セミナーレポート〜Z世代の本音に迫る!なぜあの学生は内定辞退するのか!?

皆様、こんにちは。ブランドマーケティング部の齊藤です。
2022年12月8日(木)に新卒採用最大級のクチコミサイト「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリアと揚羽の2社で採用オンラインセミナー「Z世代のホンネに迫る!なぜあの学生は内定辞退するのか?」を開催いたしました。

 

Z世代のキャリア観や志向性、そしていかにして24卒学生の内定辞退を防ぐかの方法を紹介いたしました。

 

講演内容のサマリーをご紹介いたします。

 

イントロダクション

小林 大介
スピーカー:小林 大介 氏
株式会社ワンキャリア
コンサルティングセールス事業部

 

ONE CAREERは、月間利用者数150万人の新卒採用メディアです。選考を受ける学生に選考の中で体験したことをクチコミという形で投稿してもらうことを特徴としており、1年間で29万人以上の学生にご利用いただく、多くの学生のクチコミが集まる新卒採用のクチコミサイトでございます。

 

「クチコミ」からみるZ世代の実態

24卒学生の置かれた環境の整理

24卒学生 置かれた環境
冒頭は、ワンキャリア小林氏からクチコミから見る24卒学生の就活観についてお話しいただきました。まずはZ世代、24卒学生がどのような環境のもとで成長してきたかについて簡潔に解説しました。24卒学生が小学生の頃にiPhoneが発売され、高学年頃にはLINEが普及しました。大学生になると、コロナ ウイルスが到来し入学当初よりオンライン化が進む環境下で過ごしています。ITツールの普及やコロナに伴うオンライン化など、不確実性が高い環境の変化の中で成長してきた世代であるといえます。

 

Z世代就活生を考える2つのポイント

そんなZ世代の就活を考えるに当たって、重要なポイントが2点あります。1つ目は「キャリア観の変化」、2つ目が「SNSからの情報収集」です。

・24卒学生のキャリア観
24卒学生 個人のキャリアへの意識

企業や組織を頼りにするのではなく、転職前提時代・思考であることから、個人のキャリアを重視しているのが特徴です。全体の半数以上の学生が転職を前提に就活をしており、今までの定年退職まで1つの企業に勤めるという考えから大きく変化しています。

 

また、24、25卒の学生さんに会社選びで重視する項目についてアンケートを取りました。24卒学生は、「自分のなりたい職」であることが1番目にあり、続いて「企業の雰囲気」や「企業の安定性」のような企業に関する項目が続きました。一方で、25卒学生は1番が「給与が高い」で2番目に「自分のなりたい職」、3番目に「自分の成長が期待できる」でした。

 

企業が主語の項目がかなり減った印象です。このような結果を見ても、個人のキャリアへの意識が強まっていることが実感できます。

 

クチコミから見るキャリア観の変化

24卒学生 クチコミから見るキャリア観の変化

続いてワンキャリアの中途向けのサービスから、若手の転職に関するクチコミを見ていくと、転職を検討する際に次のキャリアに有利に働くことを考えて選択する人が増えていることがわかりました。先に記載の通り、転職前提で、キャリアに早い段階から意思決定をしている若手社員もかなり増えている印象です。この点は、Z世代の就活を考える上で外せないポイントであるといえます。

 

次に株式会社揚羽の下田より、24卒学生に対して行ったインタビュー調査を基に就職活動の実態を解説しました。
下田 絵梨花
スピーカー:下田 絵梨花
株式会社揚羽
ブランドマーケティング部

 

24卒学生インタビュー調査

24卒学生へのインタビュー調査で分かったことは3点ありました。「情報源」、「情報の内容」、「内定フォロー」についてです。

 

1つ目の「情報源」についてはSNSやクチコミなど多様化しています。また企業から発信する内容だけでなく、第三者からの発信(SNS等)も求めているのが特徴です。

 

2つ目「情報の内容」については、信頼できる情報、リアルな情報を求めているのが特徴です。人事だけではなく、現場の担当にも会えれば会えるだけよいと考えています。また、信頼性のあるリアルな情報を重視するので、「ここがまだ弱い」「ここが発展途上だ」のような赤裸々な情報は学生の信頼につながるという声がありました。

 

