レゾナック・ホールディングスCHRO登壇! ​​​​​​​ 『共創型人材創出企業』を目指して CHRO組織としての取り組みとこれから

皆さま、こんにちは。ブランドマーケティング部の齊藤です。

 

2023年5月17日(水)に、株式会社レゾナック・ホールディングスのCHROと組織・人材開発部のご担当者をお招きし、「『共創型人材創出企業』を目指して CHRO組織としての取り組みとこれから」と題したセミナーを開催しました。

 

今年1月に経営統合し『株式会社レゾナック・ホールディングス』として新たなスタートを切った同社に、パーパス、バリューの検討から人材マネジメントシステムの改訂とその浸透活動など、新しい企業文化をもった組織に生まれ変わるための取り組みについて詳しくお話しいただきました。

 

本記事では、講演内容のサマリーをご紹介します。

 

レゾナック CHRO 今井のり 氏

株式会社レゾナック・ホールディングス
執行役員、最高人事責任者(CHRO)
今井 のり氏

 

レゾナック CHRO組織 マネージャー 坂本 修司 氏

株式会社レゾナック・ホールディングス
組織・人材開発部 ラーニング&デベロップメントグループ マネージャー
坂本 修司氏

 

揚羽 佐藤考良

株式会社揚羽
ブランドコンサルティンググループ
シニアプロデューサー
佐藤考良

 

chapter1:新しい企業文化をもった組織に生まれ変わるためにCHRO組織として取り組んでいること

株式会社レゾナックについて

株式会社レゾナック・ホールディングス、および株式会社レゾナックは、日本発の「世界トップクラスの機能性化学メーカー」を目指して、旧昭和電工グループと昭和電工マテリアルズグループ(旧日立化成)を経営統合し、今年1月、新たなスタートを切りました。

レゾナック 概要

まずは、統合までの流れや統合時の課題、そして統合後の新しい企業文化の浸透に向けた取り組みについて、レゾナック社のCHROである今井氏にお話いただきました。

 

統合の経緯とそのプロセス

 

今井氏:
レゾナックの前身となる旧昭和電工、旧日立化成は、同じ化学メーカーですがやっていたことは全く異なりました。素材技術が非常に強い昭和電工と、アプリケーション寄りで混ぜるような化学が得意な旧日立化成の2つが、“レゾネイト(Resonate:共鳴する・響き渡る)”して新しい価値を生み出していくというのをまさに取り組んでいるところです。

 

統合までの流れをご紹介します。

 

2020年6月、旧昭和電工が旧日立化成を完全子会社化しました。私は当時、旧日立化成側の統合の責任者としてリードしていく立場でした。その後2021年7月には、コーポレート機能、指揮命令系統など大きな意思決定をするところが一体化。重要なことは一緒になって議論していく、その土台をつくる1年でした。そして22年1月には、両社の役員を統合し、経営体制を完全一体化。新会社としてのパーパスとバリューを策定し、大々的に展開し始めました。23年1月、ようやく法人格の統合と社名変更が実施され、「レゾナック」としての新しい文化を築きはじめました。

統合初期の頃の課題

 

今井氏:
統合を発表してから1年目となる2020年、まだ両社それぞれ別々の運営をしていた頃に、両社共通のエンゲージメントサーベイを行いました。その結果見えてきた課題が以下の5つでした。

