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こんなに違う!『住みたい自治体』と『住みよい自治体』ランキングからのシティブランド考察

『住みたい都市』と『住みよい都市』って一致しているのだろうか?

この7月~9月にかけて、ここをご覧の皆さんの中にも、夏期休暇の旅行や出張などでさまざまな都市を訪れた方は多いのではないでしょうか?
私も普段の外出や出張に加え、8月の夏休みには北海道の札幌・函館を訪ねました(北海道が震災に見舞われたのは、その後です)。
北海道や札幌といえば、観光地としての人気に加え、「住みたい街(または都市)」に挙げられることも多く、近年は海外からの移住者も増えています。
なんとなく「都市としてのブランディング」のようなことを考えながら訪ね歩く中で、ふと頭をよぎったのが「住みたい都市ランキング(外から見たブランドイメージ)」と「住みよい都市(住んでいる人の評価)」って一致しているのだろうか?ということ。
一致度が高ければ“シティブランド”のマネジメントが上手くいっていると言えそうですし、乖離があればそこから何か見えてくることがあるかもしれません。
そんなことを考え、少し調べて考察してみました。
広くブランディングを考える上での箸休めとして、お付き合いください。

『住みたい自治体』ランキング上位は都市部の自治体がズラリ

まず見てみたのが『住みたい自治体』の調査。
こちらはリクルート社『SUUMO』が毎年調査公表している『住みたい自治体ランキング』の関東編と関西編(*(1))。

(株)リクルート住まいカンパニー『SUUMO』住みたい街ランキング2018
「住みたい」と思う自治体をアンケート調査しているものなので、現在の居住者以外の人々が外から見てその街(自治体)に魅力を感じているか、逆にいうと各自治体がその魅力を発信できているかが表れるものかもしれません。
企業でいうと『就職したい企業ブランドランキング』や『サービスを利用したい企業ブランドランキング』といったものに近いといえます。
「住みたい街(例:「吉祥寺」や「恵比寿」といった駅や街区エリア)」と違うのは、アクセス面や商業施設有無などに加え、行政サービスなどの要素も加味されるところですね。
関東では1位の東京都港区を筆頭に、上位10位は軒並み東京23区からのランクイン!
関西ではトップが兵庫県西宮市、以下上位10位には神戸市内や大阪市内の区が多くランクインしています。

住民が評価する『住みよい街』ランキングのトップは守谷市(茨城県)!

一方で『住みよい街(自治体)』ランキングを見てみましょう。
参照したのはNIKKEI BP総研の『シティブランドランキングー住みよい街2017ー』(*(2))。
NIKKEI BP総研『シティブランドランキングー住みよい街2017ー』
こちらは、実際に各自治体に住んでいる人々の評価を調査集計したもの。
実際に住んでみてどうか、実感値をともなった評価が表れているものではないでしょうか?
企業でいうと「従業員満足度」や「顧客満足度」になぞらえる事ができそうです。
その結果は…『守谷市(茨城県)』と『武蔵野市(東京都)』が同ポイントで1位!
さらに関東や関西では、都心部の自治体を上回って『浦安市(千葉県)』『府中市(東京都)』などが上位にランクインしています。
これら2つの調査が調査年と調査範囲がやや異なることは注意が必要ですが、それを差し引いても上位にランキング入りする自治体の顔ぶれの違いは見て取れます。
いずれも高いレベルで評価されている自治体もある一方で、外から見たイメージと、住民の評価にギャップがある自治体や、実際の住民からの「住みよさ評価」が広い層には認知されていない自治体が多いと言えそうです。
ここで両ランキングから、『住みよい街ランキング』1位ながら『住みたい街』ランキングではそれほどでもない『守谷市(茨城県)』と、両ランキングとも上位にランクインの『武蔵野市(東京都)』にちょっとだけ目を向けてみようと思います。

守谷市ってどこ?何があるの?が課題か

『住みよい街ランキング』1位の守谷市は、茨城県南部に位置し、千葉県との県境に位置する街です。
実はこの守谷市、本調査とは別の経済誌が調査発表する「住みよさランキング」でも、2007年から常に茨城県内第1位にランクされています。
『住みよい街』の評価ポイントを細かくすると、「医療体制」や「自治体の子育て支援」「自治参加」といった点も評価されていることがわかります。
2005年のつくばエクスプレスの開通により都心とのアクセスが飛躍的に向上しましたが、同じ沿線の他の自治体が上位ランクには入っていないことからも、同市の住民が実際に感じる「住みよさ」はアクセス利便性だけではなく、自治体の取り組みも含めてさまざまな側面が多角的かつ継続的に評価されていると言えます。
一方で、住民からは「住みよさ」について高い評価を得ていながらも、『住みたい街ランキング』では92位と、広い層にはまだまだ「住みたい街」として認知されていないとも言えます。
「知る人ぞ知る住みよい街」と言えるかもしれませんが、それだけではちょっと勿体ない。
「住みよさ」のイメージをよりわかりやすい形で可視化して訴求し、広い層への認知を図ることが課題かもしれません。

街のイメージと住民の実感の一致度が高い『武蔵野市』

『住みよい街ランキング』で守谷市と同ポイント1位で、『住みたい街ランキング(関東)』でも18位と東京23区に次いで高いポイントを得ているのが武蔵野市。
住民からの評価も、広い層へのシティブランドイメージの訴求と認知も、高いレベルでできている例と言えるのではないでしょうか?
武蔵野市というと、吉祥寺に代表される商業エリアと閑静な住宅街の双方が連想されます。
実際に住民の評価である『住みよい街ランキング』の評価ポイントを見ても、「生活の利便性」や「生活インフラ」に関する項目が高評価を得ていますが、それだけではなく「行政サービス」や「文化施設の充実」「公園の多さ」といった自治体としての都市設計に関する項目も評価をされています。
さらに特筆すべきは「街への愛着」や「活気」など「街の活力」に関する評価が特に高い点です。
商業施設集積やアクセス立地といった魅力因子だけではなく、行政サービスといった施策も住みよさに寄与していること。
それらに住民が高い満足度とロイヤリティを感じており、それを基盤にさまざまな発信によって内外に「活力ある街」という認知がなされている街と言えそうです。

計画的にブランディングの手を打てているか、内外のイメージは一致しているか

共同体として、まずはどんな価値を提供するのか、きちんとした方針に基づき施策が実施されているか。
それは参加者や実際の利用者に浸透し、理解・実感されているか。
さらにそれが「ブランドイメージ」として発信され、内外ともに共通のイメージとして認知されているか…。
企業における「インナーブランディング」と「アウターブランディング」に置き換えて見たときに、シティブランディングという観点でこの2市の例から見えてくることも多いように思います。
■出展・引用
*(1)(株)リクルート住まいカンパニー『SUUMO』住みたい街ランキング2018 https://suumo.jp/edit/sumi_machi/
*(2)NIKKEI BP総研『シティブランドランキングー住みよい街2017ー』 https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/102900066/103000002/?P=3


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WRITER
佐藤考良

シニアプロデューサー

佐藤考良

秋田県生まれ。日本大学芸術学部卒。
演劇活動の挫折を経て、リクルート社入社。企業の人材採用広報・教育研修・組織活性支援に従事。
その後2005年に揚羽に入社。以来10年以上にわたりのべ100社以上の企業の人材採用プロモーション、企業広報ほか各種コミュニケーション施策の支援に関わらせていただいています。
週末はだいたいサッカースタジアムにいるか、旅か、映画鑑賞のルーティン。