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コーポレートブランディング

セミナーレポート~信頼と誇りを未来につなぐBtoBブランディングの進め方

目次

共催セミナー「信頼と誇りを未来につなぐBtoBブランディングの進め方」

皆様、こんにちは。ブランドマーケティング部の石田です。

2022年11月10日に「信頼と誇りを未来につなぐBtoBブランディング」セミナーを開催しました。

本セミナーには、富士通インターコネクトテクノロジーズから社名変更を含むリブランディングプロジェクトを統括されたFICT株式会社経営戦略室執行役員チーフストラテジーオフィサーの雨宮氏をゲストとしてお招きし、揚羽からはブランディングコンサルタントの板倉とシニアプロデューサーの佐藤がモデレーターとして登壇いたしました。
3名によるディスカッション形式で、当時のリブランディングプロジェクトを振り返りながら、実施された具体的なプロセスやBtoB企業のブランディングの考え方について、ひも解いていきました。

 

講演内容のサマリーをご紹介いたします。

 

リブランディングプロジェクトについて

雨宮 隆久
ゲストスピーカー:雨宮 隆久 氏
FICT株式会社
執行役員 チーフストラテジーオフィサー

 

板倉 マサアキ
モデレーター:板倉 マサアキ 氏
株式会社揚羽
ブランディングコンサルタント/クリエイティブディレクター

佐藤 考良
モデレーター:佐藤 考良 氏
株式会社揚羽
ブランドコンサルティンググループ シニアプロデューサー

 

FICT株式会社の紹介

FICT株式会社は、1967年に富⼠通の基板製造部⾨としてプリント板の製造を開始し、2002年に富⼠通インターコネクトテクノロジーズとして、分社・独⽴しました。⾼い成⻑が⾒込まれるハイエンドサーバー、半導体テスト関連機器、5G向け通信機器からPC、スマートフォン、⾞載制御機器に⾄るまでさまざまな分野で使⽤される⾼多層・多層プリント基板を製造し、国内外の幅広い顧客に製品・サービスを提供しています。

 

また、2020年にはファンドからの資本参加を受け、2022年に社名をFICT株式会社へ変更し、富⼠通グループから自立し、独⽴企業として再出発しました。今回は、2020年から2022年の新しいブランドになるまでの期間において、どのようなプロセスでリブランディングを進めたのかについてディスカッションしました。

 

プロジェクトの概要

プロジェクトは、2021年の1月からスタートし、新ブランド発信まで約1年間の期間を要しました。

本セミナーでは、プロジェクトの概要を大きく3つのフェーズに分けて解説します。

  1. フェーズ1 コーポレートアイデンティティの構築
  2. フェーズ2 コミュニケーション計画の策定
  3. フェーズ3 クリエイティブツールの実装

コーポレートブランディング構築 プロセス
・フェーズ1 コーポレートアイデンティティの構築
これまでは富士通グループの中のグループ会社として富士通ブランドを冠していましたが、リブランディングのタイミングで、改めて自分たちの会社のコーポレートアイデンティを定義しました。

・フェーズ2 コミュニケーション計画の策定
続くフェーズでは、構築したブランドアイデンティティをどのようにして伝えていくのかの計画を策定しました。顧客に対する「カスタマージャーニーマップ」や、自社の従業員に対していかにして浸透させていくのかという「エンプロイージャーニマップ」などのコミュニケーション計画を立て、浸透を可能にするために必要なクリエイティブツールが何であるかについて議論しました。

・フェーズ3 クリエイティブツールの実装
フェーズ2で立てた計画を、実際にどのようなクリエイティブツールを使用して、どのようにブランドを発信していくのかの詳細を詰め、実装していきました。
この3フェーズごとに分け、FICT株式会社雨宮氏に直接ご質問しながら、プロジェクト当時を振り返っていきます。

パネルディスカッション

Q.ブランディング実施の背景と、パートナー企業の選定で重視した点はなんですか?

雨宮氏:
富士通グループからカーブアウトし、新しい株主様を迎えてからちょうど2年程が経過し、会社も20周年を迎えたタイミングでした。節目のタイミングで、社名やブランドなどを一新して、社内外の人に対して新しい会社の形を示す必要があると感じていました。

パートナーの選定については、これまで「富士通ブランド」の下で培ってきたDNAを大切にしながら、社内外への認知、共感、浸透を図るプロセスをシームレスに、ワンストップでサポートしていただくことを重視していました。また、ブランドとしてもまだ途上にあるので、今後も長く課題解決に寄り添ってくれる点も重視しました。

リブランディング実施の背景

Q.複数の企業の中から、揚羽を選定した理由を教えてください。

雨宮氏:
弊社は、働く従業員を非常に大切にしています。揚羽の提案は、従業員に対するインナーブランディングを重視しており、またインナーブランディングからコーポレート全体のブランディングに至るまでシームレスにご支援いただけるという点が非常に魅力的でした。弊社はブランディングに関してはまだ途上にあります。今後取り組まなければいけないさまざまな課題に対しても長く寄り添ってくれることをイメージできた点も大きいです。

