【株式会社アゲハ×株式会社揚羽 特別対談企画】後編
対談風景
写真左:株式会社アゲハ 代表取締役社長 木下優子さん
写真右:株式会社揚羽 代表取締役社長 湊剛宏

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対談コンテンツ【後編】
・ 「絶体絶命の大ピンチ」
・ おすすめの一冊
・ 好きな映画
・ これからのマーケティングについて
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>>> 「絶体絶命の大ピンチ」

対談風景
木下:
高校時代、都立の進学校に通っていたのですが、何のために勉強をするかが分からなくなってしまったことがありました。
周囲の大人たちに聞くと「良い大学に入って大企業に就職して素敵な方と出会い、結婚をするため」と言われて…。
すごくショックでした。
絶望してしまったんですよ。そんなことのために?と…。
それで、それ以外のコースを探そうと思って、高校を辞めたんですよね。激しく落ちこぼれました。
さまよっていた時、SFCという湘南キャンパスが合っているんじゃない?と言われまして。
それがもう11月のことで、12月に最初で最後の模試で偏差値が47でしたが、、、猛勉強して2月に合格しましたね。

湊:
うわ、すごいな。その話はすごい!木下さん、変わっているなあ。笑
そんなネタに上回るものってないな~笑
うーん、あえて、絶対絶命、といえば、リーマンショックの時の資金繰りの話ですかね。
2007年の頃、銀座の小さなビルから六本木のビルに移ったんです。社員数の6倍くらいの超大きなオフィスで。
もう、いくぞ!とノリにのっていたんです。そしたら、リーマンショックが到来して。
財務担当に、「このままではあと半年で倒産する」と言われて。もう、大慌てで、賃料の低い狭いオフィスへと移ったんですよね。
周りにコンビニも少なく、トイレも汚くて、立地が悪いから営業マンも戻ってこないみたいな場所でした。
もう、こんな生活は二度といやだ!と思いましたね。早く立ち直さねばと思いました。
それまで職人気質の社長だったので、全てのクリエイティブに目を通していましたがそんな時間はなくなりましたね。
気が付いたら、クリエイターの腕が格段にあがっていました。その時は、もう介入しない方が良いなと思いましたね。

木下:
うー、やはりピンチはチャンスですね。本当に!
逆境があったって、それを避けようとすると苦しいんですよね。
一方で、それをどうチャンスに出来るか考えると、とても良いというんです。

>>> おすすめの一冊

木下:
私は、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」がおすすめです!

湊:
おお!実はとてもタイムリーですが、先日息子に贈ったばっかりですよ、「竜馬がゆく」。
これすごく良いよね!!これを読んだ後は、なんだかメラメラとやる気に満ちるというか。

木下:
ええ、そうなんですよ。
「竜馬がゆく」は、高校中退した時に、父と対立して家出をしていたりしたんですが、ある時実家に帰ると「竜馬がゆく」の1~2巻が枕元に置いてあって「お父さんが1番好きな本です。気に入ったら続きも買ってあげるよ」とメモがありました。父の愛情を感じてとても嬉しかったんです。
竜馬が剣術修行のために江戸に留学した年齢が19だったのですが、それを読んだ私も丁度19歳だったんですよ。
それで、大学に行ってみようかな、ときっかけになりました。生き方を考えている方や、多感な時期に読むと良い本ですよね。

湊:
私の1冊は、山口周さんの
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」 』
ですね。
とある経営者の友人に勧めて頂いたんですがサイエンスだけではだめで、感性をみがく必要があると。
すごく良い本ですよ。

木下:
面白そうですね、是非読んでみたいですね。
コンサル戦略などにおいて、データを分析して、その分析をもとにどのように提案をするか、ということにも、アートの感性って必要だと思いますね。

>>> 好きな映画

対談風景

木下:
「きっとうまくいく」が好きです。結婚式の引き出物にしました。
趣味がヨガで、インド映画大好きなんですが、これは良いですよ。
ピンチに直面した時にも、自分を奮い立たせるような元気になる映画ですね。

湊:
あ、あれは良い映画だよねーー!
僕はね「カメラを止めるな!」です。300万の制作費で作ったらしいんですが、とにかく布石がすごくて、それが解き明かされるんです。
三谷幸喜を超えた!と言われている映画なんです。

