ゼロからはじめる❛ナレッジマネジメント❜


インナーブランディング研究室の新米研究員であるはたのくんが、インナーブランディングを勉強するために各分野の第一人者の方へインタビューしていきます!

今回は、「ナレッジマネジメント(KM)」をテーマにして、株式会社LIXIL情報システム本部の村上さんと多田さんにお話しを伺います。

そもそも、ナレッジマネジメントってどんな活動?


はたの
本日はよろしくお願いします!
早速ですが、まずはナレッジマネジメントとはどういう活動のことか教えてもらっていいでしょうか?

村上
簡単に言うと、経験から得た成功ノウハウ、有益な知識・情報の共有・活用・創造を通じて、業務の効率を上げ、人材を育成し付加価値を創造していくプロセスのことです。
そのプロセスはSECIモデルとして説明されていますね。

SECIモデルとは、個人の経験をみんなで経験して(共同化)、その経験を明確な概念に落とし込み(表出化)、生まれた概念を体系的に組み合わせ(連結化)、形式化されたナレッジを個人と組織の知的資産とすること(内面化)

 

はたの
この仕組みを念頭に置くことが大事なんですね。
ナレッジマネジメントは、インナーブランディングという視点で見ると、どのような役割があるんでしょうか?

村上
この活動は、知識創造をベースとした働き方改革の基盤活動の1つと認識して推進しています。部門を横断した全社的な知識の共有・活用・創造を通して、「強靭で柔軟な組織」と「働きがいのある職場」という2つのハピネスを創り、最終的には企業価値向上に貢献することを目指しています。
ここで大切なのは、ナレッジマネジメントは、システムありきではなく、あくまで社員の意識改革の活動であるという理解をもって推進していくことです。

はたの
AIの時代になっている今、「システムを導入して解決する」という近道をしがちですが、行きつくところは「人」なんですね。

村上
そうなんです。いくらAIが発達しても、未来が変わるのは人間の判断だと思います。『何をしたい』『どうしたい』と意思を持つことは人間にしかできませんからね。また、ナレッジマネジメントには自発性が必要不可欠です。ナレッジマネジメントにおいては、システム導入は決して「近道」ではありません。あくまで意識改革の活動ですから、焦らず辛抱強く推進することが大切ですね。

活動を始めたキッカケは?


はたの
ナレッジマネジメントのような活動は、何かキッカケがないとスタートするのが難しそうですが、LIXILさんの場合はどうだったんですか?

多田
この活動の始まりは村上さん個人が行った改善活動です。私は去年から推進窓口に配属になりましたが、5年前から既に、本業の傍らナレッジスタッフとしてこの活動に参加していました。

村上
最初は「組織改革したい!」というような大それたキッカケではなく、日々の仕事の中で「これがこうなったらいいのに」という小さな想いから始めたんです。始めた当時、「ナレッジマネジメント」という言葉は知らず、ここまで全社的な活動になるとまでは思っていませんでした。しかも私、当時は工場の経理でしたし・・。

はたの
えっ!!経理だったんですか!?それはすごいですね・・。ですが、個人の活動からどうしてここまで大きくなったんでしょうか?

村上
工場経理の責任者になったとき、「他部署から経理への問合せが多すぎる」という課題がありました。その改善策として実施したのが、様々な文書を管理する『書庫』というシステムをエクセルで作ったことです。他部署に必要な情報を『書庫』に集め、「問合せ前には必ず『書庫』を見てください」というルールを徹底したことで、問合せを削減出来ました。

はたの
それがナレッジマネジメントの第一歩だったんですね。

村上
はい。これで終わると単なる改善活動止まりだったんですが、そのシステムが好評で、地道な宣伝活動や私の異動により、他工場の経理の方も使うようになり、最終的には全国の工場経理担当の間で「その資料なら『書庫』にあるよ」「これ、『書庫』に入れといて」という会話が日常になったんです。私は皆から感謝されることが嬉しく、元々自前でなんでも作っては人にあげるのが好きな性格だったこともあり、この頃はさらに私のエクセルいじりに火がつき、他にも様々な業務改善ツールを生み出しました。

はたの
こうして聞いていると、とても前向きに推進されてきたように感じます。

村上
エクセルに関しては特に勉強したことはなく、ひたすらトライ&エラーだけでスキルアップしてきました。ナレッジマネジメント活動の推進は苦労の連続でした。周りからも、さまざまな意見もありましたし・・・

(ここから村上さんの波乱万丈なお話が続くのですが、それだけで書籍ができそうなボリュームなので割愛させていただきます・・・)

今、LIXILさんではどんな活動をしているの?


はたの
波乱万丈を経て、2011年にLIXILさんが誕生したのを機に、その翌年からナレッジマネジメントが改めて始動したんですね!

