2026年3月5日(木)に『閲覧数向上事例も紹介! SharePointをエンゲージメントを高める社内ポータルへ』と題したセミナーを開催しました。株式会社揚羽のブランディングコンサルタント 澁谷真と、制作ディレクター 佐野崇倫が登壇し、社内ポータルサイトにおけるよくある悩みや解決策、社内ポータルサイトの運用を成功させるポイントについて解説しました。
本セミナーレポートでは、「SharePointを工夫して運用しているが効果が出ない」という課題を整理し、エンゲージメントを高める社内ポータルへと変えるための視点、そして具体的なコンテンツ設計や改善のプロセスについて詳しく解説します。
社内ポータルサイト(SharePoint)のよくあるお悩み1:工夫しても効果が出ない
SharePointで社内ポータルを運用している担当者の悩みは、「情報の探しにくさ」や「更新の負担」など多岐にわたります。なかでも特によく聞かれるのが、「自分たちなりに工夫して運用しているつもりだが、思うような効果が出ない」という声です。
更新頻度を上げたり、情報量を増やしたりしても、閲覧数や社員の反応が伸びないケースは珍しくありません。こうした状況を打開するには、単なる運用改善ではなく、設計そのものを見直す必要があります。
社内ポータルサイト(SharePoint)の成功ポイント
SharePointを活性化させて成果につなげるためには、大きく分けて以下の3つのポイントが重要です。
- 社員の「見たい」に寄り添うコンテンツ設計
- エンゲージメント向上のための目的の明確化
- HTMLを組み込むことによる、自由でオリジナルの社内ポータル作成
自社で運用していて「手応えがない」と感じる場合、この3つのいずれかに課題がある可能性が高いでしょう。それぞれのポイントを詳しく解説します。
ポイント1:社員の「見たい」に寄り添うコンテンツ設計
社内ポータルで陥りがちなのが、会社や事務局といった情報発信側が「出したい情報」を一方的に流しているだけの状態です。これでは社員にとって「自分には関係ない掲示板」になってしまい、閲覧率は上がりません。
解決のポイントは、自社オリジナルのコンテンツを設計・更新することです。その際は、次の3つの観点が重要になります。
- 閲覧者のインサイトを把握する「調査」
- 求められている・伝えるべき「情報」
- 社風に合わせた「表現」
「誰に」「どんな状況で読まれるのか」を踏まえて設計することで、初めて読まれるコンテンツに変わります。
ポイント2:エンゲージメント向上のための目的の明確化
会社のニュースを羅列するだけでは、社員のエンゲージメントは高まりません。重要なのは、「見て終わり」ではなく、「次の行動につながる」設計です。
そのためには、以下の要素を満たすコンテンツ設計が有効です。
- 新しい情報を知る楽しさがある
- 自分も関わりたくなる仕掛けがある
- 行動のきっかけになる
上記のようなコンテンツ設計になっていると、社員同士の会話やリアクションが生まれ、結果としてエンゲージメントが高まります。
なお、エンゲージメントを高めるためには、以下の5つの要素を網羅したコンテンツ設計を目指すことが大切です。
- 会社方針の理解
- 会社を好きになる
- 社内への興味
- 必要な情報にすぐアクセスできる
- 見て楽しい、参加したくなる
単なる情報提供ではなく、体験として設計することがポイントです。
ポイント3:HTMLを組み込むことで自由でオリジナルの社内ポータルを作成
SharePointの標準機能は便利ですが、どうしてもデザインが似通ってしまいがちです。
実はSharePointには、通常のWebサイトのようにHTMLで作成したページを組み込むことができます。
これにより、標準機能では難しいアニメーションや自由なレイアウト、外部データの取り込みが可能になり、結果として、「自社らしさ」があふれるポータルサイトを実現できます。
自社の社内ポータルサイトでチェックすべき3つのSTEP
現状のサイトを見直す際は、次の3ステップで確認してみましょう。
STEP1:ターゲットの確認
- ターゲットを見失っていないか
- 社員の「見たい」コンテンツになっているか
- メインターゲット以外の情報が多くなっていないか
STEP2:情報設計・UIの確認
- 情報の出し分けができているか
- わかりやすいUIになっているか
- 発信側の都合の情報に偏っていないか
- タグや分類が整理されているか
STEP3:表現の確認
- 社風に合ったトーンになっているか
- 読みたくなるタイトルか
- クリックしたくなるサムネイルか
社内ポータルサイトの作成・改修の流れ
揚羽では、以下の流れでサイト制作・改修を進めます。

まずは、社員アンケートを実施してペルソナを設計します。次に、ペルソナを分析してメインターゲットを設定し、そのターゲットに最適なコンテンツを整理します。
そのうえで、既存のコンテンツがどの層に向けたものかを整理し、タグ付けのルールも確定させた上で、実際の制作・改修を進めていきます。

