インナーブランディングの手法の1つに、動画活用があります。経営層から従業員に伝えたいことの中に企業理念やビジョンなどの概念的なものがある場合、口頭やテキストで伝えるだけでは理解度が深まらない可能性が考えられます。一方、動画であれば概念的な内容であっても視覚・聴覚から直感的に伝えることが可能です。結果、企業理念やビジョンなどが浸透しやすくなり、インナーブランディングの効果を高めることが期待できます。

 

今回はインナーブランディングで動画を活用するメリットやシーン、当社の事例などを詳しくご紹介します。

インナーブランディングで動画を活用するメリット

インナーブランディングでは、経営層から従業員に伝えたいことの中に企業理念やビジョンなどの概念的な内容が含まれる場合があります。言葉では伝わりにくい部分もあるため、伝達手法として動画が適しています。

 

まずは、インナーブランディングで動画を活用する効果から、そのメリットを解説します。

 

短い時間で理解度を深められる

最大のメリットは、試聴時間内で伝えたい内容の理解度を深められることです。情報をテキストで伝える場合と比較して、画像は7倍、動画は5000倍ともいわれており、1分の動画は単語に換算すると180万語もの情報が伝達できます。

 

また「メラビアンの法則」によると、コミュニケーションにおいて話し手が聞き手に与える影響は言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%です。つまり、対話だけでは聞き手に与える影響が少ない可能性がある点に注意が必要です。

 

経営層から従業員に伝える企業理念やビジョンなどの概念的な内容の場合、口頭やテキストでは浸透度や理解度が深まらない恐れがあります。しかし、視覚や聴覚からもアプローチできる動画なら、短時間で理解を深める効果が期待できます。

 

テキストよりも思いや熱量が伝わりやすい

動画では、実際に経営者が話している様子や従業員を登場させて、想いを語らせることが可能です。人柄や雰囲気まで伝えることができるため、視聴する側はその想いや熱量も感じやすいといったメリットがあります。

 

社内報やクレドカード、ブランドブックなどのインナーブランディングの効果を高められるツールでも想いや熱量は伝わりますが、読む手間や活字である点をふまえると従業員(視聴者)側が情報を受けるハードルが高く、思うように伝わらない恐れがあります。さらに、テキストでは直感的に理解しにくい、文字量が多いなどの理由から、テキストコンテンツはそもそも読んでもらいにくい可能性もあるため、そうした点をふまえても動画は高い効果を発揮します。

 

継続的に利用できる

一度作成した動画は、社内研修や社内報、社内イベントや外部への提案時などさまざまなシーンで活用できます。

 

社内・社外でも視聴対象者ごとに動画を使い分けることで、より強い訴求が可能となります。たとえば、社内向けであれば新卒社員向け・管理職向け・社内報など、顧客や取引先、株主などの社外向けであれば、会社説明やサービス説明、理念・パーパス・ミッションなど、動画の目的や対象はさまざまです。

 

企業理念や伝えたい内容などに変更がない限り、動画は継続使用できます。また、組織再編などのタイミングで今一度強いメッセージの発信が必要なとき、一体感醸成が必要なときなど、目的に合わせて動画を刷新することもインナーブランディングの施策として有効です。動画は一度作成して終わりではなく、アップデートしていくことで効果を高められます。

 

インナーブランディングで動画を活用する際の注意点

インナーブランディングで動画を活用する際の注意点

インナーブランディングで動画を活用する際には、以下のような注意点もあります。動画制作を検討している場合は、注意点も押さえておきましょう。
 

制作に労力とコストがかかる

企画構成や編集、機材の準備や実際の撮影など、動画制作には労力とコストがかかります。クオリティの高い動画にするには専用の機材が必要なだけでなく、どういった言葉・ストーリーで、どのような画角構成にするかなど、目的にあった内容の企画構成が重要です。

 

最近ではスマホでも動画編集ができたり、構成であれば自分たちで考えられると思う方も多いかもしれませんが、制作やブランディングを熟知している人とそうでない人ではクオリティも格段に違ってきます。動画で高い効果を発揮したい場合には、動画制作の予算を十分に確保することも重要です。

 

クオリティが低いと逆効果になる

社内向けの動画だからといって、クオリティに妥協してはインナーブランディングの効果が低下しかねません。なぜなら、クオリティの低いインナーブランディング動画はかえってブランド力を損ねてしまい、従業員にもネガティブな印象を与える恐れがあるからです。