  • トップのビジョン・方針の伝達・浸透
  • 報酬・評価
  • 管理職の役割とスキル
  • 協働・共創
  • デジタル

特にトップのビジョン・方針の伝達・浸透に課題がありました。パーパス、バリューがまだできていなかったこともありますが、「なぜこの統合が必要だったのか」をほとんどの従業員が理解できていない状況でした。この課題に対して、改めて変革推進プロセスを考え直しました。当時一番大事だった「なぜこの統合が必要なのか」、その健全な危機感を醸成することが重要であると考え、徹底的にパーパス、バリューの浸透活動を行い、同時にタウンホールミーティングやラウンドテーブルで「なぜ」を伝える活動に専念しました。これが変革の第1フェーズでした。その結果現在は、パーパス、バリューについての認知度は100%、「理解している」がおよそ80%程度、「共感している」が60%程度、「実践している」が30%程度になっています。今後は「共感」と「実践」の割合をどう上げていくのかを第2フェーズとして、最終的には第3フェーズである企業文化として「定着している」状態に持っていくことを目指していきます。ただし、「文化として定着するには10年かかる」と覚悟を持って取り組んでいこうと考えています。

パーパスと戦略

今井氏:
レゾナックのパーパス、戦略についてご説明したいと思います。パーパスは「化学の力で社会を変える」です。機能性化学メーカーとして時代が求める機能を創出し、社会課題を解決していきたい、その思いでこのパーパスを作っています。私たちは上場企業なので、もう一つ大事な観点はレゾナックとして企業価値を上げていくこと。この企業価値の向上は「戦略」「一人一人の従業員の個の能力」「その個の能力が最大限発揮できる組織文化」の3つの要素の掛け算であると考えています。私たちの戦略ですが、私たちは「総合化学メーカー」から「機能性化学メーカー」になろうとしています。旧昭和電工が持っていた幅広い素材の技術と、旧日立化成が持っていたアプリケーションに近い機能を発現する力、これを一気通貫することで私たちはこれからの社会で求められる機能を創出し、イノベーションを起こせると思っています。またそれは社内にとどまらず、社外のステークホルダーのみなさま、お客さま、ベンダーの皆さまとの共創を通してお客様の求めるものを作り出していく。私たちの価値の源泉は、そうした「共創」ができる人材にあると考えていて、それを戦略の根幹において経営していくことが私たちの人的資本経営だと考えています。

共創型化学会社に向けて

今井氏:
社会課題の解決を目指して、志や情熱、想いで会社や部門を超え自律的に繋がり一緒になって共に問題を解決する、そうしたことができる人材を「共創型人材」と定義しています。なぜこういった人材が必要か、それは機能的化学メーカーとしての価値の源泉である「共創」から来ています。外部環境の変化によって、今の社会の問題は複雑で大き過ぎるために、1人や1社ではとても解決できない状況にあります。だからこそ私たちはいろいろな方々とつながって一緒に解決していく必要があると考えています。そのために、パーパス、そして私たちが求める行動指針としての4つのバリューを掲げ、それを判断軸にして自律的に動ける人材を創出していきたいと思っております。
<4つのバリュー>

  • プロフェッショナルとしての成果へのこだわり
  • 機敏さと柔軟性
  • 枠を超えるオープンマインド
  • 未来への先見性と高い倫理観​

個のポテンシャルを引き出す

 

今井氏:
パーパスの実現には従業員一人一人の個のポテンシャルを引き出すことが必要と考えており、大きな情熱をもって取り組んでいます。大事なのはマネージャーの意識を変えることです。これまでマネージャーに期待していたことが大きく変わってきていると思っています。私たちはそこにフォーカスしたマネージャー向けのプログラムを行っております。

リーダーの役割が変わる

今井氏:
リーダーの役割、いわゆる管理職の役割を変えました。これまで起きていた問題は予測可能なものであることが多かったため、管理統制型の縦の指示命令系統に合わせてマイルストーンを決め秩序正しく管理をしていく「垂直型リーダーシップ」でした。それが今は問題が複雑になり、同じヒエラルキーの中のメンバーだけでは解決できなくなっています。解決するには多様性がキーになり、多様な人材を集め、何をしなければいけないのか、なぜこれが必要なのか、またその変化への壁を打ち破るための「鼓舞する力」というのが必要になります。これまでのような縦の指示命令系統ではなく、互いに信頼関係を築き、信頼関係の元で行動していく。これがこれから求められるリーダーの役割であり「水平型リーダーシップ」だと考えています。