3つ目の「内定フォロー」に関する学生の声については、内定後のフォローはもちろん、横(同期と)のつながり、人事やメンターからのフォローは安心感につながっているという回答が多数ありました。メンターに社員がついてくれて相談ができることや、内定者イベントで内定者同士で交流できることは安心感につながっているようです。

 

採用ブランドイメージ調査

また、弊社ではインタビュー調査の定性情報の調査と並行して、学生の志向性に関する定量調査「企業ブランドイメージ調査」も実施しています。学生が企業にもつ採用ブランドイメージをWebアンケート形式で点数化して回答いただく調査です。アンケート結果をもとに、採用ブランディングにどのように活用していくのかについて解説します。

採用ブランドイメージ調査 項目要素
弊社では採用ブランド力を分解し、25項目の要素として定義しています。学生が求める企業の魅力を、「業界」「個社」「仕事」「報酬 / スキル」「人 / 社風」の5つのカテゴリーに分類し、カテゴリーごとに5つの要素を含み、合計25項目となっています。学生の持つ企業への印象を、点数をつけていく形で回答していただき、点数を集計して採用ブランド力をスコア化しています。

採用ブランドイメージ調査 分析イメージ

 

調査事例の紹介

採用ブランド力の調査結果をどのように活用するのか、事例を交え、ご紹介いたします。

あるコンサル企業様の採用ブランディングをご支援した例です。学生の抱くブランドイメージを調査したところ、5つのカテゴリーのうち「業界の魅力」「個社/事業魅力」「仕事の魅力」の3カテゴリーの点数が低い結果でした。「業界の魅力」はグローバル企業ではないため問題として取り上げられませんでした。

 

一方で「個社/事業魅力」「仕事の魅力」の数値は実態と伴っておらず、問題が潜んでいることがわかりました。各カテゴリーの要素をさらに細かく見ていくと、「仕事の魅力」に分類される「大きな裁量権がある」「前例のないことに取り組める」「飽きの来ない奥深さがある」という項目は低いスコアでした。

 

このような結果から、実際の仕事の魅力が学生にはつながっていないことが分かりました。また、こうしたデータから、学生は「この会社の仕事はルーティンワークばかり」や「新しい取り組みがあるわけではない」と感じているという仮説が立てられます。

 

採用ブランドイメージ調査 競合比較

 

学生の自社への採用ブランドイメージだけではなく、採用上の競合企業へのイメージの比較調査も行いました。自社だけでなく、競合との比較調査を行うことで、問題の解像度をさらに引き上げることができます。図の赤く着色した箇所が、競合企業に比べて点数が低く出ている項目です。これらの項目について、「ターゲット学生はどんな要素を望んでいるか」「競合企業との差別化要素はどこか」等の観点から打ちだすべき魅力を設定しました。

 

このようにデータなど客観的な情報も活用しながら、より効率がよい、効果のある施策は何なのかを探ることが重要です。Z世代はインサイトを掴むのが難しいですが、データを活用することで仮説の精度を上げる事が出来、結果として効果的な打ち手につながるといえます。

 

内定辞退はなぜ起こるのか

内定辞退、承諾の実情

続いて、学生が内定辞退をしてしまう理由について小林氏よりお話しいただきました。学生の選考辞退の実情を調査すると、7割の学生が内定辞退を含め、選考を辞退していることが分かりました。5割以上の学生が複数内定持っていることもあり、内定辞退はいたるところで起こっているといえます。

 

内定承諾の理由についても調査しましたが、承諾の決め手になるのは「人、社風」が最も学生の回答が多い結果でした。「人、社風」は学生が企業を選ぶ最後の要素として、重要度が高いことがわかります。
学生の内定承諾理由
※2020-2021卒の学生データより引用

 

また、ワンキャリアのクチコミから「人の魅力」に関する要素を見ていると、人事や採用担当の評価が非常に高いことが多いです。ですが、現場社員の方々で評価が下がってしまうケースが多々あります。人事の方々は、いかにして現場社員の方々に自社の魅力を伝えてもらうのかについて対策を講じることが大切です。結果として、学生からの評判を上げ、他企業との差別化にもなる重要なポイントだといえます。

 

学生に自社をどう見せていくのか

続いて、両者よりいかにして学生の自社へのイメージを形成していくのかについてお伝えしました。

 

