学生のイメージギャップに要注意!?就活前後の企業ブランドイメージを比較!

はじめに
こんにちは。揚羽のブランドマーケティング部 ビズミルサーベイサポート担当の橋本大貴です。
23卒選考が解禁されて1カ月、目の前の23卒と同時に24卒の早期イベントも始まる時期となりました。各社、23卒の振り返りと24卒の計画を進められる頃かと思います。皆さまの会社では、どのように振り返りをされていますでしょうか?
揚羽では毎年、就職活動中の学生に「企業ブランドイメージ」のアンケートを実施していますが、今回は、23卒の学生に秋・春に分けて調査を行いました。そこで本記事では、夏のインターンシップを終えた秋と、選考が本格化する春の数値を比較し見えてきた”就活前後の企業イメージ変化”についてご紹介いたします。
企業ブランドイメージ調査とは
揚羽では、企業の効果的な採用活動支援を目指し、2017年より毎年、企業における「採用ブランド力」の調査を行ってきました。学生を対象にしたアンケート調査で企業の採用ブランド力を測定し、求める学生の志向傾向を明らかにすることによって各社の採用課題を探ることを目的としています。昨年より、弊社の提供サービス『ビズミルサーベイ』(詳細はこちら)を活用し調査を実施しています。
ビズミルサーベイでは、業界・個社・仕事・キャリア・人の5つのブランド項目それぞれに関連するそれぞれ5つの小項目、合計25項目の質問を設定し、学生が選択した対象企業のイメージを評価します。
※回答対象の企業は、回答者が「知っている企業」「就活で受けてみたい・受けたことがある企業」を基準に5~10社選択
本記事では、23卒学生に調査を行った以下の2回分のデータを比較します。
【調査概要】
①23卒採用 企業ブランドイメージ調査(2021秋)
調査期間:2021年9月16日(木)~10月18日(月)
調査方法:ウェブアンケート調査(ビズミルサーベイ)
調査対象:「インターンシップガイド」 (詳細はこちら)に登録する2023年卒業予定者
有効回答数:1,1043件
②23卒採用 企業ブランドイメージ調査(2022春)
調査期間:2022年4月14日~4月28日
調査方法:ウェブアンケート調査(ビズミルサーベイ)
調査対象:「インターンシップガイド」 (詳細はこちら)に登録する2023年卒業予定者
有効回答数:5,452件
全業界で「人・社風」が十分に伝わっていない?
まずは、『23卒採用 企業ブランドイメージ調査(2022春)』単体でのスコアをご紹介します。
【『23卒採用 企業ブランドイメージ調査(2022春)』全業界スコア】
この表では、業界ごとに、スコアが高い項目は青、低い項目に赤をつけています。
つまり、青の項目は「学生に魅力が伝わっている」、赤は「学生に魅力が伝わっていない」情報だと言えます。
今回の調査では、全業界共通して、5つの魅力因子「人・社風」の数値が最も低い結果となりました。
中でも、
・目標となる社員が在籍している
・職場の雰囲気が友好的である
・個性を尊重する文化を持っている
・会社の雰囲気が自身の性格と合っている
の項目はいずれも平均以下となっており、学生に十分に魅力が伝わっていない情報だと言えます。
一方で、「人・社風」の中でも
・優秀な同僚と仕事が出来る
については平均値以上、さらに、全項目の中でも高い結果となりました。
また、この傾向は『23卒採用 企業ブランドイメージ調査(2021秋)』にも見られ、就職活動を通しても「人・社風の具体的なイメージが持ちづらい」という結果になりました。
定性的な面でも、就職活動中の学生からは「面接やインターンシップで出会う社員以外の雰囲気や社内の様子がわからない」といった声を聞きます。さらに企業側からも、特にコロナ禍以降、「人・社風」の伝え方に悩むという採用担当の声を多く聞くようになりました。
今回の調査では、コロナ禍以前はオフィスに訪問することでなんとなく感じることができた各社の「雰囲気」をオンライン上で伝えることの難しさが反映されていると考えられます。
では、オンライン上で人・社風を伝えるにはどのような工夫があるでしょうか?
例えば、
・選考面接以外に社員座談会や現場社員面談といった機会を増やし、できる限りいろいろなタイプの社員に合わせる。
・インターンシップや説明会でも人事以外の社員に協力してもらい、現場目線からの意見やフィードバッグを伝える
などが考えられます。
就活前後でスコアが大きく上下する業界も!