- A層:理解・実践している層
- B層:理解しているが行動できていない層
- C層:関心が低い層
C層がB層へ、B層がA層へと意識が変わるように設計することで、行動変容を促すコンテンツになります。
ペルソナがないとどうなる?ペルソナの重要性
「全社員がターゲットだからペルソナはいらない」という意見もあります。しかし、ペルソナがないサイトは、情報が羅列されただけの単なる掲示板になってしまいます。
全社員向けのポータルであっても、会社に対する意識レベルでペルソナを設定することが可能です。
たとえば、「忙しくてゆっくり読む時間がない社員」というペルソナがいれば、記事の冒頭に『1分でわかる要約』を配置したり、目立つ場所に短時間で読めるコンテンツを集約したりといった具体的な工夫が生まれます。
また、DXやキャリアなどの特定テーマのサイトでは、ペルソナがないと「誰が何を見ればいいか」がわからず、離脱の原因になります。「初心者向け」「専門性を深めたい人向け」と切り分けることで、ユーザーにとって見やすいサイトになります。
社内ポータルサイト(SharePoint)のよくあるお悩み2:活用方法がわからない
2つ目の課題は、「社内コミュニケーションを活性化したいが、SharePointの使い方がわからない」というものです。
ここでは、SharePointの役割を整理したうえで活用方法を解説します。
MicrosoftアプリケーションにおけるSharePointの立ち位置
SharePointは、いわば情報の「共有の場」です。ニュースや公式なお知らせをストックし、発信する役割を担います。理想的なのは、以下のサイクルです。

- ① SharePoint:正しい情報やニュースを公開する
- ② Viva Engage:その情報に対して意見や反応を投稿し、コミュニティで盛り上がる
- ③ Teams:出てきたアイデアをもとに具体的な業務やプロジェクトを推進する
SharePoint上で無理にコミュニケーションを生み出そうとする必要はありません。
コミュニティの場はViva Engageに任せ、SharePointは「会話のきっかけ(ネタ)」を提供する場と捉える視点が大切です。
SharePointを活用した社内コミュニケーション活性の方法
SharePoint外での会話を生むためには、以下のような連動したコンテンツ設計が有効です。

たとえば、社員紹介記事を公開すれば、職場で「記事見たよ!」という会話が生まれます。その記事が仕事内容に踏み込んだものであれば、「今度あの件で相談していい?」と業務上の連携にもつながるでしょう。
また、サイト自体に親しみやすい愛称をつけることも、共通認識を生み、会話を増やすための効果的な手法です。
社内ポータルサイト(SharePoint)のよくあるお悩み3:サイトが使いにくい
3つ目のお悩みは「検索性の向上」と「UIの改善」です。
具体的には、「コンテンツが増えすぎて必要な情報にたどり着けない」「トップページがごちゃごちゃして見づらい」といった課題が挙げられます。
SharePointの検索性を高めるには、「キーワード検索」だけでなく、「情報の見つけやすさ(ユーザー体験)」という広い視点で改善を行う必要があります。
ここではSharePointの検索の仕組みや仕様も踏まえ、検索性を向上させるための具体的な手法・ポイントを解説します。
Webパーツでできる検索性向上
標準のWebパーツを使いこなすだけで、検索性は大きく向上します。

たとえば、クイックリンクで手動配置するよりも、ニュースパーツで最新記事を自動表示した方が、クリック数が減り目的のページへ到達しやすくなります。
クリック数が1回少ないだけでも、閲覧率には大きく影響します。
UIの改善にも効果的なタグ付け
サイト内にはさまざまなジャンルのコンテンツが掲載されています。
コンテンツに「タグ(属性情報)」を付けることは、情報の整理だけでなく、UI(見た目)の改善に直結します。

ページやドキュメントに「カテゴリー」や「対象部署」などの列を設けてタグ付けをします。これにより、検索結果にキーワードがヒットしやすくなるだけでなく、特定のタグが付いた記事だけを自動で抜き出して表示することが可能になります。

また、「ニュースパーツ」「強調表示されたコンテンツパーツ」機能を使用し、設定したタグを指定すれば、ターゲット別やカテゴリー別の情報を自動で出し分けることができます。
キーワード検索を使いこなすためのルール作り
キーワード検索の仕組みを理解し、検索結果への表示率を高めるためには、以下のようなルール作りが効果的です。
- ファイル命名規則の設定:日付やキーワードを入れる(例:20260321_プロジェクトA_企画書.docx)
- 「列」の活用:カテゴリーやステータスという「列」を作り、情報を付与する
- 画像内テキスト:タイトルだけでなく、画像内の文字も検索対象になることを意識する
検索結果画面の仕様を理解する
SharePointの検索結果画面の3つの仕様を理解することでも、検索性は向上します。
フィルター機能の活用
検索結果画面の右側や上部にあるフィルターを使えば、ファイル形式(Excel、PDFなど)や、最終更新日時(過去24時間以内など)で瞬時に絞り込みが可能です。
検索したいファイルの種類や、最近触ったファイルを見つけたい時には、フィルターを活用してみましょう。