学生のイメージ形成として、「マーケティング」的アプローチと「ブランディング」的アプローチの2種類があります。「マーケティング」は、自分たちがどんな存在であるのかを自分たちで伝えていく形式です。「ブランディング」は、自分たちの存在について一方的に発信するのではなく、顧客や候補者からどう思われてるか、言われるかという印象を形成するアプローチです。

 

学生は第三者からの信頼できる情報を重視する傾向にありますが、その情報の内容を変えていくことは非常に難しい事です。採用ブランディングにより学生のイメージを形成する際には、社内を巻き込み、会社の実態に伴った印象を形成していくことが非常に重要です。

 

たとえば、学生の声を拾うこと、社内の声を拾うこと、リクルーターと連携し打ちだす内容を統一することなど、会社の実態に関する生の情報を得て、一貫したメッセージを発信していくことにより、実態に伴った印象が形成されていきます。

 

何をどう対策すべきか(打ち手、事例)

3つのやるべきこと

学生の内定辞退対策 3つの打ち手

小林氏から、何をどのように対策すべきかというテーマで①「期待値の調整」②「現状の察知」③「アトラクトの訴求」の3点を解説しました。

 

①期待値の調整
学生が、選考に応募する際に抱く印象と、実際のインターンシップ、説明会、選考などの各プログラムに参加した際の印象のギャップを減らすことが重要です。実態に伴わない訴求は控え、内容に根ざした訴求を心がける必要があります。

 

②現状の察知
現状、学生が抱いている印象を正確に把握することが有効です。プログラムに参加する前後の学生のクチコミやアンケート調査の結果などに目を通すことにより、プログラムの前後で印象がどのように変化したのかをとらえることができます。学生の印象を正確に把握することで、その後にいかにして内定承諾率を向上させていくのかについて議論を進めることができます。

 

③アトラクトの訴求
アトラクトの訴求として、大手製薬会社様の事例を紹介しました。ターゲットは理系の学生でしたが、研究職ではなくビジネス職の訴求について依頼いただきました。また、製薬会社のビジネス職はMR職の印象が強いですが、MR職ではない職種について訴求することを検討していました。上記の観点をアトラクト要素として、理系学生向けのイベントに出典し、イベントの様子はYouTube動画に公開しました。公開した動画は、選考中の学生にも送っていただくなどの方法で活用し、結果としてそうした取り組みにより、大手企業としてのイメージを払拭することができました。与えたいイメージから訴求すべき要素を定め、また訴求する媒体を選択していくことが重要です。

 

質疑応答、ディスカッション

視聴者の皆様から寄せられた質問に小林氏と下田が回答しました。

 

Q.採用の効果を測定する上でKPIはどのように設定されていますか?

下田:
KPIは、例えば内定辞退率などの数値を指標にすることもありますし、また集まってくる学生の質がどう変化したのかという観点で計測することもできます。
KPIの決め方は定性、定量など色々とあるので一概にこの指標が正しいというものはありません。お客様に合った観点で最適な指標を設定いただくことが大切だと思います。

 

Q.採用ブランディングが成功する企業とうまくいかない企業の共通点は何がありますか?

下田:
成功するためのポイントは、ターゲットや競合を詳しく知ることが重要です。
自社のことを知ることは重要ですが、その観点だけで発信してしまうと、学生に刺さらない内容になってしまいます。ターゲット、競合についてもしっかりと情報を収集していくことが重要です。

 

Q.選考過程で人を通じてどんな成長ができるかをリアルに伝えていくことが重要と理解しましたがいかがでしょうか。

小林氏:
スキルや待遇、業界の特徴が学生が興味を持つきっかけになりやすい印象はあります。足切りのような形で、これらの要素があり、そうした条件を満たしていくことで、選考に進んでいくというのが実情だと思います。最後の内定承諾する決め手の観点では、人、社風が重要ですが、選考辞退の理由としては業界などの項目の方がより重視される傾向もあります。学生さんの選択に乗るための条件を満たしながら、決め手となりうる人、社風の魅力は訴求していくことが必要です。また、人、社風のどの部分を訴求していくのか、打ちだしていくのかについては、トライ&エラーを繰り返しながらブラッシュアップしてことが重要です。

 

以上、2022年12月8日開催「Z世代のホンネに迫る!なぜあの学生は内定辞退するのか?」のセミナーレポートでした。

 

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