ゼロからはじめる❛イノベーション❜


インナーブランディング研究室の新米研究員であるはたのくんが、インナーブランディングを勉強するために各分野の第一人者の方へインタビューしていきます!

今回は「イノベーション」をテーマに、Techno Producer株式会社代表取締役で発明塾を立ち上げた楠浦崇央さんにお話を伺います。

イノベーションのための会社の在り方を中心にインタビューさせて頂きました!

 

<楠浦 崇央氏 Profile>
京都大学工学部機械系学科卒、同大学院工学研究科エネルギー応用工学専攻(現:エネルギー科学研究科エネルギー変換工学専攻)修了。各種金属材料、特に航空機用チタン合金の疲労強度と熱処理/ミクロ組織の研究を行う。

卒業後、川崎重工業株式会社にて大型オートバイのエンジン開発に従事。2002年から株式会社小松製作所にて、風力発電関連新規事業開発に従事、開発・設計・生産技術・営業を担当。

その後、2004年に研究開発ベンチャー設立、CTO 兼ナノインプリント事業責任者。特許情報分析を活用した戦略的な技術開発・事業開発の手法を独自に開発し、実践。常識破りの発想で、実現不可能とされた技術の開発や、誰も気づかなかった新用途開発を次々に成功させる。

2008年にTechnoProducer 株式会社設立、取締役就任(現 代表取締役)。

【主な実績】
医療/ナノテク/バイオ/コンピュータサイエンス/ロボット/環境/エネルギー/ディスプレー/ウエアラブルデバイスなど、幅広い分野において、多数の発明を創出。

『発明塾』ってなんですか?!


はたの
本日はよろしくお願いいたします!
さっそくですが、発明塾ってなんですか?
楠浦
シンプルに言うと「新規ビジネスの創出を支援する塾」です。
はたの
どのようにして始まったんですか?
楠浦
世の中の「最も重要な問題」を「発明(技術)で解決する」 という理念に共感してくれた大学生が集まり、社会的課題の解決のための発明を考えようと2010年に設立されたのが発明塾です。
はたの
学生さん向けに始まったんですね!
楠浦
もともとは前職時代に、独自の特許情報分析による市場調査で、顧客開拓や投資家からの資金調達をしていました。その経験から、特許情報と投資情報を駆使し、発明創出を実働支援する会社を立ち上げました。
はたの
特許情報と投資情報と聞いただけで難しそうですが…。
楠浦
少し考え方を変えるだけですよ。特許取得というと日本では「独占して守る」という排他的なイメージですが、それはもう古いんです!バブル経済の名残ですね。
はたの
企業ドラマとかではそういうシーンが描かれることが多いですよね。(下町ロケットを観ていた人ならわかるはず!)
楠浦
特許にはもっと有効的な活用法があります。それがオープンイノベーションです。アイデアを特許化しておくことで、投資家やパートナーを広く募ることが可能になります。特許化することで、他の人の力が借りやすくなるのです。なので、自分では資金面などで実現が難しいことも、実現可能になるということです。
はたの
なるほど!イノベーションの障壁を下げることができるということですね!
それなら大学生のアイデアも世に出る可能性があると!
楠浦
そうです。社会的課題の解決はアイデアを持っている人だけでは解決できません。特許で技術を守るという考えを捨て、特許で技術を世に広める、これがこれからのイノベーションに必要なことです。アメリカ・シリコンバレーではこの考え方が当たり前です。
はたの
日本でもこの考え方が広まれば様々なところからイノベーションが生まれるかもしれないってことですよね!
楠浦
そうですね。でも、いまのところ日本においてオープンイノベーションを実践しようとしているのはベンチャー企業がほとんどなんですよね。
はたの
確かになかなか難しそうですよね…。
楠浦
だから、こういうことを教わる機会が増えたらいいなと思いますね。中学生や高校生にも授業をしたことがあるのですが、中学生が思いのほか活発にアイデアが出ましたね。日本人はやっぱりポテンシャルがあるなと思います。

企業でイノベーションが起こりにくいのはどうしてですか?


はたの
最初は学生向けだった発明塾なわけですが、実際の企業となると途端に難しくなるように感じるのは私だけでしょうか?
楠浦
そこなんですよね、問題は!なぜ企業となると難しくなるのか。それは、企業に雇われているという環境が原因なんです。心理学では「人はお金をもらうとクリエイティブになれない」という結果も出ています。
はたの
なんと!なんだか耳の痛い話ですね…。
楠浦
なんでこうなってしまうかというと、何かを提案するときに相手に合わせてしまう人が圧倒的に多いからなんです。部下の目線で見ると、上司が求めているものを提案すれば間違いはないだろうという考えですね。
はたの
ますます耳が痛いです…
楠浦
一方で、上司も部下からの変化球を受け止める準備ができていないんです。予想外の提案をされると「それはできない」となるし、普通の提案をされても「そんなことは知っている」となってしまうんです。
はたの
堂々巡りですね…どうしたらいいのですか?
楠浦
重要なのは「アイデアを育てる」ということです。上司が「それはできない」ではなくて「それ、どうやったらできるかな」という受け止め方をすることです。
はたの
確かに認めてくれる雰囲気は大事ですよね。
楠浦
そうです。それに加えて、提案をする部下も「これはこうだからできると思うんですよ」としっかり落とし込むことが重要です。そうすれば、上司も「そうなの?」と反応を変えてくるはずです。
はたの
しっかり落とし込むってなかなか難しいんですよね…。
楠浦
これは認められるという点で部下にとって大事なことですが、上司にとっても重要です。部下が自分に合わせてくるようになったら、上司はなにもプラスを得られないからです。
はたの
確かに。僕はまだ部下の立場なのでなんだか申し訳ない気持ちです…。なんだか落ち込みそうです…。
楠浦
それは仕方ないですよ。いまの日本企業の上司、いわゆる管理職の立場にある人たちは学ぶ機会が少ないのです。それは怠慢ではなくて単純に業務で忙しい。だからこそ、部下からのアイデアというのは上司にとって学びの機会になるんです。
はたの
そうなったら理想の上司と部下の関係になれそうですね!

