揚羽×ブイキューブ「インナーブランディングの必要性と『ピープル・サクセス』の考え方」

皆さま、こんにちは。ブランドマーケティング部の齊藤です。

 

2023年2月15日(水)に、ミイダス株式会社主催の無料オンラインセミナー「自律型時代の新・人事(採用/育成)戦略」にて、株式会社ブイキューブと弊社で、「インナーブランディングの必要性と『ピープル・サクセス』の考え方」をテーマに講演しました。

 

昨今、人的資本経営やSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)への注目によりインナーブランディングに取り組む企業が急増しています。そこで当日は、人的資本経営を推し進めるブイキューブ様の「ピープル・サクセス サイト」を始めとした取り組みを中心に、インナーブランディングに取り組む必要性をお話ししました。

 

本記事では、講演内容のサマリーをご紹介します。

 

ブイキューブ

株式会社ブイキューブ
ピープル・サクセス室
ピープル・サクセスサイト プロジェクトリーダー
迫 紗央里氏

 

揚羽 板倉マサアキ

株式会社揚羽
ブランディングコンサルタント/クリエイティブディレクター
板倉 マサアキ

 

テーマ1:なぜ今、インナーブランディングの必要性が叫ばれているのか?

まずは揚羽の板倉より、昨今のインナーブランディングが注目されている背景をご説明しました。

 

人的資本経営というキーワード

板倉:

やはり、今インナーブランディングの必要性ということで欠かせないキーワードが「人的資本経営」です。

 

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方(経済産業省)、のことです。

人的資本情報開示

揚羽でも、人材版伊藤レポート改訂版が発表された2020年頃から、人的資本経営の重要性とインナーブランディングの必要性をご提案してきましたが、この1〜2年で、かなり認知されるようになってきました。また、2023年3月から上場企業と一部の非上場企業の約4000社を対象に人的資本の情報開示義務化され、人的資本経営やインナーブランディングに対する注目がさらに高まっています。人的資本経営は、投資家からの評価獲得だけでなく、「従業員のことを考えてくれる良い企業だ」という企業のブランド価値向上につながり、企業で働く社員のエンゲージメント向上や生産性の向上にも期待できる、というメリットがあります。

人的資本経営メリット

 

 

「エンゲージメント」 と「営業利益率」の相関関係

板倉:
しかし、インナーブランディングは「業績につながらない」という認識をされることも多く、企業のご担当者からは「社内の稟議が進まない」というお悩みを、よくお伺いします。そこで、揚羽でご説明させていただくお話をいくつかご紹介します。

 

まずは、企業の利益の因果関係のつながりを示すサービスプロフィットチェーンになぞらえた考え方です。企業活動においては、経営資源が従業員のエンゲージメントや生産性につながり、それが顧客の満足度やロイヤリティにつながり、売り上げ・利益が上がると株主の信頼につながり、経営資源に返ってくる。揚羽では、このすべてを回す活動をコーポレートブランディングと捉えていますが、下図のように、インナーブランディングがアウターブランディングに直結しているということをご理解頂けるのではないかと思います。

インナーブランディング アウターブランディング

次に、定量的なデータに基づいた考え方をご紹介します。モチベーションエンジニアリング研究所の調査によると、「エンゲージメントスコア(ES)と営業利益には相関関係が見られ、ES1ポイントの上昇につき、当期の営業利益率が0.35%上昇する」という結果となり、エンゲージメントと営業利益率には相関関係があることが分かっています。

エンゲージメントスコア

 

テーマ2:「ピープル・サクセス」という考え方とその発信について

揚羽は、株式会社ブイキューブの「カスタマーだけでなく、関わるすべての人々のサクセスを考える」という同社の取り組み・制度を紹介するオウンドメディア『ピープル・サクセスサイト』のプロジェクトをご支援いたしました。プロジェクトをご一緒した、迫氏にいくつかの質問を投げかけながら、ブイキューブ様の「ピープル・サクセス」の考え方や取り組みについてお伺いしました。

 

Q1:「ピープル・サクセス」の概念

板倉:

「ピープル・サクセス」がどういう概念なのか教えていただけますか。

 

迫氏:

言葉の通りではありますが、ピープルのサクセスを目指すという考え方で、「ピープル」というのはブイキューブで働く社員のことだけではなく、お客様、求職者様、株主様、投資家様、地域社会など、ブイキューブと関わるすべての方という意味です。ブイキューブはもともと、カスタマーサクセスへの思いが強い会社だったのですが、ある時、自分たちのサクセスも大事だと立ち返る機会があり、まずはブイキューブの社員が幸せを感じたり、働くことを楽しく誇りに思える会社にして、その結果社外の方々のサクセスにつながるという、この考えに至りました。

 

Q2:「ピープル・サクセス」の背景

板倉:

その「ピープル・サクセス」という概念を提唱するに至った背景を、もう少し詳しくお話しいただきたいです。

 

迫氏:

ブイキューブは今年25周年を迎えますが、初期のブイキューブはとにかくお客様第一、カスタマーサクセスに全振りしていた会社でした。

 