ブランディングパートナー揚羽の選定理由
板倉:
BtoB企業の場合、ブランドを体現するのは従業員です。その従業員の方々にいかに浸透していくのかを重視して弊社を選んでいただいたことを記憶しています。

 

佐藤:
そもそもプロジェクトを進められる上で、進め方については社内で議論されたのでしょうか。
雨宮氏:
会社の名前を決めることやブランドを一新するような経験をすることは、社会人をしていても滅多にありません。進め方について社内ではほとんど白紙の状態でした。自分たちの力だけではどうしようもなかったため、何社かに声をかけディスカッションをしたり、提案を受けながら進めました。

 

「フェーズ1:コーポレートアイデンティティの構築」について

板倉:
プロジェクトを始めるにあたって、まずは部署を横断したタスクフォースチームを作っていただきました。ブランディングは、社長や経営層だけで進めるものではありません。ブランドを作った後に、例えば営業の場面、製造の現場で活かす、採用の場面で学生に伝えるなど、企業活動の全てに関わります。事業戦略グループを中心とした、製造、開発、営業さらに経理、総務、人事、品質保証など多くの部署の責任者に来ていただき、全社が納得するブランド作りとして進めるためにチームを作っていただきました。

 

その後、社長や役員、資本参加されたファンド担当者へインタビュー調査を行い、ブランドがもっている価値を深掘りしました。インタビュー調査によりキーワードの棚卸しをおこなった後、ブランド価値を構造化した「ブランドストラクチャー」を作成しました。「ブランドストラクチャー」を作成することにより、これまで曖昧だった会社としての強みや価値観の洗い出しを行い、FICTのコアバリューは何であるのかを探りました。

また、明確化したブランドの魅力を基に、新社名、ブランドスローガン、ロゴを考案しました。タスクフォースのメンバーからさまざまなアイディアをもらいながら、議論を重ね策定しました。また、ロゴの策定については従業員全体の意見を直接取り入れました。タスクフォースメンバーでロゴを最終の4案に絞り込み、どのロゴがふさわしいかを全従業員に対してアンケート投票を行い、最も票数が多かったロゴ案に決めました。

コーポレートアイデンティティ構築

 

Q.フェーズ1を進める上で良かった点、苦労した点はありますか?

雨宮氏:
フェーズ1はもっとも楽しいフェーズであり、かつ非常に重要なポイントだったと振り返ります。

良かった点は、従業員をプロセスに巻き込みながらプロジェクトを進められたことです。我々は工場を多く抱えていて、多くの従業員が働いています。工場の中にポスターを張り出し、ポスターを見た社員が自ら投票に参加できるようにしたことで、社員もプロジェクトに対して当事者意識をもってくれました。

 

板倉:
現場でもどのロゴがよいのかの話し合いが生まれました。結果として、現在制定されているロゴは社員投票で1位になったものです。現場と経営層の意見が合致して、より全社から愛されるブランドになったと思います。

「フェーズ2:コミュニケーション計画の策定」

板倉:
フェーズ2では、策定したロゴやブランドスローガンをいかにして伝えていくのかを整理しました。

顧客とどのような接点があるのかを洗い出し、カスタマージャーニーマップを作成して整理しました。顧客との接点は、認知、理解、共感、行動の4つのフェーズに分類して整理しました。また、それぞれのタッチポイントにおいて何の施策が必要なのか、どんな風に感じてもらいたいのか、どういうスタッフが必要なのかをカスタマージャーニーマップに落とし込みながら施策を洗い出しました。ジャーニーマップの作成には各部署の担当からリアルな現場の声をヒアリングしながら施策を検討していきました。

必要なものを整理をする段階として、このフェーズは約3ヶ月の期間をかけて、ディスカッションしながら決めていきました。

 

Q.フェーズ2を進める上で良かった点、苦労した点はありますか?

雨宮氏:
今までは当たり前に「富士通」ブランドがありました。そのブランドがなくなった今、各ステークホルダーとどのようなコミュニケーションをしていけばいいかを1から考え直す必要がありました。考えるべきことは膨大にあり、非常に大変なフェーズでした。
ただし、このフェーズに時間をかけて丁寧に取り組んだのは非常に良かったと思います。認知、理解、共感、行動のフェーズに分け、丁寧に施策の洗い出しをすることでやるべきことの優先度が明確になりました。
板倉:
現時点(2022年11月時点)で、新ブランドを冠して9カ月が経過しますが、現在は認知、理解を促すフェーズにあると思います。カスタマージャーニーマップ、エンプロイージャーニーマップにまとめたことにより、これからやるべきことも明確になっています。ジャーニーマップを作ることは、やるべき施策の優先順位付けができる、チームメンバーと共通認識をもつことができるなど、さまざまなメリットがあります。

「フェーズ3:クリエイティブツールの実装」

板倉:
フェーズ3は、実際にクリエイティブツールに落とし込んでいくフェーズです。全体の統括として事務局を設置し、またWEB、映像、グラフィックというツールごとにプロジェクトチームを編成しました。週に1回の定例ミーティングで各チームの進捗に滞りがないか事務局がチェックをしながらプロジェクトを進めました。

今回は、コーポレートサイトをはじめ、ブランドムービー(ロングバージョン、ショートバージョン)、会社案内、冊子、封筒、名刺、資料などの紙もののツールなどを制作しました。

また、工場の看板や社服にも新しいロゴとブランドスローガンを掲載しました。その他にも、顧客が集まるイベントでのブース装飾や、本社のある長野におけるバスのラッピングや駅前広告、新聞広告への出稿などを通じ社内外へのブランド認知向上の取り組みを実施しました。
クリエイティブツール実装

 

Q.このフェーズはあらゆるプロジェクトが並行していましたが、どのように感じていらっしゃいましたか?