多田
再始動したとはいえ、マンパワーも仕組みも拙い状態からスタートだったんですよね。

村上
そうなんですよ。途中から環境が大きく変わり、ほとんどの期間は1人で推進していました。その頃に開始したのが『スタッフ制度』。本業をやりながらもナレッジマネジメント活動に協力してくれる有志を公募しました。その時に多田さんも来てくれたんですよね。

多田
集まったスタッフの最初のミッションは「いかに社内にナレッジマネジメントを浸透させるか」でした。トップダウン、ボトムアップ、様々な角度から活動を浸透させていこうと皆で頑張りました。

村上
とはいえ、簡単には浸透できなかったんですよ。意識改革の活動は本当に難しい。まだ周りに「ナレッジマネジメントの本質」を知っている人が少ない。当時のシステムは、ほぼ全て私がエクセルで手作りしたものでしたし、もしも私が異動になったら確実に活動は終息します。その頃は毎日、いつKMが無くなってしまうのか・・・という不安に苛まれ、笑えない日々が続きました・・(泣)。

はたの
そんなに辛い日々があったんですね・・。

村上
そんなときに生まれたのが『しょこぽん』です。

文書管理システム『書庫』から生まれました。

はたの
か、かわいい・・。

村上
しょこぽんのおかげもあり、挫けず熱心に取り組んでいたことによって、少しずつ支持層が増えていったんです。最近はしょこぽんファンも多くなり、色んなパターンのしょこぽん画像を作ってくれる人やぬいぐるみを作ってくれる人もいて、いつも皆さんに感謝感謝です(笑)

はたの
他にも実施された活動はあるんですか?

多田
ポイント制度により、楽しみながら活動できるようにしています。ナレッジを投稿したりアンケートに答えたりすると、ポイントが付与されます。また、SECIモデルを偏差値評価したチームランキング制度もあり、これは組織力の向上につながっています。さらに、匿名で感謝の言葉やエールを送れる『ほめほめーる』という仕組みがあり、ここでは現在、年間5,000通以上の心温まるメッセージが飛び交っています。他にも、360度カメラを使った『みんなの職場紹介』なんてコンテンツもあるんですよ。

村上
昨年、新たな基幹システムを導入し、『知識の木』と命名しました。さらに、元々あった『Knowledge Village』というポータルサイトを、完全リニューアルしました。このサイトは、ナレッジマネジメント活動に関わること全てを掲載しています。

多田
さらに、現在全社導入を進めている社内SNSの『Workplace』を、このナレッジマネジメント活動でも大いに活用しています。Workplaceによる『情報共有』と、知識の木による『知識共有』の相乗効果で、さらなる発展・拡大を目指しています。

 

「ワクワクするようなナレッジマネジメントの世界」

はたの
たくさん活動があるんですね。ナレッジマネジメント活動のおかげで、日々の業務に+αのやりがいを得られるような気がしますね。

村上
はい。最近この活動に『ひとプラス』という名前を付けました。ひとプラスの「ひと」は、「一つ」「人」「オンリーワン」の意味。「プラス」は、「増やす」「伸ばす」「広げる」「高める」「創る」といった意味です。「知識を一つ増やし可能性を広げよう!」「ひと(仲間)と繋がり創造性を高めよう!」「人生に一つでも多くのハピネスを!」をスローガンにしています。

これからナレッジマネジメントを推進する人がいたら?


はたの
今こうして全社的に浸透してきたナレッジマネジメント活動ですが、もしこれから活動を始める人がいたら、どんなことを伝えたいですか?

村上
やはり、常にSECIモデルを意識することは大事です。さらに、ナレッジマネジメントのような「意識改革」の活動において推進者に必要なのは「熱意」「信念」「愛」「ノリ」「マメ」の5つだと思っています。加えて、経営層の「ナレッジマネジメントの本質」への理解があれば、推進しやすい環境はつくれるはずです。

多田
挫けそうになることもあるかと思いますが、活動がうまくいきだすと少しずつ組織全体が前に進んでいるという喜びを実感できます。私たちもまだまだ課題がありますので、これからも引き続き浸透させていきたいと思います。

村上
現在3,400名以上が自主的に参加しており、その中から、もっと活用したいという要望も増えてきて、一段と成果を感じられるようになりました。LIXILのナレッジマネジメントの一番の成果は、部門横断的に自由に活動出来るプラットホームが出来たことだと思っています。皆が自発的にこの場を活用すれば、さらに強い会社になっていくと思っています。ナレッジマネジメントの道は「理想はあってもゴールは無い」と言われます。日々環境の変化に順応しながら、全社にナレッジマネジメント文化を浸透させ、LIXILの企業価値向上に貢献したいと思っています。

はたの
村上さん、多田さん、ありがとうございました!

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WRITER

はたの たかし

インナーブランディング研究室
研究員

はたの たかし

大学の授業の一環で、インナーブランディングに出会い独学で勉強をし始めました。本格的に研究したいと思い、大学院進学を検討していた頃に揚羽と出会いました。揚羽で行われているインナーブランディングに可能性を感じ、揚羽でファーストキャリアを歩むことを決意し、2018年4月に新卒で揚羽に入社しました。7月からインナーブランディング研究室の研究員として配属され、今は新米研究員として、日々研究に勤しんでおります。

大学の授業の一環で、インナーブランディングに出会い独学で勉強をし始めました。本格的に研究したいと思い、大学院進学を検討していた頃に揚羽と出会いました。揚羽で行われているインナーブランディングに可能性を感じ、揚羽でファーストキャリアを歩むことを決意し、2018年4月に新卒で揚羽に入社しました。7月からインナーブランディング研究室の研究員として配属され、今は新米研究員として、日々研究に勤しんでおります。