強い組織と弱い組織を分かつもの


世の中には色んな「組織」があります。

企業はもちろん、政治、宗教、部活、サークル、ボランティアなどなど。
色々な名称がありますが、同一の目的を持った2人以上の集団。それが「組織」の定義です。

しかし、「組織」は割と簡単にすぐ組成されるのですが
長続きせず消滅したり、影響力を持たない小さい組織というものが数多くあります。
それを私は「弱い組織」と呼びます。

一方、
何年も続けて成長しており、影響力を強く持つ大きい組織もあります。
それを「強い組織」とします。

「強い組織」と「弱い組織」との違いを生み出すものは何でしょうか?

言葉の重要性


結論から言います。それは、「言葉」です。

「言葉」とは、その組織の方針となるメッセージであり
企業経営においては「理念」や「戦略・戦術」と呼ばれます。
細かく分類すると以下の7つの項目に分けることができます。

この「言葉」の各項目がそろっており、それぞれに記憶に残りやすく力強い「言葉」がある組織ほど、「強い組織」になります。

歴代のサッカー日本代表チームを比較してみる


「言葉」の重要性について、サッカー日本代表を例にとってご説明します。
まず、歴代のワールドカップを戦ったサッカー日本代表の名称と結果を振り返ります。

さて、それぞれの歴代のサッカー日本代表チームには
どんな「言葉」があったでしょうか?
これを歴代の監督の就任会見だったり大会前後の発言だったりを参考にしながら、
以下のようにまとめてみました。

結果の良かった日本代表チームには「言葉」があった


振り返ると、「言葉」をちゃんと明文化する監督は「トルシエさん」と「岡田さん」であったと思います。

トルシエさんは「初の決勝トーナメント進出」を目指す姿として掲げました。その実現のための強みとして、個の力には頼らず、徹底した組織力を身に着けることを選択しました。

私が思うに、トルシエさんが一定の成功を収めた一番の理由は、戦略・戦術と一人ひとりが取るべき理想的な行動が恐ろしくはっきりしていたことにあると思います。よくこの点が曖昧な表現になってしまっている組織があるのですが、そういう組織では従業員から「どう動いたらいいか、よく分からない」という声がよく出てきます。

トルシエさんの時は、かなり細かくマニュアルまで規定していたようですので、反発こそあったかもしれないですが、「どう動いたらいいか、よく分からない」という選手は一人もいなかったのではないかと思うのです。

また、岡田さんもトルシエさんに同じく、なりたい姿と戦略・戦術が常に明確です。特に南アフリカ大会では直前のコンセプト変更はあったものの、準備段階からかなり明確に明文化しており、チームスタッフやメンバーは岡田さんの下では迷うことが少なかったのではないでしょうか。

一方、「言葉」が曖昧であり、明文化もしていない監督は「ジーコさん」と「ザッケローニ(ザック)さん」です。

ジーコさんは「選手に考える自由」を与えました。これ自体は素晴らしいことなのですが、あまりにすべてを考えさせてしまうと、組織としてはやはり機能しません。この時の日本代表チームは、アトランタ五輪世代や黄金世代と呼ばれるようなタレントが成熟期を迎えており、個々の能力は非常に高かったのですが、組織としての統率が取れていなかったようで、会話もかなり少なかったというのが有名な話です。
組織を「強い組織」たらしめる「言葉」が、項目ごと足りていなかったのだと私は見ています。

ザッケローニさんの時もジーコジャパン同じく史上最強の世代と呼ばれ期待されたのですが、結果は芳しくないものでした。「自分たちのサッカー」とはいうものの、それが何なのか、やはり言語化しなくてはいけないと思います。「言葉」はあるのだが、その定義が不十分だった例だと私は見ています。

こうやって見てみると、「西野ジャパンも言葉が少ないではないか・・」とお思いになる方もいらっしゃると思いますが、西野さんの直前に代表監督を務めたハリルホジッチさんはかなり「言葉」が多い監督で、西野さんはハリルホジッチさんが掲げて積み上げてきた「言葉」を微修正するような戦略・戦術を組み立てました。それが、良い結果に繋がったのではないかと私は思っています。

「言葉」は存在の家である


「強い組織」と「弱い組織」を分かつもの。それは「言葉」であると私は確信を持っています。

曖昧でなく力強い「言葉」は、明文化された瞬間から、関わる人すべての記憶に残り、すべての活動の発展の軸となります。
「言葉」が、そもそも足りてなかったり、定義が不十分だったりする場合は、まず「言葉」をしっかりつくることが重要です。
「言葉」もなしに、練習したり、みんなで仲良くなろうとしてみたりしても、組織は強くなりません。軸がブレていってしまうからです。

とある哲学者が言った名言をそのまま引用しますが
「言葉は存在の家」なのです。

「強い組織」を目指すのであれば、まずは「言葉」について、
組織に集う仲間と一緒に考えてみていただきたいと思います。

WRITER

黒田 天兵

インナーブランディング研究室
室長

黒田 天兵

ブランディングにおけるソリューション実績700社を超える (株)揚羽にて、コーポレートコミュニケーション事業の立ち上げから推進まで行っている責任者。携わったインナーブランディング実績はおよそ200社、財閥系大手企業から近年注目されている急成長ベンチャー企業まで幅広く担当し、理念浸透・意識改革などのプロジェクトに携わる。大学時代は哲学に没頭。ハイデガー、デカルト、カント、ニーチェを研究。

ブランディングにおけるソリューション実績700社を超える (株)揚羽にて、コーポレートコミュニケーション事業の立ち上げから推進まで行っている責任者。携わったインナーブランディング実績はおよそ200社、財閥系大手企業から近年注目されている急成長ベンチャー企業まで幅広く担当し、理念浸透・意識改革などのプロジェクトに携わる。大学時代は哲学に没頭。ハイデガー、デカルト、カント、ニーチェを研究。