会社と従業員の関係が変わる

今井氏:
今、レゾナックのリーダーに求められるのは、問題を解決するためにチームメンバーの強みや潜在能力をどう見つけて引き出していくかということ。また、一人で問題を解決することはできないので、チームとして一緒に問題を解決し称え合いながら一緒に成長していくというマインドセット。問題や課題は無くならないので、それに対応し長期で走り続けられる組織としてエンゲージメントを高く保ち続けなければいけません。そのためにリーダーは職場環境を整える必要があり、これがリーダーに求める上で非常に重要なことだと思っています。

日本の社会の雇用形態が変わっていく中で、会社と従業員の関係が変わることを社内の皆さんには理解して欲しいと思っています。これまでのように一括新卒採用、終身雇用、年功序列といった同質の囲い込みや、不変なメンバーでずっとやっていくことには限界がきていると思います。これからは従業員も会社もお互いに選び、選ばれる関係であって、キャリアのオーナーは従業員の皆さん一人一人であると考えています。一人一人の強みや潜在力を引き出すには、人材の育成を個別対応で行い、その人に必要なものを必要なタイミングで行っていくことです。意欲のある人に対して、機会をきちんと提供するために手上げ制の研修や、自律的に学べるラーニングツールなどを積極的に適応していきたいと思っております。

共創型リーダーへの育成プログラム

 

今井氏:
人材育成におけるプログラムについてご紹介します。
【共創型リーダーシップトレーニング】
管理職やリーダーの役割が変わることにフォーカスしたMBOの設計や、OJTを通した人材育成の方法などを学ぶ研修です。全マネージャーに実施しています。
【共創型コラボレーション力強化研修】
多様性のマネージメントとして必要な以下の5つを強化する研修です。研修前後には360度評価を実施して、学び・気付きの促進を図っています。こちらも全マネージャーに実施しています。

  • 心理的安全性
  • 傾聴力
  • 発信力
  • ファシリテーション力

chapter2:「理解」から「共感」へ。浸透コミュニケーションにおける、「対話」と言語化・可視化の重要性。

chapter2では、chapter1で今井氏よりお話しいただいた新しい変化について、社員に理解・納得してもらうために重要な「対話」「言語化」「可視化」について解説しました。

文化醸成への取り組み

 

佐藤:
社内でこういった新しい文化を醸成するために、どういった取り組みをされているのでしょうか?
今井氏:
昨年はとにかく発信をしました。経営としてのビジョンや思いが伝わりきっていなかったので、社長とCHROが一緒になって70拠点を回り、61回のタウンホールミーティング、110回のラウンドテーブルを実施しました。1000人以上の従業員の皆さんと対話が出来ました。それ以外にも、グローバルアワードにも注力しています。全レゾナックグループを対象に、現場での改善活動やお客さまとの共創などを募集し表彰するアワードです。取り組みを皆で称賛する場として、そして、各拠点・部門の活動から社員がひらめきを得る場として実施しています。AHA体験を通し共感の和を生み、共創を実現するということで、『AHA!(アハ!)』と名付けました。昨年は1000件以上のテーマで応募が集まり、表彰も非常に盛り上がりました。このように、一人一人を強くする取り組み、横で繋がっていくような場づくり、経営陣との発信と対話、こういったものを組み合わせて文化の醸成を進めています。

社内サイトでのコミュニケーション

佐藤:
他にも、さまざまなコミュニケーションをとられていると思いますが、そのひとつとして「社内サイト」について坂本さんからご紹介いただけますでしょうか。
坂本氏:
社内サイトは2022年春ごろから着手し、夏頃に公開しました。当時、2023年のレゾナックの立ち上げに向けていくつかのプロジェクトが走っていたため、会社のバリューや人事システム、人事制度など、さまざまな変更がありました。そのため、社員には多方面からメッセージが断片的に届くという状況で課題感がありました。そこでCHRO組織として、「いつ何が変わるのか」「会社としてどう変わっていきたいのか」ということを分かりやすく、かつ、ワクワク感を持って伝えるため、社内サイトを作りました。サイトでは社長とCHROのメッセージや、今後1年間の主要な施策のスケジュール、それらの施策する意味などを掲載。サイトを通して社員とコミュニケーションしていきました。

