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セミナーレポート~SDGs、やるか、やらないか 10年後の社会を率いる企業を目指して~

セミナーレポート~SDGs、やるか、やらないか 10年後の社会を率いる企業を目指して~

皆様、こんにちは。営業部の石田です。
さて、先日11月18日(木)に、「SDGsやるかやらないか」と題したセミナーを開催いたしました。
本セミナーは、サステナビリティ経営を実践する株式会社ユーグレナの北見裕介氏、若者世代の心理行動の専門家である原田曜平氏をゲストとしてお招きし、地域課題解決と連動した越境型プログラムなどの開発に携わる株式会社ウィル・シードの小林陶哉氏と弊社SDGsトランスフォーメーション推進室室長である黒田天平がモデレーターとして、SDGsを事業として挑戦する必然性や難しさを伺いながら、10年後のアフターSDGsの社会の中核を担うZ世代が求める社会や企業像への本音や、経営と従業員が共に目指すためのポイントについて徹底議論しました。

 

オープニングトーク


モデレーター:小林陶哉 氏
株式会社ウィル・シード
HRD事業部 事業部長

 


モデレーター:黒田 天兵 氏
株式会社揚羽
SDGsトランスフォーメーション推進室 室長

 

本セミナー開催の背景

世界と日本では、SDGsへの取り組みに温度差があるように感じています。テレビ番組やYouTubeなどで取り上げられるなど、SDGsの認知は高まっていますが、消費行動への影響はまだまだ微弱です。また、個人レベルでは関心をもち、共感していても、企業レベルでは具体的なアクションにつながっていないのが現状であるかと思います。

 

本セミナーでは、アフターSDGsのゴールである【10年後の2030年にどんな会社であることを目指していくのか】をテーマに掲げ、SDGsに取り組む企業が増えていく中、未来がどのように変化していくのかについて議論していきます。

 

若者研究家の原田氏に、10年後の社会の主軸であるZ世代の価値観からみたアフターSDGsの社会に向けたヒントについてお話をいただきます。続いて、株式会社ユーグレナのコーポレートコミュニケーション課課長の北見氏に、SDGsを真ん中に据えて挑戦する企業として見えているもの、大切にしているキーワードなど、SDGsに取り組む自社の事例をご紹介いただき、これからSDGsに取り組む上でのヒントを見つけていきます。

 

GUEST1|原田曜平氏|10年後の主役であるZ世代の価値観


スピーカー:原田 曜平 氏
若者文化評論家

 

日本の世代論

・ゆとり、脱ゆとり(Z世代)とは?
図は日本の世代論を示しています。戦後の「第一世代」である団塊世代から順に「ポパイ・JJ世代」、「新人類世代」というように大まかに分類されており、Z世代とは図の一番右側の「脱ゆとり世代」(~23歳)を主に指し示しています。また、図の下部にはアメリカの世代論の区分を示しています。アメリカの世代論の呼称では、11-26歳を「GenerationZ」と呼称しています。この「GenerationZ」と「脱ゆとり世代」は対応しており、「GenerationZ」の影響を受けた呼び名として、日本でも脱ゆとり世代のことを「Z世代」と呼ぶようになっていきました。

 

 

・世界と日本のZ世代
今、世界全体ではZ世代の人口は増加しており、海外に行くと当たり前のように投資家たちがZ世代の研究をしています。一方、台湾、香港、韓国や日本など東アジア圏ではZ世代の人口は少ないため、彼らは話題になりづらい状況です。グローバル市場ではZ世代の時代であるため、SDGsをグローバルに拡散していくためには、Z世代の価値観を知り、アプローチしていくことが必須であると言えます。

 

日本でもここ1年ほどで徐々にZ世代が注目を浴びるようになってきました。その理由として、彼らのSNS人口が圧倒的に多いことがあります。例えばTwitterだと、Z世代の60%以上が利用しており、30代から50代になると利用率は30%ほどに下がります。日本のZ世代は人口は少ないのですが、SNSの利用率、接触時間や投稿数を考慮するとSNSでの情報発信力、拡散力において圧倒的な存在感をもっていると言えます。この傾向は、Instagram、Tiktokと新しいSNSになるほど強まります。企業のSDGsに関する取り組みも、このZ世代に受け入れられ、拡散してもらわなければマスには広がっていきません。こういった意味で、近年日本でもZ世代が非常に注目を浴びてきています。

 

