インターンシップを成功させるために必要な考え方とは?

こんにちは、ディレクター/プランナーの高野です。

ここ最近では 、採用ブランディング・プロモーションのコンテンツとして、パンフレット、WEBサイト、映像などが浸透し、必需品とも言えるようになりましたが、インターンシップも注目を集めています。

インターンシップの実施は、仕事の体験や社員との交流を通じて、学生の企業に対する理解を深めることが目的。新卒採用の就活においては大学3年生の夏に本格化します。

すでに注力している企業、これから取り組もうとしている企業、過去に取り入れたけれど失敗してしまった企業などさまざまだと思います。 今日は、インターンシップのメリットや、成功させるために必要な考え方をまとめてみたいと思います。

インターンシップ実施のメリット

特に気になるのは、やはりインターンシップを実施してどんなメリットがあるのか?ですよね。 あらためて整理したところ、主に3つあると考えます。

マッチング精度の向上

おそらく、一番のメリットではないでしょうか? 企業と応募する学生が「お互いに理解を深められる機会」となるので、より正確な両者の合意形成が見込めます。 入社してみて「想像と違った・・・」という学生側の ミスマッチの防止につながります。

内定辞退の防止

「内定者は多めに出したのですが、半数以上が辞退してしまいまして・・・」このような失敗をしてしまった声も少なくありません。しかし、インターンシップというフィルターを通過して志願してくれる学生は、やはり入社の意思が強い傾向にあるようです。実際に、内定承諾者の9割がインターンシップ参加者だったという事例もありました。そう考えると、辞退者数が気になる企業にとっては、実施する価値はあると言えますね。

早期段階でのターゲットの囲い込み

インターンシップの実施は、学部生3年時の夏期(8月~9月)と冬季(12月~1月)で実施するケースがほとんどです。早い段階で参加する学生は就職意欲も高いため、より優秀な人材が集まる可能性も高まります。この段階で、自社のアピールや、コミュニケーションがとれていると、その後の採用活動の成功にもつながります。

失敗しないインターンシップの作り方

ミスマッチによる早期退職や、内定辞退というお話は私も業務を通じてよく聞きますので、お悩みの企業も多いと思います。

インターンシップに一つの解決のカギがありそうですが、どのように考えて企画すべきでしょうか?

実はインターンシップも「誰に、何を、どう伝えるか?」という企画の基本的な考えから生まれています。

ペルソナ設定

ペルソナとは、ターゲットの性質を具体的に表した人物像です。「どのような人材がほしいか」をイメージして、明確にしていく作業です。イメージする項目は、出身地、居住地、学歴、家族構成、アルバイトやサークル、趣味などが基本的です。さらに、取り組んでいる活動内容や、志向性も考えられると、企画への落とし込みが合理的になり、より効果的になります。

ペルソナ設定に関連するダウンロード資料はこちら(求める人物像の定義の仕方)

自社の魅力整理

自社の魅力整理は、ターゲットに伝える要素の洗い出しです。私たちのノウハウでは 「今まで言えていなかった潜在的な企業の魅力」も見つけられるので、この取り組みは重要だと考えています。出そろった魅力の中から、ターゲットに伝える要素を絞っていきます。

たとえば、イノベーティブな学生は「常に新しいビジネスにチャレンジしている」などの要素を重視して就職活動を進めている場合が多いので、それに該当する自社の魅力を洗い出していきます。

自社の魅力整理に関連するダウンロード資料はこちら(3Cと5軸の分析)

テーマ設定

この段階はコンセプト策定とも言える特に重要な段階です。自社の魅力は、ターゲットにマッチするように整理すると、最終的に10項目前後になります。それらを総括できる言葉が「テーマ」になりますので、ここでようやく「インターンシップで何を伝えるか」が明確になります。伝えることを明確にできれば、そのために実施する企画や、ゴール設定もできるようになります。

ゴール設定

主に参加者に「理解してもらいたいこと」を明確にしていきます。たとえば「仕事の面白さ」「仕事のやり甲斐」「会社の存在意義」の理解の場合は、より実務的なワークショップ感覚の内容に。「社風」「人柄」の理解の場合は、社員とのコミュニケーションが多い内容に。それぞれのゴール設定が異なれば、歩む道も変わってきます。

インターンシップの代表的な種類と内容

企画立案の大まかな流れを踏まえて、どのようなインターンシップがあるか見ていきたいと思います。大きく分けて3種類と考えられますが、どのような内容なのかをまとめてみました。

短期インターンシップ(1day/2day)