「アイデアを育てる」考え方は、どんな時に活用できますか?


はたの
「アイデアを育てる」という考え方はとてもしっくりきたのですが、具体的な事例を教えていただけますか?
楠浦
はい。ある会社さんのアイデアコンテストの事例があります。
このアイデアコンテストは毎年開催されていて、全社から100個ほどのアイデアが提出されます。
しかし、ひとつも最後まで残らないという状態が何年も続いていたそうです。なんでだと思います?
はたの
単純にいいアイデアが無かったとか…?
楠浦
それは違います(笑)原因は、若手のアイデアを部長クラスのベテランが評価するというシステムでした。いわゆるステージゲート法というやつですね。
はたの
ステージゲート法…(メモメモ)
楠浦
例えるならスーパーマリオですよね!色んなステージをクリアして最後ラスボスに会える的なニュアンスです!
はたの
それ、すごくわかりやすいです!!!(笑)
ということは、まさに「アイデアを育てる」ことができていなかったというわけですね。
楠浦
その通り!部長たちは評価をすることばかり学んでいたため、若手のアイデアを育てることをしようとしてなかったんです。
なので、その会社への改善案としては、アイデアを育てるためのサポート的な部署を新たに創設しました。アイデア育成の仕組みを作り、もっと気軽にアイデアを出せる環境づくりにつながります。
はたの
組織全体で取り組むことが重要なのですね。
楠浦
はい。アイデアの発想法だけ学んでも何も変わりません。大事なのはアイデアを出す側・出される側の関係づくりです。先ほども述べたように、部下のアイデアを受け入れる準備ができていれば、上司もそこから学ぶことができ、視野が広がります。そこからビジネスチャンスを拾い上げていくことができれば、それが会社全体のカルチャーを変えていくことに繋がります。
はたの
会社全体を変えていけたらそれは素敵なことですよね!その会社は結局どうなったんですか?
楠浦
1回のコンテストでいくつものアイデアが残るようになりましたね!
はたの
それは大進歩ですね!こういった取り組みは企業の中のどんな人たちに必要なのでしょうか?
楠浦
会社によって部署名などが異なりますから一概には言えませんが、経営企画室、新規事業開発室、技術企画室、知的財産部、コーポレートベンチャーキャピタル部門、イノベーション室など様々ですね。部長さん、ときには社長さんから相談を受けることもあります。みなさん共通しているのは「停滞感を感じている」という点です。
はたの
停滞感、いやな言葉ですよね。

楠浦
最近では、サービス業やIT企業からの依頼もあります。どんな企業でも今までと何か変えなきゃいけないよね、という悩みは生まれてきます。アイデアは業界関係なく会社にとって必要なものですからね。

今後の「イノベーション」はどうなりますか?


はたの
改めてこれからの「イノベーション」について今後どうお考えですか?
楠浦
はい。発明の概念的なものになりますが、発明は預言なんですよね。この発明によって世の中がこう変わると預言しているということなんです。だから、特許を取ること自体が重要なのではなくて、世の中を変えるかもしれない預言を実現するために特許を使うことが重要なのです。
はたの
オープンイノベーションですよね!(ちゃんとメモっていた)
楠浦
そうです!冒頭にも述べましたが、良いアイデアはみんなで活用していくべきなんです!
はたの
そうなったら素敵な世の中になりそうですね!
それにしても「預言」ってなんだかかっこいい響きです!
楠浦
夢のある話ではありますよね。だからこそ、社員という個人の立場では、いい意味で会社を使うという考え方が大切です。極端に言えば、会社では社長も社員もみんな雇われの身なんです。世の中を変えるために自分が会社を使って何をするか考えることで会社は変わっていきます。
はたの
世の中の企業がそう変わっていくためにも、僕も頑張ります!
順番が前後しますが最後に楠浦さんのモチベーションをお聞きしてもいいですか?
楠浦
みなさんの人生において、働いている時間は圧倒的に大きな部分を占めます、ということは働き方=生き方だと思うんですよね。だったら世の中に貢献しているという実感を得たいし、そうすることで面白い人たちに出会いたい、そんな気持ちで働いています。
はたの
僕も面白い人材でありたいものです!
本日は素敵なお話ありがとうございました!

WRITER

はたの たかし

インナーブランディング研究室
研究員

はたの たかし

大学の授業の一環で、インナーブランディングに出会い独学で勉強をし始めました。本格的に研究したいと思い、大学院進学を検討していた頃に揚羽と出会いました。揚羽で行われているインナーブランディングに可能性を感じ、揚羽でファーストキャリアを歩むことを決意し、2018年4月に新卒で揚羽に入社しました。7月からインナーブランディング研究室の研究員として配属され、今は新米研究員として、日々研究に勤しんでおります。

大学の授業の一環で、インナーブランディングに出会い独学で勉強をし始めました。本格的に研究したいと思い、大学院進学を検討していた頃に揚羽と出会いました。揚羽で行われているインナーブランディングに可能性を感じ、揚羽でファーストキャリアを歩むことを決意し、2018年4月に新卒で揚羽に入社しました。7月からインナーブランディング研究室の研究員として配属され、今は新米研究員として、日々研究に勤しんでおります。