・日本のZ世代のSDGsへの認識とアプローチ方法
最近は、SDGsに関連する調査を企業から依頼されることが増えてきました。調査の結果として、Z世代のSDGsの認識は、「SDGsは年上のものだ」「要するに環境問題でしょ?」という2点に集約されます。SDGsは年配の人が関心を持ち盛り上がっているもので、自分たちにはあまり関係がないと思っています。また、色んな項目があって結局内容がつかめないというのが大半のZ世代の認識です。若者の一部には、SDGsへの意識が高い人もおりますが、大半の若者は環境への意識さえも弱いというのが実情です。彼らの「エコ」による購買活動は考えづらいです。

 

企業は、Z世代を理解した上で、まずは「若者に受け入れられるもの」を提供し、その商品が「環境にいい」ものであるという発信の仕方が理想的であると考えています。こうした地道な取り組みを積み重ね、企業が環境やSDGsへの姿勢を示し、若者を教育し、巻き込んでいく必要があると思います。

 

ゆとりと脱ゆとり(Z世代)の比較

Z世代の消費者や生活者としての価値観、労働観についてお話していきます。Z世代の価値観を理解するには、上の世代と比較すると世代の傾向が見えてきやすいです。図は、Z世代(脱ゆとり世代)とゆとり世代の比較をしたものです。

 

まずは、ゆとり世代の価値観に着目します。ゆとり世代は、失われた10年20年を生きてきた世代です。バブルが弾けた後に育った世代なので、社会の閉塞感が若者に影響し、高級車に乗りたい、海外旅行に行きたいなどの派手な欲求がなくなり、一挙に買い控えが起こり消費額が減りました。

 

ゆとり世代は携帯第1世代であり、ガラケーを使用していました。当時はmixiやfacebookなど、知っている友人とつながり、おしゃべりをするサービスが流行しました。身内でのコミュニケーションが活発であり、ゆとり世代が若い年次の頃には「内向き志向」というキーワードがよく使われました。
以上のように、ゆとり世代は「不景気による消費減」や「ガラケーによる同調志向、内向き志向」という特徴をもっています。消費金額、行動範囲ともに狭い「SmallLife」が上の世代と比較したときのゆとり世代の特徴でした。

 

続いて、Z世代(脱ゆとり世代)です。ゆとり世代と比較して好景気な時代に生きており、閉鎖的な雰囲気は薄くなっています。また、日本は40年以上も少子化しており、そのおかげか人生すべてのライフステージにおいてラブコールを送られてきたのが脱ゆとり世代です。この7、8年で人手不足倒産が急増しているように、日本全体で人手が足りないという状況もあって、ゆとり世代と比べると就職の難度も下がっています。結果的に上のゆとり世代と比べると「まぁなんとかなる」「食いっぱぐれることはない」という感覚があり、マイペースでのんびりとした性質です。

 

また、ゆとり世代がガラケーであったのに対し、Z世代は1代目からスマートフォンを利用しています。複数のSNSが登場し、発信型のSNSも生まれました。何かおもしろいことを発信するとフォロワーが増えるという流れで、インフルエンサーのような影響力をもつポジションも簡単に目指すことができます。

 

Z世代は非常に自己発信欲が強く、自分自身が周囲にどのようにみられているかについて意識が働きやすいと言えます。一方、自分のペースを大事にする層でもあり、「Chill&Me」(「Chill」はまったり・のんびりという意味)という一見相反する性質をあわせもっているのがこの世代の特徴です。

 

グローバル化、情報過多の時代に生きるZ世代にとって、「Chill&Me」は自分らしく生きるための一つの方法なのかもしれません。Z世代の持つこのオープンなスタンスにどう向き合っていくか、企業や社会がこれからの10年を考える時の重要なキーワードになるのではないでしょうか。

 

 

GUEST2|北見裕介氏|サステナビリティ・ファーストの企業に学ぶ


スピーカー:北見 裕介 氏
株式会社ユーグレナ
コーポレートコミュニケーション課 課長

 

続いて、株式会社ユーグレナのコーポレートコミュニケーション課課長の北見氏にお話をいただきました。SDGsがまだ浸透していない社会において企業はどのように立ち振る舞っていけばよいのか、「Sustainability first(サステナビリティ・ファースト)」を掲げて企業活動をおこなうユーグレナ社の取り組みの事例についてお話をいただきます。

会社紹介と創業背景

株式会社ユーグレナは、2005年に創業した、世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養に成功した東京大学発のベンチャー企業です。社名の「ユーグレナ」はミドリムシのラテン語の呼称であり、ミドリムシは昆布やワカメと同じ藻類の仲間です。2020年に創業15周年を迎え、CI、フィロソフィー変更など会社として大きな変革が行われました。

