2026年2月26日(木)に『成功事例で解説!社員の心を動かす周年イベントの企画と演出』と題したセミナーを開催しました。株式会社揚羽のブランディングコンサルタント/クリエイティブディレクター 應本幸紀と、制作プロデューサー 小林夏帆が登壇し、周年イベントを成功に導く企画設計や演出ポイントについて解説しました。

本セミナーレポートでは、「周年を機に組織の一体感を高めたいが、具体的な企画や演出に悩んでいる」という課題を整理し、社員の心を動かす周年イベントを実現するための視点、そして、実際に揚羽が支援した成功事例を交えた具体的な企画設計や体験づくりのプロセスについて詳しく解説します。

事例1:株式会社プライムプレイス様|企業変革とリンクさせた周年イベント

東京建物グループで商業施設のプロパティマネジメントを担う株式会社プライムプレイス様では、創立20周年を機に周年プロジェクトを実施しました。

本プロジェクトは、企業の変革期に合わせて「社員のつながり強化」と「価値観の再共有」を目的に企画したものです。

リアルイベントの開催にとどまらず、ミッション改訂やブランドスローガン策定とも連動させ、組織変革と一体で推進されました。

詳細な支援実績はこちら:社員の声を起点に、20周年式典で「つながり」を再構築

抱えていた課題と背景

同社では、10年前は年に1回以上全社員が対面で集まる文化があり、アットホームな雰囲気が醸成されていました。

しかし、企業の成長やコロナ禍を経て、状況は以下のように変化しました。

  • 社員数が倍増し、全国の拠点に分散
  • 全社員が集まる機会は年1回のオンラインのみ
  • 互いに顔見知りではない社員が増加
  • 事業拡大に伴う社員理解の促進が急務

このような背景から、組織としての一体感や価値観の共有が課題となっていました。

さらにプロジェクトの実施にあたり、「対面イベントに対する社員の温度感がわからない」「どのような企画が喜ばれるのか」といった懸念もありました。

そこで揚羽は、役員から現場社員まで計7名へのインタビューを実施し、以下の課題を洗い出しました。

  • 社員同士のつながり不足
  • ミッションの浸透不足
  • 業務の属人化と再現性の欠如
  • 経営層と現場における認識のギャップ

とくに、社員と経営層で「地域社会に貢献したい」という想いは共通しているものの、捉え方に差があることが判明し、共通認識をつくる必要性が明確になりました。

周年プロジェクトの実施内容

事前のインタビューで得た課題を踏まえ、以下の施策を実施しました。

キーコンテンツ「プライムストーリー」の制作

本プロジェクトの核として、社員参加型の「プライムストーリー」を企画しました。

  • 全社員から“プライムプレイスらしい行動や出来事”のエピソードを募集
  • 100以上のエピソードを収集し、冊子としても展開
  • 映像や展示、会場装飾などのクリエイティブにも反映