木下:
へえ、そうなんですか~!是非見てみたい~~~!見てみますね。
「サウンドオブミュージック」も名作ですね。芸術性も高くて、あれは感動しましたね。

>>> これからのマーケティングについて

対談風景

湊:
日本に限っていえば、もう、これ以上「物」は売れないと思うんですよね。
私もですが、あまり車を所有しなくなりました。色んなものは100円均一で買えてしまう時代。
これからは所有心ではなく、コミュニティの数と質に比例していくと思うんですよね。
物消費、事消費の次は、この「コミュニティ消費」といえばよいのかな。

木下:
ええ。シェアハウスとか、シェアリングエコノミーとかがそれにあたるかもしれないですね。

湊:
うん。例えば私なら、ラグビーのコミュニティに新たに属して、ジャージを新調しますよね。
あるいは、J SPORTSと契約するとか。コミュニティによって、消費が生まれているんですよ。
友人を自宅に招くという時に、部屋を綺麗にするとか、ソファを新調するとかもありますよね。

木下:
確かにそうですよね。

湊:
この間、ラグビーのスパイクの甲部分が薄くて、試合中ケガをしたんですよ私。
甲部分が厚い靴を探すけど、ネットでも探し当てられない。お店でも、ラグビーに詳しい店員なんてほぼいないんです。
これ、すべての商品に言える課題ですよね。そういう課題がクリアすれば、消費がどんどん活発になるかなと思いますね。

木下:
確かに今後は、顧客情報に基づいた「気の利いた提案」型のマーケティングが活発になるでしょうね。
お手持ちのトップスに、このボトムスを合わせたらいかがですか?のように、売り手本位の「売り場」ではなく、買い手本位の「買い場」になるんでしょうね。
誰彼かまわず情報をPUSHするような企業本位のマーケティングが嫌われる一方で顧客データをうまく活用して、適切な人に適切なタイミングで適切な情報を提示すれば「気の利いた提案」「気の利いた支援」として好意的に受け止められるでしょうね。
Amazonのレコメンデーションや、Facebookの投稿提案などはシステムによって「気の利いた提案」をしている例ですが、人為的な提案も今後重要になりそうです。

湊:
先日、スーパーの「お客様の声」コーナーで「久米納豆が最近ありません」という声に対して「久米納豆復活いたしました」と、きちんとリアクションしているのをふとみまして。よくよく見たら、答えられないものについてもきちんと反応してるんですよね。
「〇〇が欲しい」、「そちらはどうしても入手できないのですが、代わりにこちらはいかがでしょうか」とか。
あれって、隠れたニーズをキャッチするのにぴったりなサービスですよね。

木下:
それは、まさに「ラバブルマーケティング」ですね!私たちもSNS上で、そういったサポートをしていきたいと思っています。
要するに、今後のブランドは「いかに愛されているか」が重要なんです。「ブランドをずっと使いたいと思えるか?」
YESであれば、そのブランドはもう安泰なんです。

湊:
なるほど~。確かにそうだよなあ。

木下:
そうなんですよ。一言に売上といっても、
良い売上と悪い売上があると私は思っているんですが
良い売上とは、良い体験を伴う売上で、推奨者が増えます。
悪い売上とは、悪い体験を伴う売上で、批判者が増えます。
もし毎日の売上が良い売上ばかりなら、ブランドをずっと愛用し続けたい、周囲にも積極的に広めたいという推奨者がどんどん増えていくのですから、ブランドの将来は安泰です。
毎日の売上のうち、良い売上と悪い売上の比率はどれくらいか?
全顧客のうち、推奨者と批判者の比率はどのくらいか?
ということが、ブランドの将来を占う上で、とても重要だと思います。
その比率を知るために、NPS(Net Promotor Score)を最高指標としたマーケティングを推進しています。
日々のSNS運用でも、いかに良いブランド体験を提供して、本当のファンを増やすか、ということを1番大切にしています。

湊:
なるほど~。確かNPSは大事ですよね。弊社としてもその指標を導入していくべきだと思っています。
今日はありがとうございました。次は、バーでマーケター同士を集め、意見交換しましょうね!

木下:
宜しくお願いいたします。今日はありがとうございました!

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