検索範囲の把握
SharePointの検索窓は、今どこを開いているかによって検索対象が変わります。探したいものがどのサイトにあるかわかっている場合は、そのサイトへ移動してから検索するのが最短ルートです。
| 開いている場所 | 検索範囲 |
| SharePointのホーム画面 | 権限があるすべてのサイトから検索 |
| 特定のサイト内 | そのサイト内のライブラリやリスト |
| 特定のフォルダ内 | そのフォルダとその配下のみ |
不要なファイルの整理
不要なファイルが残っていると、検索結果にノイズとして表示されてしまいます。以下の方法で定期的に整理しましょう。
- 不要ファイルを特定のフォルダに集約して検索除外にする
- 同じファイルはバージョン管理をして単一ファイルとして管理する
- 定期的に不要ファイルを削除する
支援事例から見る社内ポータルサイト成功のポイント
SharePointの標準機能を使用した検索性の向上やUIの改善に加え、HTMLを実装して独自性を高めることも重要です。
独自性を出すことで、社員にとっても親しみやすい社内ポータルサイトを作成できます。
ここでは、揚羽の支援実績から社内ポータルサイト運用の成功事例を3つご紹介します。
事例1:日清食品ホールディングス株式会社様
【課題】
従来の社内ポータルサイトは、情報の画一化や表示の遅さ、モバイル非対応といった課題があり、社員の利用率が伸び悩んでいました。
【解決策】
必要な情報にすぐアクセスでき、社内コミュニケーションの活性化にもつながるサイトを目指したリニューアルをご支援しました。
SharePointのモダンUIをベースに、HTMLやCSSでカスタマイズを加えることで、日清食品ホールディングス様らしいユニークさと使いやすさを両立したポータルサイトを構築しています。
さらに、アニメーションによるメッセージ発信や外部メディアの活用により、常に新しい情報を楽しめるサイトへと改善しました。
【成果】
その結果、1日あたり約2,000人が閲覧し、PV数は9,000に達するなど、利用状況の向上につながりました。
事例2:株式会社レゾナック・ホールディングス様
【課題】
社員にキャリアへの関心を持ってもらうための、新たな発信の場が必要とされていました。
【解決策】
SharePointを活用したイントラサイト「レゾナックからカラフルに(略称:レゾカラ)」の新規制作をご支援しました。
HTMLを組み込んだ自由度の高いデザインに加え、キャリア意識に応じた複数のペルソナを設定し、それぞれに合った記事を展開することで、読みたくなる構成としています。あわせて、ロゴやサムネイル、記事制作のガイドライン整備まで幅広く支援を行いました。
【成果】
2026年2月時点で累計の閲覧者数は延べ約7,000人、PV数は120,000に到達しました。さらに、揚羽では運用の内製化に向けた支援なども実施し、持続的な運用体制にも貢献しています。
事例3:大手建設会社様
【課題】
社内のDX推進において、社員の多くが受け身の状態にあり、DXを自分ごととして捉えにくいという課題がありました。
【解決策】
関心と参加を促すために、DXに特化したポータルサイトの制作をご支援しました。
サイトは一方的な情報発信ではなく、「楽しく、自分のためになる」ことを重視した社員視点の設計となっており、読みたくなるコンテンツや参加型の仕組みが取り入れられています。
【成果】
SharePointにHTMLを組み込むことで、自由度の高いデザインや表現を実現し、親しみやすく直感的に使えるサイトとして、社員が継続的に利用したくなる環境が構築されています。
社内ポータルサイトを成功に導く4つのポイント
最後に、社内ポータルサイトを成功に導くためのポイントを4つお伝えします。
◼︎「作って終わり」にしない
運用で効果が出ない場合は、ペルソナを再策定し、ターゲットが求める情報と構成になっているかを検証しましょう。社内アンケートやヒアリングを継続的に行い、記事のタイトル一つから調整していく地道な改善が不可欠です。
◼︎SharePointの特性を理解する
SharePoint上での直接的なコミュニケーションを無理に追う必要はありません。Viva Engageやリアルな会話が生まれるような「起点」としてのコンテンツ更新に注力しましょう。
◼︎検索性とUIを「情報の見つけやすさ」と捉える
単なるキーワード検索の強化だけでなく、Webパーツやタグ付けを駆使して、ユーザーがストレスなく目的の情報に辿り着ける構造をサイト全体で実現しましょう。
◼︎地道なPRを継続する
ポータルサイトが乱立する中で埋もれないよう、記事公開時のメール配信やメルマガなど、ユーザーに直接届くプッシュ型のPRを併用し、情報に触れる機会を増やす工夫を続けましょう。
SharePointは、うまく活用すると、「中期経営計画の浸透」や「DX推進」「新しい人事制度改定の背景伝達」など、
経営や人事が社員に伝えたいことを浸透するためのプラットフォームになり得ます。
ぜひ興味がございましたら、以下の問い合わせフォームよりご連絡ください









