばソニーのコース別採用では、職種別採用が主になっています。「技術系77コース」・「事務系11コース」と非常に具体的かつ多岐にわたるコース選択が可能です。入社したいがコースが定まっていない事務系学生については「WILLコース」という別コースを設けています。

 

また、クボタでは「総合職事務系」・「総合職技術系」というように総合職採用を主にしていますが、「財務・経理系」・「生産技術・製造系」の2コースについては職種別採用を行っています。

 

では、日本企業が職種別採用を導入する上での具体的なメリットは何があるのでしょうか?

 

職種別採用のメリット

まず、職種別採用のメリットは、仕事内容を理解した上で目的意識を持って志望してくれる学生とマッチングできることによる、ミスマッチの防止や即戦力化だと考えます。

 

総合職採用も選べる中でわざわざ職種別採用を選択するということは、意志を持ってやりたい仕事を選択しているということです。その仕事をやりたいという気持ちがあるため、ミスマッチにはつながりにくいでしょう。特にその仕事に興味がない人を採用するよりも、熱意の高い人を採用したほうが入社後の早期活躍も期待できるかと思います。

 

学校で専門的に勉強していたことを活かせるなど、即戦力化による教育コスト削減という観点でも恩恵が得られます。さらに、外国籍留学生に対するアンケートでは、「職種別採用が広がれば日本企業の就職先としての魅力が高くなる」と答えた回答が92.6%だそうです。母集団を日本人から世界に拡げていく、という観点でも魅力ではないでしょうか。(*4)

 

まるでメリットが多いように思えますが、職種別採用にもデメリットは存在します。

 

職種別採用のデメリット

デメリットとしては、キャリアステップの限定性や、そもそも採用枠に見合う学生母集団があるのかなどの問題があります。

 

最近、元ジョンソン・エンド・ジョンソンの日色保氏が日本マクドナルドの社長になりましたが、インタビューで「自分はキャリア・ラティス型のキャリア拡張を行ってきた」とお話されていました。ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、本人の希望、適性、ポテンシャルを見ながら、複数領域での昇進や並行移動などのさまざまな経験を積む「キャリア・ラティス(格子型)」というキャリア構築の考え方を導入されています。日色氏もまた、営業・マーケティング・品質管理とさまざまな経験をしたからこそ、史上最年少でジョンソン・エンド・ジョンソンの現地法人社長になることができたのではないでしょうか。

 

このように、企業が新卒採用を行うときに、将来の幹部候補生として鍛えていきたい、という思いがあるからこそ、あえて総合職として採用しさまざまな可能性を試したい、という思いがあるはずです。そういった際に、同一領域の一本道で昇進していく「キャリア・ラダー(ハシゴ型)」の考え方に近い、職種別採用という採用方法では求めるものと食い違うことはあるかもしれませんね。

 

また、新卒時点での志向性が働いてから変化することや、入社後により適性の高い業務が発見されることもよくあることだと考えます。職種別採用で入社した場合、あくまでその職種内でのキャリア形成を前提としているため、本人の志向性が変化しても別部門への異動ができない、配属転換を企業側から打診できない(受けいれられない)ことがあります。壁にぶつかったときに退職に意識が向かいやすい傾向もあるようです。

 

次に母集団についてですが、そもそも自社が募集しようとしている職種に母集団は集まるか、についても検討してみたいところです。仕事につながる学生の専門性を伸ばし、卒業後のキャリアに直結するように研究内容やプログラムを検討できている大学・学部・学科が、日本の中でどの程度存在するでしょうか。同じ職種でオープンにしている他社との競争優位性や自社固有の魅力訴求ができるか、などについても考えておきましょう。

 

また、あまり自分自身の特性やスキルを理解せずに応募してくる学生や、その分野の勉強を専門的に行っているものの学術性が高すぎて企業で活かすのには向いていない志向性の学生などが母集団に交じることも考えられます。職種別採用に応募してくる学生が、必ずしも自社で活躍する社員とは限りません。導入時には評価基準をしっかり定めておくことや、ピンポイントでターゲット学生に刺さる魅力訴求方法を検討しておくことが肝要でしょう。

 

職種別採用を導入する際の工夫

職種別採用は、入社後のキャリアを固定することになるため、ミスマッチのないよう、通常の採用活動より一層「どんな仕事内容なのか」を明確にイメージしてもらうことが重要です。
そのため、以下のチェックリストを意識しながら導入を行いましょう。

 

採用基準の具体化・明確化

職種別採用をした後、長く学生と付き合っていくのは現場です。経営陣からの要望に応えたり、人事内の想像で決めるだけでなく、しっかりと現場メンバーやマネージャーを巻き込んでいきましょう。そこで、具体的かつ明確な採用基準を形成できていると良いです。

【お役立ち資料:求める人物像の定義の仕方】のダウンロードはこちら

 

自社のポジショニング理解

通常の総合職採用とは競合する企業が異なる可能性も高いです。その職種を志望する学生がどんな会社を同時に見ているのか、他社の競争優位性や自社の独自価値を確認し、正しく魅力付けが行えるよう、キラートーク、プレゼン、クリエイティブなどに落とし込んでいきましょう。

【お役立ち資料:自社の魅力を整理・分析(3Cと5軸の分析)】のダウンロードはこちら

 

母集団形成

そもそも職種別採用を行っていることを知ってもらえていなければ、母集団形成はできません。ターゲットにしたい学生に興味を持ってもらえる導線づくりができているかを確認し、施策を打ちましょう。

 

情報提供

学生がエントリーボタンを押す前に、その職種の仕事内容を理解できるコンテンツが準備されていますか?お互いにとってミスマッチのない採用活動になるよう、具体的な仕事内容やキャリアステップなど、リアルな情報提供を行いましょう。

【お役立ち資料:学生の心境変化を踏まえた採用フローの設計】のダウンロードはこちら

 

評価・動機形成

選考フローの中では、現場メンバーやマネージャーなどを積極的にアサインしましょう。評価してもらうだけでなく、現場社員だから話せるリアリティのある体験談を聞けると、学生の動機形成にもつながります。

【お役立ち資料:リクルーター採用を進めるための3つのステップ】のダウンロードはこちら

 

いかがでしたでしょうか。職種別採用に対応した採用戦略設計のご相談や、クリエイティブ制作も弊社では受け付けております。職種別採用に悩む人事、採用担当者の方はぜひお気軽にご相談ください。

 

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データ引用元
(*1)

https://service.gakujo.ne.jp/data/compass1/202001
(学情レポート【COMPASS】2020.01 新卒採用における「職種別採用」という選択肢|新卒・第二新卒採用サービス 学情)

(*2)

https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_36
(新入社員の入社後ギャップ OpenWork 働きがい研究所)

(*3)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-h27-2-02.pdf
(厚生労働省発表)

(*4)

https://news.biglobe.ne.jp/economy/1116/prt_201116_5196241233.html
(【外国人留学生】「職種別採用」が広がれば、日本企業の就職先としての魅力が高くなるの回答が92.6%。「仕事の内容が明確だと嬉しい」「ジョブ型のほうが、採用される可能性も高くなると思う」の声。(2020年11月16日)|BIGLOBEニュース)

 

 

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中途/新卒採用担当

望月未来

日本大学国際関係学部卒業。WEBマーケティング系のベンチャー企業でWEBディレクター・社長室・採用担当などを幅広く経験し、揚羽には中途入社。自分の長所を活かしながら、生産性高く、楽しく働ける組織を作ってみたくて人事として奮闘中。

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