揚羽をパートナーに選んだ理由

佐藤:
弊社はレゾナックさんから、「人事制度や人事システムを変える理由や、今後どうしていきたいか」を社員に伝えるためのコミュニケーション設計を考える過程で、ご相談をいただきました。当時、他社様にもご相談されたかと思いますが、その中で弊社をパートナーに選んでいただいた理由をお伺いできますか?
坂本氏:
もともと揚羽さんとは新卒採用の領域でお世話になっていたので、お声を掛けさせていただきました。当時、変化に対して「社員の気持ちがまだついてきていない」とか、「良い姿に変わっていこうとしているのに、なかなかそのワクワク感が伝えられていない」、そして「統合に向けて人事からのさまざまな情報発信がある中で、それらをどう繋げてひとつの形にし、伝えていくか」ということに課題を感じていました。その中で揚羽さんからご提案いただいたのが、人事制度を「こう伝えましょう」とかではなく、「これをすることでどういう姿になっていきたいのか」といったWhat・Whyの部分をきちんと考えた、ストーリー性のあるコミュニケーションをとっていきましょう、といった提案でした。その提案が私たちが感じていた課題感にマッチし、依頼させていただきました。
レゾナックが揚羽を選定した理由

揚羽の提案内容とアウトプットまでのプロセス

佐藤:
ここからは、レゾナックさんからご相談を受け、弊社がどのようなご提案・ご支援をさせていただいたのかご紹介します。インナーコミュニケーションにおいて、伝えるメッセージは以下のフレームで考えることが大切です。

インナーコミュニケーション メッセージ

これまでに積み上げてきたものは何か、大事にしてきたカルチャーや強み、また、組織を取り巻く事業環境はどうなっているか。さらに、それを変えるなら、何を変えていかなければいけないのかを洗い出します。その上で、短期的に注力する必要のあるテーマや、そのために必要な戦略や、求められる行動を考えます。そうした考えの中から出てくる目標やその先にある実現したい未来、提供したい価値、目指す組織の姿などに対してストーリー性を持って伝えることが非常に重要です。レゾナックさんのオリエンテーションを受け、まず私たちが感じたのは、レゾナックさんが対話を重視されているということでした。その理由のひとつは、タウンホールミーティングやラウンドテーブルなどによる、丹念にコミュニケーションを計画されていた点。もうひとつは、「伝わる言葉」をお持ちだったという点からです。例えば、これからの組織人のあり方を言語化した『キャリアのオーナーは従業員一人一人』や、まず自分の両手が届く範囲14メートルから関係を作っていきましょうという『半径14メートルのからの共創』という言葉です。

レゾナックの「対話コミュニケーション」

これらを受け、弊社からはフォッグ式消費者行動モデル(人は「モチベーション」と、行動するための「能力」、行動を起こすための「トリガー」の3要素が揃って行動する、という考え方)を活用し、コミュニケーション計画をご提案しました。「トリガー」として行動を促す機会や、考え方を変えていく機会づくりは、既にレゾナックさんで取り組みを計画されていました。そこで弊社では、「モチベーション」となる、社員の皆さんの情緒に寄り添うエモーショナルなアプローチを企画しました。

フォッグ式消費者行動モデル

まずは、「目指したい組織状態」「社員とのコミュニケーションで実現したいこと」を今井さんや坂本さんはじめCHRO組織の皆さん、さらにはCEO髙橋様と細かく話し合いをさせていただきました。その上で、社内資料や人事システムの設計資料なども精読し、ありたい姿というものを“ストーリー化”しました。策定したストーリーとキャッチフレーズはこちらです