この取り組みにより、組織の価値観や行動指針が可視化され、社員間で共有される仕組みを構築しました。

当日の施策:参加主体型の空間設計

イベント当日は、コンセプトに沿った空間設計を行い、組織の一体感を演出しました。

  • コンセプトゲートやオリジナル名札の制作
  • 新スローガンの発表
  • インスタント写真を掲示し、参加体験を可視化

参加者が受動的にならず、主体的に関われる設計にしたことで、イベントを通じて強い一体感を醸成しました。

プロジェクトの成果

対面で全社員が集合するイベントを実施した結果、「非常に価値を感じた」「ある程度価値を感じた」と回答した割合は97.8%に達しました。

参加者からは、以下のような声が寄せられています。

  • サプライズもあり、非常に内容が濃く勉強になった
  • 式典参加者の表情から、良い会だったことが伝わった
  • 社内で知っている人が増えたことが嬉しい

アンケート結果からも、組織の一体感向上に大きく寄与したイベントであったことがわかります。

成功のポイント

本プロジェクトを成功に導いたポイントは、主に以下の2点です。

1.事前ヒアリングによる目的の明確化

役員から現場まで幅広い層に取材を行い、認識のズレを防ぎながら目指すべきゴールを統一しました。

2.キーコンテンツを軸とした一貫した体験設計

「プライムストーリー」という核となるコンテンツを中心に置き、各施策の意図を明確にすることで、参加者にとって意味のある体験として設計しました。

事例2:パーソルテンプスタッフ株式会社様|3年かけて創業の想いを伝えた50周年プロジェクト

パーソルテンプスタッフ株式会社様では、創立50周年を記念し、約3年にわたる周年プロジェクトを実施しました。

本プロジェクトは単発のイベントではなく、長期的なプロセスを通じて社員の意識醸成を図った点が特徴です。

50周年に先駆けた2022年5月から2024年3月までを「周年イヤー」と位置づけ、感謝と誇りをテーマに多様な施策を展開しました。

集大成となる「感謝祭」は、東京と大阪の2拠点で計4日間開催され、のべ約6,000名近い社員が参加する大規模なイベントとなりました。

詳細な支援実績はこちら:経営理念のさらなる浸透へ、 創業の想いと感謝を未来につなぐ周年プロジェクト

抱えていた課題と背景

プロジェクトの開始にあたり、まず揚羽が実施したのは、役員や部長、勤続年数の長い社員、若手社員など、計8名へのインタビューでした。

インタビューの結果、以下の課題が明確になりました。

  • 創業者の想いが世代間で十分に共有されていない
  • 従業員間で企業姿勢の理解にばらつきがある

同社では創業者が第一線を退いており、長く働く社員は創業者の想いを深く理解している一方で、新しく入社した若手社員にはその熱量が伝わりきっていないという背景がありました。

そこで、本プロジェクトは「創業の想いを体験として伝える」ことを軸に設計されました。

周年プロジェクトの実施内容

大テーマを「おつき合い いつまでも」、通期のテーマを「感謝と誇り」と定め、期間を3つのステージ(過去・現在・未来)に分けて施策を展開しました。

感謝祭に向けた事前施策(プロセス設計)

本プロジェクトでは、感謝祭当日までのプロセス設計を重視しました。1年前から段階的に熱量を高めるため、以下の施策を実施しています。

  • 社内向け情報発信:周年ロゴやポスター制作、毎週更新の特設イントラサイト開設、スクリーンセーバーの配布
  • 歴代社長による全国キャラバン:歴代社長3名が全国21拠点を訪問し、直接対話を通じて創業者の想いや過去のエピソードを伝達
  • 社外向け特設サイト:50年の軌跡と未来への展望をステークホルダーに向けて発信

感謝祭当日の施策:メリハリのある2部構成

感謝祭当日は、東京(約2,000名規模)と大阪(約1,000名規模)の会場でオフライン開催されました。

● 第一部(式典)

創業者に関する映像や対談コンテンツの上映、社長・副社長によるスピーチを実施。プロジェクト準備当時はコロナ禍だったこともあり、オンライン配信も想定して動画コンテンツを充実させるなど、柔軟な設計にも対応しました。

● 第二部(立食パーティー)

社員同士が交流できる立食形式で開催。規模が大きい組織でも、役員の顔と名前を知ってもらうため、「役員の顔写真入りのお菓子」を配布したり、役員で構成された「応援団エール」を行ったりと、一体感を促進するユニークな仕掛けを取り入れました。

プロジェクトの成果

事後アンケートにて「全体を通じて、感謝祭に参加した満足度はいかがでしたか?」という問いに対し、「とても満足した」「満足した」の合計が93%に達しました。参加した社員からは、以下のような声が寄せられています。

