ブランディングを行って自社の認知度向上や商品の魅力を浸透させたいけれど、無駄なコストを発生させたくないと考えてしまい、なかなか実行に移れない企業も多いのではないでしょうか。そういった場合には他社のブランディング事例を参考にして、成功のポイントや失敗の原因を把握するのがおすすめです。

 

本記事ではブランディングの成功事例と失敗事例に加えて、事例の活用方法について解説します。

ブランディングとは

ブランディングとは、自社独自のブランド価値を作り上げて社会的に浸透させるプロセスを指します。リピーター獲得による利益向上や競合他社との差別化など、さまざまなメリットを得られる点が特徴です。

 

多くの企業がブランディングによる施策を実施していますが、求める成果を手に入れることは簡単ではありません。事前にブランディングに関する情報収集を行い、その詳細を正確に把握する必要があります。

特に他企業のブランディング事例は重要な情報源となるため、積極的に参考にして自社のブランディングに活かしていくのがポイントです。

ブランディングの成功事例

ブランディングの成功事例

 

すでにブランディングに着手し、事業を成功させた事例は多数あります。以下では、ブランディングにおける成功事例を紹介します。

ブランディングの成功事例1【IBM】

IBMは2017年に、「コグニティブコンピューティング」と呼ばれるブランディングを行ったことで有名です。コグニティブとは認知プロセスと訳され、従来は「定型処理の効率化」が主な役割だったシステムに、「解釈」や「判断」といった作業まで担当させるという考え方を意味します。

 

コグニティブコンピューティングは、IBMの人工知能「Watson」の開発に関係しています。そこでIBMは、「ブランディングによってコグニティブコンピューティングの意味や必要性が理解されれば、その理論を展開したIBMの評価が高まってWatsonの売り上げアップが見込める」という図式を作り上げてブランディングを成功に導きました。

 

日本IBM「コグニティブって知ってる?AIとは違うIBMの目指す世界とは」

ブランディングの成功事例2【Salesforce】

Salesforceでは、「世の中を良くすることがビジネスのあり方」という理念に基づいて「1-1-1 モデル」と呼ばれるモデルを作成しました。従業員の就業時間・株式・製品をそれぞれ1%ずつ社会に還元して、社会貢献を行うという手法となっています。

 

従業員は年間7日のボランティア活動時間が設けられていて、企業活動の一環として社会貢献を行うことが可能です。その結果「社会貢献性が高い」BtoBブランディングの実施に成功し、認知度の向上に成功しています。

 

セールスフォース・ジャパン「社会貢献」

ブランディングの成功事例3【トヨタ自動車】

トヨタ自動車は高品質と高性能を組織価値観として提供し、自動車業界でのブランディングに成功しています。具体的には「カイゼン」と呼ばれる独自の事業改善施策を実施し、サプライヤーの生産性を低下させないで人員を減らす方法や在庫リスクを低下させる「ジャストインタイム方式」などを広めました。

 

その結果ステークホルダーから多くの共感を得ることに成功し、現在ではビジネスモデルの基礎として使用されるほど有名な手法として広まっています。事業改善とブランディングを同時に成功させたことから、参考にできる部分が多い事例となるでしょう。

 

トヨタ自動車「トヨタ生産方式」

ブランディングの成功事例4【タニタ】

健康器具の製造や販売を行うタニタは、「人々の健康づくりに貢献する」というコンセプトを基にブランディングを成功させた事例として挙げられます。たとえば健康への意識向上を行っている説得力を高めるために、自社の社員食堂のメニューを再現できるレシピを本として出版したり、一般の人も利用できる「タニタ食堂」を出店したりといった施策を実行しました。

 

その結果、実際にタニタの食事を体験した人たちがブランドの方向性に共感し、価値の明確化と確立を実現したのです。会社の内面を打ち出していくブランディング手法として、有益な情報を多く得られる事例となります。

 

タニタ「タニタ食堂」

ブランディングの成功事例5【スーパーホテル】

スーパーホテルは、自社のブランドコンセプトと企業ロゴを結びつけることでブランディングを行った事例として参考にできます。具体的には「顧客を元気にする」というコンセプトを顧客に分かりやすく示すために、ビタミンのカラーリングを意識した黄色のロゴを採用しました。

 

結果的にブランドの目指す方向や価値を視覚化することに成功し、スーパーホテル独自の企業価値確立に成功しています。企業ロゴやキャッチコピーなどは、会社を代表する要素になり得るため、どのような事例が成功しているのか知ることは重要です。

スーパーホテル

各種ブランディングの成功事例

ブランディングにはいくつかの種類があります。以下では、ブランディング手法ごとの成功事例を紹介します。

インナーブランディングの成功事例【オリエンタルランド】

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、「サンクスデー」と呼ばれる施策を実施し、閉園後の東京ディズニーリゾートを貸し切ってキャストを楽しませるインナーブランディングを行いました。

 

普段と違って役員や社員が非正規社員や準社員をもてなすことで、施設の楽しさを再認識させるとともに、キャストのモチベーションを高めて企業価値を浸透させる機会を作っているのがオリエンタルランドのインナーブランディングの特徴です。

オリエンタルランド「企業風土とES(従業員満足)」

採用ブランディングの事例【小松製菓】

小松製菓は、煎餅の販売数が日本一の老舗企業です。小松製菓は自社で働きたいと思ってもらうための採用ブランディングの一環として、従業員の生活を最後までサポートする施策を実行しています。たとえば定年までに20年以上勤務した社員を対象に、年2回遺族に年金を渡す「小松年金」などの制度を作りました。社員の家族も含めて生活支援を行う姿勢が話題となり、採用ブランディングに成功しています。

小松製菓(株式会社巖手 – 巖手屋ブランドの販売会社)

