株式会社揚羽

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なかなか進まない企業理念浸透にどう挑むべきか。

浸透するとこんなに違う!企業理念浸透のメリットと必要性

企業理念とは、経営が考える目指す方向性や実現したい企業価値を短い言葉にまとめ表したものです。
企業活動を行う上で設計される戦略・戦術のほとんどが、企業理念を噛み砕き具体的な行動に落とし込んだものになっているはずです。最前線で活躍する社員の皆様が企業理念を理解していないと、せっかく設計された戦略・戦術もただの業務。戦術・戦略の奥にある本質的な価値を社員の方が意識することもないでしょう。
一方で、戦略・戦術の根っこにある企業理念への理解があれば、業務を通じて本来発揮すべき価値を判断し、正しい行動を選択することもできるハズ。この「現場の正しい判断」が企業価値をあげる上では重要になってきます。
いわゆる大手有名企業ほど、理念が隅々まで浸透していて、社員の皆様の行動も一貫しているものです。「〇〇社さんの社員っぽいな」という言葉を聞いたことはないでしょうか?
これも理念が浸透し、社員が企業理念を体現した結果の一つです。企業理念の浸透には、現場の一つひとつ仕事の質を上げ、企業ブランディングにもよい効果をもたらすというメリットもあります。

現場に企業理念を浸透させる方法

「企業理念が浸透していない」とご相談をいただく企業様には、いくつかの共通点があります。それが「浸透のための施策がない」「企業理念が現状とズレている」「理念を噛み砕いて説明していない」の3つです。こうした状況を改善し、企業理念を浸透させるためにはどうしたら良いか?ここではそのための3つポイントをご紹介します。
ポイント①:企業理念の理解
作った言葉を発表すれば、みんなが企業理念を理解してくれる。そんな都合の良い話はありません。その言葉にどんな想いを込めたのか。企業理念実現の先には何があるのか。具体的に何をすればよいのか。シンプルで伝わる言葉を用いながら「why=なぜやるのか」「what=何をするのか」を説明していきます。浸透するまで何度も伝えていくことが重要です。
ポイント②:未来を語り共感を得る
採用の現場では、「御社の企業理念に共感して」という志望動機をよく耳にします。企業で活躍する多くの方は、自分の仕事に“価値”や“誇り”を求めています。「目指した先に何があるのか」 社会に対する価値や個人へのベネフィットに共感してもらうことが、結果的には仕事に対するモチベーションアップにも繋がります。
ポイント③:ストーリーで伝える
企業理念の浸透が進まない理由の一つに、実現までの道筋がイメージできないということもあるようです。特に、スケールの大きな企業理念などでは、社員一人ひとりが自分ごととして捉えきれないのも頷けます。理解や共感を得るために、一人ひとりの行動がどう影響していくのか、どのような経緯を経て企業理念が実現するのか。具体的なイメージを助けるための、ストーリーを設定することも必要です。また、浸透にはある程度時間もかかるため、段階的に実現のためのビジョンを設定し、中・長期の目標と合わせ語ることも重要です。

理念浸透を事業とする揚羽が行なっている理念浸透ステップ

私の所属する株式会社揚羽は、自社でも企業理念の浸透に力を入れており、一定レベルの成果を上げることができています。以前に書いた記事『インナーブランディングのプロセスと理念の重要性』の「理念浸透度合い」でいえば、ほとんどの社員が日常の中にも行動指針を使って会話するなど、「行動・定着」フェーズにまで進んでいると言って良いと思います。
浸透実現のポイントは大きく2つです。
①現場巻き込み型で理念や行動指針を作るため、社員が理解・共感しやすい
②理念体現エピソードの発表の場つくることで、社員の理念・行動指針の自分ごと化を促進
「情報貧者をつくらない」という揚羽の行動指針を例に、行動指針をどう作り浸透させているのかをご紹介します。
ステップ1
経営者(揚羽では代表取締役の湊剛宏)が、①テーマ(情報貧者を作らない)と②解説を書きます。大切なのは②の解説です。会社全体でブレさせたくないことや、譲れないことは何なのか。ここが曖昧だと、後のプロセスの効果が薄くなるため、かなりこだわって書きます。①のテーマについては、最初の段階ではキャッチーにする必要はありません。とにかく②の解説が最初は肝要です。

ステップ2
その羅針盤に対してイマイチな行動の例③と、理想的な行動の例④を空欄の状態で社員に渡し、社員ひとりひとりが考えて記入し、提出してもらいます。
ステップ3
経営者(と羅針盤作成チーム)が社員の案を読んで、即に潜む理念をきちんと理解していたら褒め、理解していなかった場合は誤解を解くためにコミュニケーションを取ります。そして、社員の案の中からよくあるケースをピックアップし、シートを完成させます。すべて会社が用意するのでなく社員一人ひとりに、羅針盤について自ら考えてもらうことが重要です。
ステップ 4
毎週月曜日に開催される朝会で、数名の社員がテーマについてエピソードを話します。良い行動でも悪い行動でも、自分の行動を羅針盤と照らし合わせながら振り返ることが大切です。振り返り言葉にして話すという行為自体が羅針盤への理解を深め、企業理念の浸透を促進します。

ステップ5
羅針盤が30まであるため、毎週ひとつづつの発表だと、1周するのに半年以上かかってしまいます。理念浸透の観点では接点を増やすことも重要なため、日々目につくよう「羅針盤日めくりカレンダー」を作り、机上やトイレなどの目につくところに置いています。

ステップ6
羅針盤の中から主だったものをチョイスし、評価の項目にも入れています。毎回、評価の期間になると、あの羅針盤は体現できているが、この羅針盤の項目について強化しなくてはいけないね、という確認を上司と部下で取り合います。こうした会話からも、企業理念への理解を深めることができます。
ステップ7
新しく入って来る社員には、面接時にこの羅針盤を読んでもらい、事前に価値観のミスマッチを防いでいます。また、入社時にはすべての羅針盤の項目について、③のイマイチな行動と④の理想的な行動を記入してもらい、直属の上司と理解にズレがないかコミュニケーションを取ります。

経営理念や行動指針について考え行動することを、日常の業務に組み込むことで、揚羽は経営理念を浸透させています。

理念浸透は伝え方が9割。

揚羽も今日にいたるまで10数年、理念浸透活動の試行錯誤を繰り返し、ようやく今の形に定着しました。
理想的な企業理念の浸透方法は各社それぞれ異なります。企業にはそれぞれの歴史や文化があるためです。歴史と文化を無視して、ただ「面白いからやってみようよ」といって始めた施策はなかなか長続きしないものです。社員一人ひとりにきちんと届くように伝え方を考える。いちばんの肝はここだと思います。
大事なことなのでもう一度言います。作った言葉を発表すれば、みんなが企業理念を理解してくれる。そんな都合の良い話はありません。企業理念の浸透は、ある程度の時間を見込み腰を据えて働きかけることが重要です。
最後に、経営層のメッセージを浸透させる事例をまとめた資料がありますので、
ご興味ある方はこちらからダウンロードができます。

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WRITER
黒田天兵

インナーブランディング研究室
室長

黒田天兵

ブランディングにおけるソリューション実績700社を超える (株)揚羽にて、コーポレートコミュニケーション事業の立ち上げから推進まで行っている責任者。携わったインナーブランディング実績はおよそ200社、財閥系大手企業から近年注目されている急成長ベンチャー企業まで幅広く担当し、理念浸透・意識改革などのプロジェクトに携わる。大学時代は哲学に没頭。ハイデガー、デカルト、カント、ニーチェを研究。