ストーリー文章化とキャッチフレーズ

そして、ストーリーをビジュアルで表現。社員の皆さんは急に「会社と従業員の関係性が今までとは変わるんだ」と言われても心がついていきません。ただ実現したいことっていうのは一人一人もっと輝いていける、自分自身に驚けるという組織にしていくということなので、ポジティブなイメージを持たせるビジュアルを提案させていただきました。

世界観を表すキービジュアル

さらに、言葉やビジュアルを、ポスターやスタイルブック(行動、仕事の進め方、コミュニケーションの姿など、これまでとこれからの理想を伝える電子ブック)といった、いろいろなコミュニケーションツールとして展開をしました。また、ありたい姿実現のためのガイドとして「デベロップメントガイド」も制作しました。会社が用意する仕組み・システムの活用方法や、キャリアの考え方のヒントなどを提示します。
さらにこれらを、社内だけではなく社外にも発信をしていくことで、レゾナックの考えに共感する人材の採用にもつなげていきます。

キービジュアル コミュニケーションツール

このように、どんなコミュニケーションができるのかということを考えながらご提案をし、CHRO組織の皆さんと一緒につくりあげていきました。

コミュニケーションツール 展開プロセス

プロジェクト実施後の効果

佐藤:
実際にコミュニケーションツールを展開して、現時点であがっている声や効果、手応えをお持ちでしょうか?
坂本氏:
もともとの課題は、人事の発信する情報は文字が多いことと、情報が1か所にまとまっていないことでした。デベロップメントガイドは人材開発の話や制度の話、経営のメッセージや、システムをどう使うのかという話まですべて掲載されているので、この取り組み自体が役員陣からも好評です。社員からも「こういうのが欲しかったんだ」と言ってくれる人もいましたし、同じ人事組織の制度を作っているチームからは「こういう風にきれいに見せることができなかったので作ってくれて良かった」というコメントもあり好評です。ウェブサイトやポスターなどを配布したグループ会社の人事からは「ぜひ採用活動で使いたい」や「これどうやって作ったんですか」といった反応もありました。個人的に一番嬉しかったのは、ある社員が「自分は50代だが、デベロップメントガイドやサイトを見てもっと成長していこうっていう気持ちになりました」と言ってくださったことです。それを感じて欲しかったので、こういう声はとても嬉しいなと思っています。

プロジェクト 効果

プロジェクトを進める上での良かった点と苦労した点

佐藤:
プロジェクトを一緒に進めていく上で、良かった点と苦労した点をお聞きできればと思います。
坂本氏:
まず我々がやりたい思ってることについて、こういう形でやってみたらどうですかと毎回3パターン程提案いただいて、スピーディーに具体化していただいたおかげで、やりたいことがイメージしやすかったです。
あとは、当時は統合に向けて人材開発のトレーニングや、新卒採用活動などもあり忙しくしていたのですが、ディレクターの方がしっかりお尻を叩いてくれて情報を取りにきてくれたのはありがたかったですね。
最後は一緒にプロジェクトに入っていただいた皆さんのお人柄ですね。穏やかな中でも面白いものを作りたいとこだわりがある方達で、それぞれお話してて楽しかったなという印象があります。

今後のCHRO組織としての展望

 

最後に、今後のCHRO組織の展望について今井氏よりお話をいただきました。
今井氏:
私たちは「経営はチームで」と思っています。CFO、CSO、各事業のリーダーたちと「私たちはここに向かうんだ」ということを全員で共有しています。チームでやっていく一方で、10年という長いコミットメントが必要な「人材開発」と「文化」については、CEOとCHROが両輪でしっかりとコミットしようと今動いていますし、「とにかくここはやりきる!」という気持ちでおります。