 

クオリティの高い動画を制作するほどコストはかかってしまいますが、インナーブランディングが成功すれば業績にも良い影響を与えてくれる可能性があります。リターンを考えれば、コストをかけてクオリティの高い動画を制作することがおすすめです。

 

インナーブランディングで動画を活用するシーン

せっかくインナーブランディングの効果を高めるための動画を作成しても、見てもらえないことには効果を発揮しません。では、動画はどのようなシーンで活用できるのでしょうか。

 

ここでは、インナーブランディングを戦略的に実行するための動画の主な活用シーンをご紹介します。

 

社内イベント

表彰式や決起会、総会などの社内イベントは、従業員の帰属意識が高まりやすい機会です。こうしたタイミングでインナーブランディングとして動画を活用することは、モチベーション向上にも効果的です。たとえば、イベントの冒頭で従業員が盛り上がる内容の動画を用意したり、あるいは社内イベント用の動画にインナーブランディングを高める要素を盛り込んだりすることで、従業員が改めて自社の魅力に触れることができます。
 

社内研修

とくに、新入社員や中途入社の社員に対して行う研修での動画活用がおすすめです。新しく企業に所属したメンバーに対して、企業理念やビジョンなどを理解してもらうことは重要なステップです。企業理念やビジョンが理解できることで、エンゲージメントやモチベーションを高めて仕事に取り組めるようになるだけでなく、帰属意識も醸成されます。

 

一方、新入社員や中途入社の社員にだけインナーブランディングの施策を実施すればいいわけではありません。既存の従業員に対しても、動画が作成できたタイミングで改めて企業に対する理解を深めるための研修を行うのも1つの方法です。
 

内定式・入社式

内定式や入社式など、新たな門出を祝うタイミングでのインナーブランディングも効果的です。これから働く企業に対する理解を深めること、魅力を知ることは、将来に対して明るい感情が持てるようになります。たとえば、内定式で動画を視聴してもらうことは、入社までのモチベーション維持にも有効です。入社するまで、または入社した最初の段階で企業に対する良いイメージを持ってもらうなど、モチベーションややる気が高められることは、エンゲージメント向上の効果にも期待できます。

 

インナーブランディングでの動画活用の事例紹介

今回は、当社がインナーブランディング支援で制作した動画の事例をご紹介します。
 

事例1.株式会社農業総合研究所

インナーブランディング_動画_株式会社農業総合研究所

クライアント 株式会社農業総合研究所
工程 企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 撮影 / 編集

 

株式会社農業総合研究所は、全国で集荷した農産物を都市部のスーパーマーケット内に設置したインショップにお届け・販売する、生産者と生活者をつなぐ新しいプラットフォームを構築する企業です。

 

従業員のモチベーション低下を課題に感じ、インナーブランディングを実施。日々の業務に忙殺されて入社時の思いや目的を見失ってしまったこと、社内でのコミュニケーションの希薄化や孤独感が、モチベーション低下の主な要因でした。今回は原点に立ち返るきっかけとなり、事業所や部署を超えた社員間のつながりを意識できるような動画を制作。

 

「入社後一番感謝している社員さんは誰か?」という質問から、相手へ直接感謝を伝える演出を取り入れることで、普段口にすることのない潜在的な想いを表に出す映像に仕上げました。演出過多にならないよう、リアルさと演出のバランスを取った点が工夫ポイント。また、すべての社員が映像を自分事化できるよう、映像に映らない社員の感謝と情熱のこもった言葉も集めてエンディングで流す演出も取り入れることで訴求力を高めました。

 

【支援実績】株式会社農業総合研究所の事例はこちら!

 

事例2.日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社

インナーブランディング_動画_日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社

クライアント 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社
工程 企画構成 / 制作進行 / ディレクション / コピーライティング / 取材・撮影 / 編集

 

ブランド理念の共有、伝達、体現力をさらに高めることを目的としたブランド映像の制作をご支援しました。

 

KFCが創業より培ってきた価値観と世界観を第一線で働くスタッフの皆さんに正しく伝えること、そして実際にお店でKFCのホスピタリティを体現してもらうことを目的に動画を構成しています。創業した1952年より続くカーネル・サンダース氏の信念を未来に紡いでいく使命感を感じてもらうため、創業者カーネル・サンダース氏の人生やKFC事業拡大のあゆみ、育んできたアットホームなカルチャーを貴重映像とアニメーションなどでわかりやすく見せると同時に、現在活躍している社員のインタビューも盛り込みました。