創業からIPOに向けて急成長・急拡大の“いけいけどんどん”で、良いように聞こえるかもしれませんが、「会社の成長ありきで、人が成長してきた」という状態でした。しかし会社の成長が緩やかになってくると、会社を見つめなおすようになり2016年に、ブイキューブとは何者なのか、 強みは何なのか、内省し「働く仲間それぞれの成長によるサクセスが今後の会社の成長に不可欠」と言う結論に至りました。

 

そこから、有志で集まったメンバーで先進的な働き方を目指した「Orange ワークスタイル」が発表されたり、「ピープル・サクセス」の核となる考えの「One V-cube」が発信されたりし、2018年10月には全社を巻き込んでミッション・バリューが策定されました。そして、2020年に「ピープル・サクセス」という言葉が誕生します。

 

板倉:

今では、「ピープル・サクセス」がひとつの部署になって、組織として取り組まれているということなのですね。

 

Q3:「ピープル・サクセス」の取り組み

板倉:

「ピープル・サクセス」の主な取り組みを教えてください。

 

迫氏:

まず、基本方針として「ピープル・サクセスポリシー」を発表しています。望ましくない人物像を示しているのも特徴です。「ピープル・サクセスサイト」にも掲載していますので、ぜひご覧ください。

(こちらからご覧いただけます:https://ps.vcube.com/concept/#ps_policy

 

プロジェクト単位ですと、下図が一例となります。

ブイキューブ ピープル・サクセス

板倉:
「ピープル・サクセスポリシー」をピープル・サクセス室が出来てすぐに、外向けにも発信された理由はありますか?

 

迫氏:
今回の「ピープル・サクセスサイト」もそうですが、裏表なくやっていきたいという思いがあります。例えば入社してくださる方がこのポリシーを見たときに、すごく共感すると思っていただけたり、逆に自分は違うかもしれないと感じてくださったり、という確認ができるという意味でも、誠実な対応につながるのではないかと思っています。

 

板倉:
社内のプロジェクトも外向けにどんどん発信されているということもありましたが、会社として何かを取り繕うということではなくて、ありのままの状態を見ていただいて、マッチングみたいなものも測れればということですね。

 

「Orange プロジェクト」でいうと例えばどんな取り組みをされていますか?

 

迫氏:
現在は「Orange プロジェクト」のなかでもさらに3つのプロジェクトに分かれていて、「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」「ワーケーション」「オンボーディング」のテーマで活動しています。「オンボーディング」であれば、新入社員がいかに早くブイキューブのカルチャーになじめて活躍ができるか、というところをプロジェクト側からも応援し、現場側でもケアをするという取り組みを実施しています。

 

板倉:
社内の取り組みが、わりとキャッチーなフレーズをつくられている印象を受けました。従業員の皆さまを盛り上げるブランドイメージにつながっていると思いますが、こういった言葉はどう決められていますか?

 

迫氏:
板倉さんが仰ったように、社内でキャッチーに呼んでもらえるようにプロジェクトメンバーが工夫しています。パッと目にしたときにわかりやすいようにロゴも作成したり、呼びやすいように略称を決めたり、ということもしています。

 

板倉:
社員の皆さまも愛着が沸いて、親近感を持って参加してもらえるのかもしれませんね。

 

Q4:「ピープル・サクセス」の効果

板倉:

「ピープル・サクセス」を提唱する前と後では、社内の従業員の変化はありましたか?

 

迫氏:

「ピープル・サクセス」の成果だと言い切れない部分ではありますが、エンゲージメントスコアが最大14ポイント、平均9ポイント上昇しています。また、ミッション・バリューや「One V-cube」など、社内で共通言語や共通の思いが生まれました。ここに向かおうという方針というよりも、これらをもとに語り合うという様子です。他にも、有志の活動が増えたため、手を挙げやすい環境になったと感じています。

 

板倉:

会社を良くしていくのは自分たちだ、という主体性も生まれたということですね。

 

Q5:「ピープル・サクセス」が目指すもの

板倉:

「ピープル・サクセス」を発信していくことで、どのような社会の実現を目指しますか?

 

迫氏:

より多くの方が一人ひとりの「サクセス」を感じられる社会を実現していきたい、これにつきます。

 

ブイキューブで働く人たちがサクセスをすることが「Evenな社会の実現」につながるということもありますし、インナーブランディングに取り組む企業様と学び合いながら「ピープル・サクセス」の輪を広げていきたいと考えています。

 

Q6:「ピープル・サクセス」の今後の展望

板倉:

「ピープル・サクセス」の今後の展望を教えてください。

 

迫氏:

「ピープル・サクセスサイト」自体が2023年1月にオープンしたばかりなので、まだブイキューブの1割も表現できていないと思っています。まずは、余すことなくブイキューブ全体を記事を通して表現していきたいと思います。そして、うその発信はしたくないので、「丸裸の状態でも恥ずかしくない会社」としていられるよう、社内も強くしていきたいです。

 

質疑応答

Q:ポリシーについて、ここは違うかもしれないという意見が社内から出てきた際には、どのように解消されたのでしょうか?

迫氏:

違うということを話すことから始めました。その方なりの背景とか、解釈があるはずなので「どうしてそういう風に捉えたのか?」「どうしてそれが受け入れられないのか?」という部分を対話するのが大切なのではないでしょうか。ポリシーを盲信してもらうということではなく、ひとつの軸として話合いをする、ということが重要だと考えています。

 

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