 

SDGsへの取り組みについて語る上で、まずはユーグレナ社の創業背景についてお話します。ユーグレナ社の創業には、社長である出雲のバングラデシュでの経験が根底にあります。大学時代、この国を訪れた出雲は、栄養不足という実情を目の当たりにします。当初は、貧困で食べるものもないのではないかという推測でこの国を訪れました。しかし実際の状況は異なっており、当時のバングラデシュは「食べるものはあるが、野菜や動物系のタンパク質のような栄養分を十分に摂ることができていない」という状況にありました。日本に帰ってきた出雲は、こうした栄養不足を解決できるものがないか模索し、ユーグレナに着目しました。「ユーグレナで世界を救う」という意志と、その意志にコミットするという想いを込めてそのまま社名を「ユーグレナ」としました。

 

創業15周年で迎えた企業変革

①CIの変更
「新しく入社した仲間に会社を自分ごとにする機会を提供したい」と感じたことやバイオ燃料の供給スタート、ヘルスケア商品のリニューアルなど会社としても変革のタイミングであったことから、昨年の創業15周年のタイミングでCIを変更するプロジェクトがスタートしました。

変更点として、それまで英字であった社名ロゴの表記(euglena)をカタカナ表記に変更しました。カタカナ表記に変更することで、多くの人たちが読むことができ、会社名を認知してもらいやすくなりました。また、「いきる、たのしむ、サステナブる。」というタグラインは、生きることや楽しむことといった日常の延長に、サステナビリティへの意識を取り込んでいくという想いが示されています。

 

②フィロソフィーの改定
また、自分たちの会社のあり方も見つめなおし、フィロソフィーを新たに「Sustainability first(サステナビリティ・ファースト)」と定めました。まだまだ世の中に浸透していない「Sustainability」という概念を浸透させ、その概念が当たり前になっている世の中を目指す。そうした世界の実現のためにも、「Sustainability」を第一に考え行動していくことをフィロソフィーの中心に据えました。また、このタイミングで、自分たちの事業が大きくなればなるほど、その分社会問題が縮小するという構図を実現する事業だけをおこなうことも決めました。

 

③事業の再編
現在、事業を再編していますが、すべての事業はSDGsありきで考えています。

・からだにユーグレナ
人間に必要な59種類の栄養素をバランス良く含む石垣島ユーグレナ10億個(約1,000mg)を配合しています。石垣島ユーグレナは、毎日のカラダづくりに欠かせない豊富な栄養素を体内に届け、栄養を巡らせ健康の土台を整えます。ドリンク・パウダー・タブレットを展開しており、美味しく楽しく毎日の健康習慣に取り入れることで、体調管理の不安を払拭するとともに、健康の土台の底上げを目指す「サステナブる」な商品です。

 

・バイオ燃料
使用済みの食用油とユーグレナを原料にバイオ燃料(サステオ)を製造しております。気候変動への具体的な解決策として取り組んできたバイオ燃料の製造事業を進めており、2020年3月にバイオディーゼル燃料の供給を開始。今年2021年6月にはバイオジェット燃料の供給も開始し2度のフライトに成功しました。当社のバイオ燃料事業は、カーボンニュートラルの考え方を実現できると考えております。バイオ燃料は、路線バスや配送者、船舶などですでにお使いいただいています。

 

・その他
発展途上国の栄養不良の解消のために、バングラデシュに対してもソーシャルビジネスを進めております。当社商品の売り上げの一部をユーグレナクッキーの製造費用に充て、バングラデシュの子どもたちの給食として学校に届けています。また、豆もやしの原料となる緑豆を育てるビジネスを開発し、バングラデシュの農家の方々にビジネス機会の提供と指導をしていくことも同時に進めています。

 

CFOの取り組みについて

CFOは、「ChiefFutureOfficer」の略称です。昨年スタートし、18歳以下の「社会をどうしていきたい」という意見をもつ若者を対象に募集しました。CFOは外部のアドバイザーという形ではなく、意見を実際に会社の取り組みに反映させていくため、役職として設置しています。「なぜ大人たちはやった方がいいことをやらないのだろう」という疑問意識を持っている若者の応募が多く、実際に現場を目の当たりにしてもらうことで「やれなかった理由」に気付いてもらうことや、その上で「それでもやった方がいい」と言ってもらうことが重要だと感じています。それらの提言をどこまで反映できるかは、多様性へのチャレンジも含めて企業として積極的に取り組むべきと考えています。

 