  • 社員としての誇りと励みを感じる1日だった
  • 再び自分たちが良い会社に所属していると感じ、働く意欲が湧き上がった
  • コロナ禍の影響で久しぶりのリアルイベントとなり、社員間のエネルギーや絆を実感できた

成功のポイント

本プロジェクトの成功要因は、主に以下の2点です。

1.イベント前の緻密なプロセス設計

イントラサイトやキャラバンなどの事前施策によって参加意欲を高めたことが、当日の体験価値の最大化につながりました。

2.細部までこだわったクオリティと体験設計

6,000名規模のイベントでありながら、役員との距離を縮める工夫や、展示・映像の細部にこだわることで、社員の帰属意識を高めることに成功しています。

事例3:教育支援を行う財団法人様|新たな方針を楽しみながら知ってもらう周年フェス

とある財団法人様では、周年を機に、奨学生や支援先施設を対象としたイベントを実施しました。目的は、周年の感謝を伝えるとともに、「学び」と「つながり」を提供することです。

また、新たに策定されたミッション・ビジョン・バリューの浸透も重要な狙いでした。

抱えていた課題と背景

対象となる奨学生は、10代~20代の若者が中心であることが特徴でした。全員参加型の社内イベントとは異なり、参加が任意のイベントであるため、「思わず参加したくなる企画」と「楽しさだけではなく学びのある時間」の両立が求められました。

周年プロジェクトの実施内容

上記のご要望を実現するため、以下の施策を実施しました。

参加しやすさを高める「フェス形式」の採用

任意参加でも足を運びやすくするため、固定のタイムスケジュールに縛られず、参加者が好きなタイミングで来場し、同時進行する複数のコンテンツから興味のあるものを自由に選べる「フェス形式」をご提案しました。

会場を活かした体験型コンテンツ

会場の1フロアを貸し切り、多様な企画を展開しました。

学びのコンテンツ

有識者をゲストに招き講演会を実施しました。さらに、ワークショップ、クイズ大会など、主体的に学べる体験型コンテンツを用意しました。

楽しみ・つながりのコンテンツ

会場内では、参加型アートやフラワーアートの展示、オリジナルサコッシュとマップの配布、帰り際のフラワープレゼントなど、フェスならではの楽しみを散りばめました。

プロジェクトの成果

イベント後のアンケートでは、「とても満足した」「満足した」の合計が85.5%となりました。

また、新たなミッション・ビジョン・バリューについても高い浸透効果が見られました。

参加者からは、以下のような声も寄せられました。

  • 初めて会う人や、同じ奨学生の先輩とも話せて大きな出会いになった
  • 「働くこと」について考え直し、これから社会人になる上で自分を大切にしようと思えた

成功のポイント

任意参加型イベントを成功させる鍵は、「参加しやすさ」と「体験価値」の両立にあります。

本事例では、フェス形式で自由度を高めつつ、ターゲット層の特性に合わせたオリジナルの体験型コンテンツを設計したことで、高い満足度と学習効果を同時に実現しました。

まとめ:周年イベントを成功に導く2つのポイント

今回ご紹介した3つの成功事例から見えてくる、周年イベント成功のポイントは以下の2点です。

1.課題や達成したい目的を明確にする

目的が曖昧なままでは、単なる一過性の催しで終わってしまいます。イベントを通じて組織のどんな課題を解決し、どのような状態を目指すのかを事前に明確にすることが、最終的なイベントの満足度につながります。

2.一過性で終わらないプロセスを設計する

イベント当日だけでなく、事前の期待感醸成から、当日の体験、そしてイベント後の行動変容までを一連のプロセスとして設計することが重要です。

周年イベントはゴールではなく、未来に向けたスタートです。イベントを起点として、組織の進化や社員の意識変革につなげていく視点が求められます。


本セミナーの録画を公開しております。視聴ご希望の方は、以下のボタンよりお申込みください。お申込み後、すぐに視聴いただけます。

《無料》セミナー視聴の申し込みはこちら