雨宮氏:
どんどん実物ができあがって来るにつれて、本当にブランドが変わるという実感が湧いてきたことを思い出します。

一方で、できあがって来るツールを通じてステークホルダーとコミュニケーションしていくわけですが、果たしてこれでうまくいくのかが不安になったこともありました。その際は、何通りかのデザインのパターンを見せていただいたりする中で不安を払拭していただきました。
板倉:
デザインを何通りかお出しした際も、スムーズに合意形成ができ、プロジェクトを進めることができたこと記憶しています。ブランド作りを最初から支援していたため、弊社のプロジェクトチームメンバーもFICTの新ブランドへの理解も非常に深まっていたと思います。
雨宮氏:
仰る通りでしたね。10ヶ月ほどプロジェクトを共にする中で、意思疎通も上手くできるようになったのかと思います。

 

Q.ブランディングによる顧客や従業員からの効果を教えてください

佐藤:
実際にブランドが外部に発信され、新しい会社としての活動が始まりましたが、お客様、あるいは従業員の方々への効果はいかがでしょうか。

雨宮氏:
いろんな決定プロセスに社員を巻き込んだことは非常に良かったと思っています。社員が新しいブランドや社名のサポーターとして、意識していることを感じます。

対外的な取り組みについては、新ブランドの認知拡大の施策として、イベントブースへ数回出展しましたが、一定の話題性があり、取材の申し入れが来るなど効果を発揮しています。

Q.さらなるブランド浸透のために、今後取り組みたいことは?

雨宮氏:
認知、理解、共感、行動の4つのステップの内、「共感、行動」の2ステップについては社内外に対してさらに施策が必要であると感じています。

パーパス、ビジョン、バリューというブランド体系を社内に拡げるべく、内部研修などにより浸透させ、行動に移していただくことが重要だと思っています。

もう1点は、我々はやはり人材が非常に重要ですので、採用活動において、自社のブランドを理解していただいた上で魅力に感じてくれる人に仲間になってもらいたいと思っています。まだまだ課題は多いですが、さらにサポートいただきながら進めていきたいと思います。

 

質疑応答

セミナー時に、参加者より寄せられた質問に回答した内容を一部ご紹介します。

Q.「共感、行動」のフェーズがまさに難しいと感じています。もし現時点で予定されている施策がありましたらお伺いしたいです。

雨宮氏:
社内へのブランドの浸透として、少人数の社員を集めてのグループディスカッションを検討しています。内容についてはこれから具体的に詰めていく予定です。
「パーパス」と「組織文化」の2点が特に重要になってきます。
板倉:
現場の社員に、パーパス、ビジョン、バリューとブランドが紐付いてることを理解してもらえないというお声は多くいただきます。1つの方法として、従業員が携帯できるサイズの小さなカードにビジョンやバリューを記載し、従業員に都度見てもらうような方法もあります。

Q.経営トップをプロジェクトの中心に置く際のポイントはありますか。

雨宮氏:
基本的にはタスクフォースチームが中心となって進行させるのが良いと思います。社長には1つ視座の高い位置から客観的な意見をもらうという進め方が理想的だと思います。

板倉:
定例会を設定し、プロジェクトの進捗を報告しながら、次のアクションについて社長との合意形成をしながら進めていくのが良いと思います。

Q.ブランディングというと一般的に消費者向けというイメージがありますがBtoBブランディングでBtoCブランディングとで異なる点、考え方があれば教えていただけますか。

板倉:
BtoC企業はサービスのブランドのイメージがその企業のイメージと近くなると思います。
BroB企業の場合は従業員の皆様がブランドを体現するところが大きいので、インナーブランディングを通して従業員の方々に対して納得感のあるブランドを形成していくことこそが重要であり、それが大きな違いだと思います。

以上、2022年11月10日開催「信頼と誇りを未来につなぐBtoBブランディング」のセミナーレポートでした。

 

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今後も皆さまのお悩みを解消できるようなセミナーを随時開催していきますのでご期待ください。

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プロデューサー
営業マネージャー

石田卓也

新卒で揚羽に入社後、人事や広報担当向けのソリューション営業に従事し4年目でMVPを獲得。現在は現場で学んだ経験を武器にマーケティング・育成など営業組織の改革にチャレンジしています。学生時代は体育会系で部活ばかりやっていました。

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