一例として、石油由来の製品を削減するという理由で、「ペットボトル商品をやめる」ことに着手しました。ペットボトルが環境に良いか悪いのかの議論がまだ続いています。しかし、「実際にやめてみたらどうなるのかを社会に問うことが重要である」「当社だからこそできる取り組みではないか」という結論に至り、ペットボトル商品をやめる選択をしました。他にも、CFOの発言をもとに、パッケージの改定、商品もより環境に優しいものに変更し、配送方法も変更するなどの取り組みもおこなっています。

 

Q&A

世の中に提供することを明確に発信していくことが重要

黒田氏
「いきなりユーグレナ様のようにSDGsに全振りするのは難しいですよね。価値観に至るまでSDGsに取り組んでいるユーグレナ様ですが、そういった変更を受けて組織内の人の変化はありましたか?」

 

北見氏
「どんな会社も、創業当時に、社会に提供したいもの、解決したい社会課題というのをもっています。しかし社会課題は時代とともに変化していて、まだまだスピード感が足りないのが実情です。「このままだと地球がなくなってしまう」という危機感が足りないと感じています。こうした現状に対して、私たちの会社はまだ途上だからこそ声を大にして世の中に発信していかなければいけないと思っています。「言葉にすることを恥じていて地球がなくなってしまったら意味がない」という視点に立って話をしていかなければいけないと思います。「私たちはいいことをしていますよ。だから、みなさんもしていきましょうよ。」ということを発信していかないと、何をやっているのか周囲には伝わりません。15周年のタイミングで、創業当初からもっていた社会貢献の意識を改めて言葉にした事で、より会社への意識も統一されて動くことができるようになったののも一因です。」

 

必要なのは持続可能ではなく変化

小林氏
「ずっと横目でみてきて尖っている会社という印象がありました。「Sustainability first」という理念を聞いてようやく会社として目指す場所とやっていることがつながったという印象を受けました。」

 

北見氏
「持続可能性という言葉を懸念しています。持続という言葉は、なんとなく「今日も明日もそのままでいい」という風に聞こえてしまいます。現状維持ではいけないからSDGsは設定されているのです。意識的にイノベーションを目指していかないとSDGsは達成できないと思います。一方で、制限ばかりでは息苦しく、辛いです。楽しさを担保しながらも社会・地球に貢献している状態をめざす、その意味で「いきる、たのしむ、サステナブる。」というタグラインを掲げています。」

 

今後、SDGsを広げていくためには?

原田氏
「社長・社員の想いが強すぎる会社は世の中の人に受け入れられないことが多いです。大衆との接点をいかに作っていくのかは、いつの時代も課題になるところです。」

 

黒田氏
「より多くの人を巻き込んでいくためにはどうすればいいと思われますか?」

 

原田氏
「客観的な視点で、ボリューム層の動きをよく見ることが重要かと思います。
ボリューム層が何を求めていて、いかに彼らの心をつかんでいくのか、一歩引いた視点で見れることが重要だと思います。」

 

「これからの10年」のキーワード

最後に、お二方が考える「これからの10年」のキーワードを一言ずついただきました。

 

北見氏
「高度経済成長期には、新たなプロダクトができ、新たな生活様式が生まれました。SDGsという今の流れも、新しい生活様式を引っ張ってくると考えた場合、イノベーションもチャンスがあるのではないかと思っています。これからの10年はイノベーションのチャンスの10年としたいと思います。」

 

原田氏
「Z世代の10年後は、社会の中核を担う年齢になっています。彼らに拒絶されるSDGsは絶対に根付かないと思います。なぜなら、彼らは世界で見れば最大人口を持っていて、世界の中心にいるわけですから。ぜひZ世代と手を取り合って、彼らの意識も高めつつSDGsを広めていっていただきたいなと思います。」

 

以上、11月18日(木)開催オンラインセミナー「SDGsやるかやらないか」のセミナーレポートでした。

 

弊社ではサステナビリティの広報活動にご活用いただける資料もご用意しています。ご参考にしていただける事例をまとめた資料もございますので、下記からぜひご覧ください。

 

お役立ち資料はこちら

 

今後もオンラインツールも活用しながら、皆さまのお悩みを解消できるようなセミナーを随時開催していきますのでご期待ください。

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WRITER

プロデューサー
営業マネージャー

石田卓也

新卒で揚羽に入社後、人事や広報担当向けのソリューション営業に従事し4年目でMVPを獲得。現在は現場で学んだ経験を武器にマーケティング・育成など営業組織の改革にチャレンジしています。学生時代は体育会系で部活ばかりやっていました。

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