参加のハードルも低く、学生側は大まかな業界や企業の理解・仕事理解が深められるので、最も人気があるインターンシップとされています。内容は、企業の事業説明、グループワーク、模擬企画ワークショップ、社内見学などで、その後の採用活動の母集団形成に向けて、認知度を高めたい場合にも効果的と言えます。

中期インターンシップ(1週間)

グループワークを実施する場合が多く、より実践的な業務体験ワークショップや、登竜門のような力だめし的なワークショップが多いようです。特に、力だめし系は志を高く持つ人が集まる傾向にあるので、 ベンチャー企業で実施されています。

中期インターンシップを経て応募してくれた学生のマッチ度も高く、その後の定着率も期待できるので、内定辞退や早期離職で悩まれている場合は、検討の価値がありそうです。

長期インターンシップ(1か月~)

期間が比較的長いため、そもそも参加するための面接があり、給与を支給して実施するケースが多いです。そのため、アルバイトのような印象を持たれている方も多いかもしれません。企業によっては営業や提案も任せているなど、ほとんど社員に近いスタンスで実施されるケースも多くあります。一方で、ベンチャー企業では、実施期間中に人材を育成し、入社時には即戦力にする目的での実施もあるようです。

インターンシップの成功事例から学ぶ

短期、中期、長期の3種類のインターンシップの特徴を踏まえて、事例 を紹介したいと思います。

短期インターンシップ

ソフトウェア開発会社が行った、短期インターンシップの事例です。ソフトウェア開発事業にもイノベーティブな志向性が求められていたため、実際の課題に取り組む実践型ワークショップを実施しました。仕事内容と社員の人柄も把握できるため、企業と応募する学生のお互いが理解を深められ、ミスマッチの防止につながります。

実施期間 時期:12月〜2月
頻度:1回/月(全3回)
業種 ソフトウェア開発
テーマ ビジネスモデル創造ワークショップ
目的 企業理解、仕事のやり甲斐と面白さの発見
概要 5人1組のグループワークを中心に、課題解決につながる企画を考案し、プレゼンテーションを実施する。事業内容だけではなく、社員や社風も含めた企業理解を深め、ミスマッチ防止を狙う。
プログラム内容 ・自社紹介
・グループディスカッション
・企画立案
・プレゼンテーション

中期インターンシップ

インターネット関連ベンチャー企業では、より競争意識の高い内容の中期インターンシップが実施されていました。まず課題を発表し、参加期間中に一人ひとりが企画を考えます。最後にはプレゼンを実施するため、この企業がターゲットとしている「より挑戦的で高い知識や技術を持った人材」に挑戦的な社風を体感させることで、強いアプローチができます。

このインターンシップで良い結果を残し評価を得た学生は入社の意識も高まるので、早期離職や内定辞退の低下にも効果的だと考えられます。

実施期間 7日間
業種 デジタルプラットホーム開発
テーマ 学びながら腕試し
目的 仕事内容、業界知識の理解度向上/ターゲットの志願度醸成
概要 オリエンテーションを踏まえて課題に取り組み、プレゼンテーションを実施。競争意識の高い学生を囲い込み、志願度向上とミスマッチの軽減を狙う。
プログラム内容 ■前半(3日間)
・講義
・オリエンテーション
・ガイダンス
■後半(4日間)
・課題取り組み

長期インターンシップ

アルバイト以上正社員未満というニュアンスの事例です。実際に先輩社員と共に仕事に取り組み、実力をつけてくことが目的です。インターンシップの中では会社で一緒に過ごす時間が特に多いため、その分マッチングの精度も高いと言えます。

実施期間 ・平日週3以上
・1日5時間以上
業種 人材サービス営業
テーマ AIを用いた次世代ビジネスの実践
目的 仕事理解と、スキルアップ
概要 AIを活用した採用広告サービスの営業を担当し、人材業界の知見やノハウを理解する。実務経験を通じて企業理解を深め、精度の高いマッチングを狙う。
プログラム内容 ・インターンシップ研修
・新規営業
・既存営業
・企画プレゼンテーション

オンラインインターンシップの必要性

もし、今の採用方法で頭打ちになっている場合は、インターンシップから見直すことが解決につながるかもしれません。しかし、これからのアフターコロナの中では、オフラインのインターンシップの実施も難しくなります。今までオフラインだからこそ実施出来ていた職業体験ワークショップや、学生とのコミュニケーション。これらは、成功する採用活動において不可欠な要素です。今後は、これらをどうオンライン化していくかが、成功の鍵となるでしょう。