本セミナーのまとめ

 

佐藤:
ポイントは以下の3つです。

①どういう組織になりたいか、それはなぜかを明確化すること。
パーパス・価値観から明確化し、トップ自ら発信し働きかけることが重要です。
②多頻度で重層的なコミュニケーションを実施すること。
さまざまな機会・手段を設けての、重層的なインナーコミュニケーションが効果的です。
③変革実現イメージの可視化と言語化
イメージを可視化することで、より分かりやすく具体的に想像しやすくなります。

質疑応答

セミナー時に、参加者より寄せられた質問に回答した内容をご紹介します。
Q.経営体制の完全一体化ということで、経営方針の策定、組織改編など大きな舵取りでご苦労もあったのではないかと推察いたしますが、新体制でどのようにコンセンサスを取って進めていかれたのでしょうか?
今井氏:
新しい経営体制になる前とその後の2つのフェーズに大きく分かれます。新体制になる前は、統合の分科会のようなものを作って「どういう会社にしていくか」ということをずっと議論してきました。その後、新しい経営体制が決まり、髙橋が社長になること、髙橋のチームとしての経営体制が発表された段階で、新しい役員で合宿をしました。

合宿をした理由は2つありました。1つ目は、今回の経営陣はかなり多様性に富んでいることです。経営陣の入社時期がバラバラで、社長の髙橋も旧昭和電工に5、6年前に入社し経歴も銀行出身ということで非常に多様な状況でした。旧日立化成のメンバーからすると、ほとんど分らない状態で心理的安全性がありませんでした。そこで髙橋自身をさらけ出すセッションが必要であると考え、彼に自分の人生を語ってもらったり、髙橋に対してやめてほしいこと、やって欲しいことを理解して欲しいことをオープンに言い合いました。その後、髙橋が他のタウンホールミーティングで話した内容で気になる部分に対して、みんなの前で彼がオープンに説明するというのをやりました。その後も、私たちが目指したい文化は何か、経営はチームでやるもので、チームとは何かというような議論をクオーターに一回合宿をしながら継続したおかげで、何でも言える状況をつくることができています。
Q.複数の事業部門から会社が構成されていると思いますが、事業部門の個性・特性と全社共通の基盤のようなものをどうデマケされていますか?また機能部門と事業部門間や、新規事業と既存事業間の共創をリードする人材はどのように選別・育成・経験蓄積されているのでしょうか?
今井氏:
おっしゃる通り非常に多岐に渡る事業会社なので、全体で基盤として持つものと、それぞれの事業を強くするために事業ごとに最適化するものの使い分けが肝になってくると思っています。だからこそ、「人事のビジネスパートナー」という機能をきっちりと機能させようと思っています。最低限の共通プラットフォームを持ちながら、基本的には事業リーダーとビジネスパートナーが一緒になって最適化をしていこうと考えています。それから、一人一人の個性を見てその個性にあった役割、プロジェクトにアサインし、さらに必ずチームで成果をあげることが必要であり、最適なチームを作るというのをやっていきたいなと思っております。育成ですとやはりローテーションが大事なので、今、選抜教育を始めていますが、20代ぐらいの早い時期から他部門での経験は必要かなと思っております。これも昨年から経営陣みんなでタレントレビューをしていますが、その中で議論していく予定です。
Q.パーパス、バリューはどのようにつくられたのですか?
今井氏:
まず両社の主要メンバーである当時の経営陣が中心となって、「どういう企業を求めているのか」というセッションをしました。途中から次世代リーダーに入ってもらい、最後は従業員アンケートをとりパーパス、バリューを決めました。バリューに関しては、従業員の投票数が最も多いものもありますが、経営陣がこうしていきたいという意思を込めていたものもあり、その両方の組み合わせとなっています。
Q.企業ブランディングや人事戦略・施策の重要性を全社的に理解してもらうことが難しく感じています。どうしても「社内施策」というイメージで必要性が伝わりません。その辺りの対応、施策などあれば教えてください。