 

(お客様インタビューより)
動画は新人アルバイトの初期研修や店舗従業員の年次研修、店長会議など従業員が集まる場で視聴してもらい、ブランドの浸透・再認識に活用。従業員からも非常に好評とのお声をいただき、従業員のブランドへの愛着が高まっていると同時にサービスや商品への情熱にも反映されている実感ができているそうです。さらに、お客様アンケートではサービスや商品の品質への満足度が目に見えて上昇し、中期経営計画で定めた目標数値も達成するなどの成果にもつながりました。

 

【支援実績】日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の事例はこちら!

 

【お客様インタビュー】「 KFC ブランド」を世の中に発信するためには、まず社内から変えていく必要がありました。

 

インナーブランディングで動画を制作する際のポイント

インナーブランディングで動画を活用することは、理念やビジョンが組織に浸透し、従業員のモチベーションやエンゲージメントが高められる効果を期待できるものです。しかし、正しくポイントを押さえて制作できていない場合、期待した効果が見込めない恐れがあります。

 

ここでは、インナーブランディングで動画を制作するにあたって押さえておきたいポイントを解説します。

 

インナーブランディングの目的を明確にする

まず重要なのは、インナーブランディングを行う目的を明確にすることです。ここが明確にならないと、動画の方向性も決まりません。

 

インナーブランディングを実施する企業が持つ課題は「従業員のモチベーションが低下している」「離職率が高い」「企業の理念やビジョンが浸透できていない」など、さまざまです。自社にどのような課題があってインナーブランディングを実施するのかを明確にしてこそ、目的を達成できる動画が制作できます。

 

従業員目線で制作する

インナーブランディングは従業員に対して実施するものであるため、動画も従業員目線で制作することが重要です。例えば、経営層だけの目線で制作してしまうとどこか上から目線の内容になってしまったり、経営者同士にしかわからない共通言語のみを使った動画になることで直感的に内容を理解できなくなってしまったりと、せっかく動画を制作してもインナーブランディングの効果を発揮しなくなってしまいます。

 

誰にでもわかる言葉で直感的に内容が理解できるか、従業員が自分事化できるかを意識して企画構成しましょう。

 

共感性や刺激性のある工夫を施す

動画を見て自分事化してもらうためには、共感を得る必要があります。そして、さらにモチベーションやる気を高めてもらうためには刺激性も欠かせません。

 

従業員が共感できない、自社で働くことへの誇りや仕事への熱意に直結しない内容では、インナーブランディングの効果が無意味なものとなってしまうでしょう。実際に活躍している社員を動画内に登場させるなど、共感性や刺激性が得られる工夫を施すことがポイントです。ただし、押し付けがましい内容にならないよう注意が必要です。
 

独自性とストーリー性を意識する

インナーブランディング施策で動画を制作する際には、高いクオリティが求められます。ここでいう高いクオリティとは、工夫された構成・演出や理解のしやすさ、共感性などです。クオリティが低いと、目的とは裏腹に従業員のモチベーションを下げてしまう恐れがあります。

 

動画では、なるべく独自で撮影した素材を使用しましょう。そして、従業員に関心を持って視聴してもらうにはストーリー性も重要です。ありふれたチープな内容では、印象に残らない動画となってしまいます。

 

制作費の観点でクオリティに妥協したくなる気持ちもあるかもしれませんが、クオリティの高い動画は、結果的に企業の成長や利益に結びつくものです。制作費以上のリターンに期待できる可能性があることからも、クオリティには妥協しないこともポイントの1つです。

 

インナーブランディング施策に動画制作を検討するなら

企業が一体となって発展、成長していくためには、組織内に理念やビジョンが浸透していること、そして従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めていくことが必要です。動画はインナーブランディングを実施する上で効果的な手法の1つであり、概念的なポイントでも直感的にわかりやすく伝えられます。

 

揚羽では、インナーブランディングのための動画はもちろん、その他さまざまな手法から各企業にあった最適なインナーブランディング支援策をご提案いたします。インナーブランディング実施のための動画制作において、企画構成から制作進行、撮影から編集までワンストップで対応でき、企業理解と各社の想いや希望に寄り添ったクオリティの高い動画制作とブランディングのご支援が可能です。

 

インナーブランディング施策に動画制作を検討している場合は、ぜひご相談ください。
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