次に、業界別で秋・春のスコアを比較し、学生のイメージがどう変化したかを見ていきます。
結果、一部の業界では10ポイント以上スコアに差分が生じる項目があることが判明しました。特に顕著に出ているのが、「広告・ゲーム・エンタメ」「人材サービス」です。
【『23卒採用 企業ブランドイメージ調査(2022春)』2021秋との「広告・ゲーム・エンタメ」「人材サービス」業界の差分】
「広告・ゲーム・エンタメ」業界では、秋から25項目全体の平均スコアは4.3ポイント上昇となり、全業界の中で最もスコアが上昇しています。
項目別で見ると、特に大きく上がっているのが
・世の中に新たな価値を生み出している
・論理的思考力を活かせる仕事が得られる
・チームや組織を率いる仕事が得られる
です。また、「人・社風」の5項目に関しては全て上昇となりました。
一方で、「人材サービス」業界については25項目全てのスコアが下がるという結果になりました。全項目の平均スコアの差分も、-9.5ポイントと他業界に比べて最も大きいという結果となっています。
このように、就活の前後で企業イメージにギャップが生まれていることがわかりました。
スコアが下がったことは必ずしも悪いことではなく、「リアルな情報が伝わり正しく理解された」と言えるケースもあり、入社後のミスマッチ防止や、双方の工数が経り効率化の実現につながる場合もあります。
また、スコアが上がっている場合でも、実は誤った情報が伝わっており、入社前に過度な期待を抱かせてしまっているというケースも考えられ、離職につながる可能性があるので注意が必要です。
つまり、大切なのは、就職活動初期から選考中まで正しい情報を適切な温度感で伝えられている・伝わっているということです。
就職活動前後でギャップが生じる原因は、例えば以下の2点です。
①採用活動の中でしっかり魅力を伝えられた、または、伝えられなかったから。
②就職活動をする前の期待値が低かった、または、高かったから。
「広告・ゲーム・エンタメ」業界について考えてみます。
結果をみると、今回全項目平均スコアがプラスになったのは
・世の中に新たな価値を生み出している
・論理的思考力を活かせる仕事が得られる
・チームや組織を率いる仕事が得られる
の項目のスコアが上がったことが、大きく貢献していると分かります。
「仕事内容」に関する項目であることから、就職活動前には何をしているかわからなかった企業の具体的な仕事を、インターンシップや社員との面談を通して知ることができた結果だと考えられます。「広告・ゲーム・エンタメ」業界については、学生は日常生活でアウトプットされたクリエイティブを目にしていることが多く、制作過程に論理的思考力やチーム力が必要だというイメージを初めは抱きにくいのかもしれません。
イメージのギャップをなくしていくためには、まずは自社や自分の業界が「どう思われているのか」を知る事が大切と言えます。そしてどう変わっていくか、定点調査をしていくことでより変化と要因がつかみやすくなります。その上で、イメージに偏りのある学生に「何を・どのタイミングで・どう伝えたらいいのか」を設計していくことが重要です。伝える段階では、「リアルな情報を嘘はつかずにどうポジティブに届けられるか」が肝となりそうです。
まとめ
今回の調査からは、就活前後で学生からのイメージが大きく変わる業界もあることがわかりました。また、業界を問わず伝えることが難しい情報も見えてきました。
採用成功のためには、日々変化する採用市場と学生の本音をいかにキャッチアップできるかが鍵となりそうです。
今回は業界ごとにご紹介しましたが、業界という括りでイメージを持たれることは多いものの、自社の採用ブランドをしっかり確立できている企業では、業界イメージに左右されない採用活動が可能です。
いずれにせよ、「どう見られているか」「どう思われているか」を定性・定量どちらからも調査していくことが重要だと言えます。
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また、各社の採用フローに合わせて自由に何度でも実施可能なビズミルサーベイの提供もいたしております。
ぜひ年間の採用設計を立てる前に、ご検討いただければと思います。

株式会社揚羽 ブランドマーケティング部
新潟県出身。早稲田大学卒業後、2019年揚羽入社。オンラインインターンシップ開発や、サーベイ調査などの業務に携わっています。好きなYouTubeチャンネルは「カツオくんさん」(NBAのプレー解説動画です。)
課題解決まで伴走します