今井氏:
人事が戦略の根幹であり企業価値の根幹である、というところから社長の髙橋も私も出発していたので、そこはすごく幸いでした。反対に、そこに対するグローバル企業と比較した上での大きな危機感もありました。やはり、まず危機感が必要なのかなと思います。経産省の方も、日本で取り組みが進まない理由の一つは、CEOがやりたいと思っていても人事が付いていっていないか、CHROや人事がやりたいと思っていてもCEOと連携していないか、とおっしゃっていました。これは人事だけではとても難しく、CEOとCHRO、人事が一体で動かないとできないと思っています。なのでやはり、経営全体でやらないといけないと本当に感じます。
佐藤:
こういったご相談は弊社にもお寄せいただくことが多くありますが、私は2通りあると思っています。1つは課題認識を経営トップの皆さんと共有することがすごく大事です。もう1つは、経営企画の方がトップの方にお話に行くと、課題感はあるがタイミングが今かどうかは慎重に考えたいというお話になることが多い、ということも聞きます。なのでこういったことを取り組んでいくのに良いタイミング、機会みたいなものを見極めることも大事なポイントかと思います。
Q.ご紹介いただいた取り組みは、どのくらいの期間で実施されたのでしょうか?
今井氏:
基本的に本格的な動きは1年から1年半です。この1年半から2年ぐらいかけてやってきたものになります。
Q.タウンホールミーティングの参加率はどのくらいだったのでしょうか?社員に積極的に参加してもらうための工夫などありましたら教えていただきたいです。
今井氏:
基本強制です。全員参加ですということで来てもらっています。
Q.変化に肯定的な社員の方だけではないと思うのですが、「なぜ変化する必要があるのか」という問いに対してはどう答えていますでしょうか?
今井氏:
今の社会的な背景や環境の変化や、私たちの事業が置かれている状況、今何をしなければいけないか、変化しない限り私たちに生き残れる道はもうない、ということを丁寧かつ明確に伝えています。
さらに、それぞれの部門や自分自身の仕事をどう変えていかなければいけないのかということについては、もう一段二段のコミュニケーションが必要です。そのため、部門リーダーにパーパス、バリューについて自分の言葉で語ってもらい、そしてそれを受けた部課長が自分のチームに語るカスケードダウン形式の研修を開催しています。こうした研修を重ねていくことで、パーパス、バリューを自分ごと化し、一人一人の仕事に落とし込むというコミュニケーションをとっています。
Q.言葉を大切にするコミュニケーションは継続が大事だと感じていますが、うまくいく秘訣が何かあれば教えてください。
今井氏:
髙橋がそうなのですが、言葉が非常に明確で曖昧なことを言わないですね。だからこそたまにきついと感じる時もありますが、やりたいこと、やらないこと、言いたいことをピンポイントで伝えています。タウンホールなどのアンケートでは非常にわかりやすいと言われています。あとは、対面での実施が大事と考えています。これもアンケートで「近くで話して、その人の人柄が分かってから初めてその方針を聞こうと思いました」という声が非常に多いです。だから私たちは対面にこだわり、タウンホールとラウンドテーブルを実施しています。
Q.2社が合併された際において人事評価制度改定の面で留意された点は如何でしょうか?
今井氏:
これは統合というよりも今の世の中に合わせてというところで、1つは成果に応じたメリハリのある報酬体系であるということ。2つ目がリーダー職とプロフェッショナル職というキャリアの選択肢を増やしていくことにこだわりました。最後に、バリューを人事評価に入れ行動を促していくこと。この3つです。

以上、2023年5月17日開催「『共創型人材創出企業』を目指して CHRO組織としての取り組みとこれから」セミナーのレポートでした。
今後も皆さまのお悩みを解消できるようなセミナーを随時開催していきますのでご期待ください。