企業のリブランディングの事例【ヤンマー】

農機具メーカーの販売を行ってきたヤンマーは、現在は建設機械やエネルギー事業に進出しているにもかかわらず、従来の「農業に関する会社」というイメージが強く残っていることを課題としていました。そこで自社のブランド価値を変えるために、プロダクトデザイナーにフェラーリやマセラッティといったスポーツカーのデザインを担当した奥山清行氏を、農作業ウェアのデザインにファッションブランドのイッセイミヤケの仕事を担当した滝沢直己氏を採用し、リブランディングを実施しています。

 

その結果、従来の会社にまとわりついていた「古臭い」といったイメージは一新され、最先端の企業として認知されるようになりました。

ヤンマー

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ブランディングの失敗事例

ブランディングの失敗事例

ブランディングは成功事例だけでなく、いくつかの失敗事例もあります。以下では、いくつかの企業の失敗事例について解説します。

ブランディングの失敗事例1【大手小売メーカー】

某大手小売メーカーは、総合食品メーカーになることを画策して定番商品から外れたさまざまな製品の販売に着手しました。しかし、従来のイメージが強すぎたせいか新製品の売れ行きは芳しくなく、捌ききれずに在庫を抱えてしまいます。結果的に大幅な値引き価格で売ることになってしまい、ブランドイメージの悪化につながってしまいました。

 

自社の強みやノウハウを活かせないブランディングは、成功させるのが難しいということがよく分かる事例となっています。

ブランディングの失敗事例2【大手ファッションメーカー】

某大手ファッションメーカーは、ロゴマークを変更したことで反対意見が多く集まり、わずか数日の期間で元の形に戻したという失敗を経験しています。企業が想定していた以上に、利用者がそのロゴマークに愛着を持っていたことが、ブランディング失敗の原因と考えられるでしょう。

 

結果的にブランディングは失敗となりましたが、早期に消費者の意見を受け入れたことで大きな損失にはなりませんでした。ブランディングの失敗を把握したら早期に解決・撤退を進めることの重要性を、この失敗事例から学ぶことができます。

ブランディングの失敗事例3【大手飲料メーカー】

某大手飲料メーカーは、定番商品のパッケージをリニューアルしたことで、わずか数か月で売上が20%も減少してしまいました。約3000万ドルの売上減少の結果、ブランディングは失敗したと判断され、パッケージデザインは元に戻すことになったのです。

 

元のデザインがブランドの象徴になっていたことを、企業側が正確に認識できていなかった点が、ブランディング失敗の原因だと考えられるでしょう。

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ブランディングを成功させるために事例から学ぶべきこと

自社のブランディングを成功させるためには、上記で紹介した各種事例からさまざまなことを学ぶことが重要です。以下では、ブランディングの成功事例から学ぶべきことについて解説します。

ブランディングの問題点を可視化する

自社できちんとブランディングの問題点を可視化できていないと、軌道修正が行えず失敗する可能性が高まることが事例から見てとれます。ブランディングが行き詰まった際に具体的に何が問題なのか把握できるように、常に状況をチェックして可視化できるように備えるのがポイントです。

 

消費者視点を無視した「自己満足なブランディング」にならないように注意し、客観的な意見を受け入れる用意をするのがブランディング成功の秘訣になります。

ブランディングは時代に合わせて見直す

ブランディングを実施して自社の価値を確立できても、時間が経てばそれはまた古い価値観になる可能性があります。そのため常に時代の流れやトレンドを把握し、そのときに合わせたブランディングを行う「リブランディング」の準備をしておくのも事例から学べる成功のポイントです。

 

市場に革新的な製品が誕生したり、最新の技術が一般化したりといった大きな変化が起きた際には、自社のブランド価値を見直してリブランディングを考える必要があります。

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ブランディングの事例を参考にする際の注意点

ブランディングの事例を参考にする際には、いくつかの注意点をチェックしておくのも重要です。

成果が出るまでに時間がかかることを理解する

多くの場合、ブランディングは成果が出るまで時間がかかります。そのため成功事例を参考にブランディングを行ったからといって、すぐに同じ成果を得られるとは限らないのです。

 

中長期的な視点を持ってブランディングを実施し、時間をかけて少しずつ目標達成を目指すのが基本的な姿勢となります。

ブランディング会社に依頼することも検討する

ブランディングにはノウハウが必要になるため、会社の環境次第では事例を参考にしても成功させることが難しいケースも多いです。その場合にはブランディング会社に依頼し、プロの戦略を軸にブランディングを実施することも選択肢に入ります。

 

たとえばブランディングの支援を行っている揚羽は、企業価値向上を目指すコーポレートブランディング支援、近年話題のSDGsにおける取り組み方をサポートするサステナビリティブランディング支援、企業理念やブランドを社員に体現させるインナーブランディング支援、各種データと実績を活用して求職者に選ばれる企業を実現する採用ブランディング支援など、さまざまな方法でブランディングを手伝っています。

 

これまで支援してきた企業の事例を多く知っているため、具体的なアドバイスによってブランディングを進めることができます。

 

揚羽のブランディング支援

■コーポレートブランディング
■インナーブランディング
■採用ブランディング
■サステナビリティブランディング

 

まとめ

自社でブランディングをはじめる際には、まず他企業の事例をチェックするのがおすすめです。成功事例と失敗事例のどちらからも学べることがたくさんあるため、この機会にまずは有名な事例から詳細を確認してみましょう。

ブランディングの事例を確認した上で具体的な施策に移る際には、まずブランディング会社に相談してみることがおすすめです。株式会社 揚羽なら先に挙げたように、目的に合わせてさまざまなブランディング支援を行っています。必要な情報提供や具体的なブランディング手法の指導などを実施しているので、ぜひ一度ご相談ください。

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