遅ればせながら「デザイン経営」宣言を読んだ感想。


昨今、会社経営において「デザイン思考」による経営戦略や組織づくりに注目が集まっています。山口周氏の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』がベストセラーになり、その考え方に順ずるような経営者向けのセミナーやワークショップもずいぶん増えています。

中でも、2017年に経済産業省と特許庁が主体となって発足された「産業競争力とデザインを考える会」による『「デザイン経営」宣言』(2018年5月23日)として公表された報告書は、クリエイティブ業界のみならず話題となっておりました。

 

経済産業省のプレスリリース(報告書がダウンロードできます。)

http://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002.html

 

以下、転記(経済産業省プレスリリース)

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2.報告書の概要
上記の背景を踏まえた11回にわたる研究会の議論の結果、デザインによる我が国企業の競争力強化に向けた課題を整理し、今後の対応等をまとめた報告書を取りまとめました。本報告書で示されたポイントは以下のとおりです。

1:「デザイン経営」の役割
2:発明とイノベーションをつなぐデザイン
3:産業とデザインの遷移
4:ネットワークとデータが全てを飲み込む時代
5:デザインの投資効果
6:「デザイン経営」の定義
7:「デザイン経営」の実践
8:政策提言

 

また、報告書には、意匠制度の課題や今後の検討の必要性を記した「産業競争力の強化に資する今後の意匠制度の在り方」を別紙として添付するとともに、国内外企業における「デザイン経営」の具体的取り組みを記した『「デザイン経営」の先行事例』を別冊として取りまとめました。

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筆者も本業では、クライアントの経営課題を抽出・整理し、その解決に資するクリエイティブの企画・立案を行っています。その視点から、この報告書を読んでみた感想を述べたいと思います。

 

結論としては、非常によくできた報告書だと思います。日本の多くの古い企業や経営者は、デザインをただの「見た目」と捉えている現状の中で、しっかりと機能としてのデザインの価値をわかりやすく提示してくれています。イノベーションの本来の意味は、発明そのものではなく、発明を実用化し、その結果として社会を変えることであり、それらをつないでいくことがデザインの本来的な価値だと説明されています。

 

まさに、私も実際に経営者にお会いしても、そのデザインの価値を本当の意味で理解されている方は少ないんじゃないかと感じています。その考え方に一石を投じるものが、この「デザイン経営」という考え方であり、世の中の流れも”追い風”になってきていることが、ベストセラーのビジネス書のラインナップを見ても明白です。

デザインだけで解決できるわけではない。


筆者も日々、その現場でデザイン及びクリエイティブのソリューションを提供している一人として、この報告書を読んだ上で、一点だけ違和感があるポイントがあります。

 

なにを拠り所として、デザインを行うのか?

 

ということがすっぽり抜けています。それ以外の「デザインへの投資」や「高度デザイン人材の育成」など、うなづけるポイントはいくつもあるのですが、すべてをデザイン(デザイナー)が解決できるわけではありません。

 

デザインの拠り所となるもの、それは「コトバ」です。

 

サービスのブランド戦略を考える時、または企業の経営戦略を考える時、そこにもちろんデザインという観点が入るのは大歓迎ではあるのですが、デザインを行うためには、その競争優位性や価値を「コトバ」にしないと、いくら高度なデザインを有していても、価値につなげることはできないと考えます。

 

「デザイン経営」という素晴らしい観点が日本に出現しました。

ただ、それを実践するためにはプロセスが重要です。

 

もし、ご興味があれば、株式会社揚羽に一度お問い合わせください。

WRITER

イタクラ

コミュニケーションプランナー
クリエイティブディレクター

イタクラ

なんでもかんでもロジカルに考える、理系出身のクリエイティブディレクター。採用・ブランディングやインナー・ブランディングにおける、コアコンセプトの開発から、クリエイティブツールの企画提案、ディレクションまでを担う。5月23日、ラブレター(恋文)の日生まれ。

なんでもかんでもロジカルに考える、理系出身のクリエイティブディレクター。採用・ブランディングやインナー・ブランディングにおける、コアコンセプトの開発から、クリエイティブツールの企画提案、ディレクションまでを担う。5月23日、ラブレター(恋文)の日生まれ。